物書庵初心週記帖(27号)「ローカル化を楽しんではみませんか?」

4月〜6月のGDPが年率換算で戦後最大のマイナス27.8%と報じられたが、緊急事態宣言下においては覚悟すべき結果であり、むしろ今後いかにして回復していくかが肝となるだろう。

9月末に相当数の派遣労働者の契約満了が発生するという見立てもある。足元の雇用が弱まれば経済の立て直しも遅れる。日々の感染者数は引き続き注視しつつ、それだけに一喜一憂せずに経済を立て直していく事が急務なのは周知の通りである。が、今の政策を見ていると感染予防よりも経済立て直しに舵を切り、世論に押されてブレーキをかける、という繰り返しになっている。「感染が怖い人は家で大人しくしていて」とも取れてしまう。アベノミクスと名を打ち、経済回復を政権の柱にしてきた中で焦る気持ちなのだろうが、V字回復は期待出来ないと腹を括って、もう少し感染予防に比重を置いた政策を進める方がむしろ回復速度は早まるのではないかと感じる。

例えば、居住している都道府県内における観光や飲食等の経済活動の支援策。地域の経済を地域で回す。自分が住んでいるエリアへの愛着も増すし、新たな魅力発見に繋がり、その先の観光客呼び込みにも繋がるのではないか。これだけ自然が豊かな日本には、まだまだ気づいていない魅力的な場所があるはずだ。観光先での振る舞いも知らない土地で好き勝手行動する人が減り、観光客を迎える側も安心なのではないか。グローバル化とは正反対のローカル化の様だが、これまでに経験した事がない世の中だからこそ、一時的に地域に根差した楽しみ方をする位の心のゆとりがあってもいいのでは、思ってしまう。

テレワークの支援ももう一歩二歩出来ることがあると期待したい。通勤する必要がある医療従事者や製造業、サービス業に携わる人、そして学生達が少しでも良い環境で通勤通学が出来る様にテレワーク可能な職種は手綱を緩める事なく徹底的に進めて欲しい。

ふと国外に目を向けてみると、香港の情勢が悪化の一途を辿っている。相次ぐ民主化活動家の拘束、逮捕に立候補の取下げ、選挙の延期と、もはや自由や人権が守られている21世紀とは思えない状況である。冷え切った米中関係の綱引きは政治から経済まで様々な範囲まで飛び火しているが、香港については駆け引き材料の一つに留める事なく、各国がより強固な姿勢で中国と対峙していく事を切に願っている。

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