物書庵初心週記帖(22号)「アフターコロナの市民生活はどう変わるのか?」
緊急事態宣言の解除、経済活動の再開に伴い、都内はすっかり人手が戻ったようだが、愚庵は変わらず在宅勤務が続いている。リモートでも仕事が成立する環境で良かったねと連れ合いからも言われており安心してもらっている。状況が許す限りこのまま様子を見守っていこうと思う。
前号では国内の政治経済、国外についての予測をしてみたが、今号は市民生活の暮らしへの影響、変化について懲りずに予測してみようと思う。
まずは、働き方から考察すると、みんなで同じ時間に同じ場所に集まるのが美徳というのはおしまいということになるだろう。通勤時間やトモヅレ残業、お付き合いの飲み会によって奪われていた個人の時間が自分の手に戻った事で仕事との付き合い方も変わるだろう。会社が趣味や余暇に使う個人の時間を奪う事で仕事だけがやりがいの会社人間(仕事人間ではない)を作り上げていた時代は終焉を迎えるであろう。
会社での役割だけでなく、家族での、地域での役割を持ち、余暇を楽しむ。江戸時代の百姓(農民ではなく百の仕事を持つ人々が本来の意味)を見習う時が近い将来訪れるのではないだろうか。
そもそも百姓=農民という思い込み自体が、仕事=会社という勘違いから生まれているのだろう。
市民の楽しみである娯楽に目を移してみると、かなりの変革が求められているのは間違いない。映画であれ、舞台であれ、飲食であれ。座席幅にゆとりを持ち、入替は消毒となれば売上はも自ずと下がる。一方でチケット販売など接客面の自動化が進むにつれて、関係するスタッフは少なく済む事でコストは抑えられる。このバランスをどう取るかが近々を生き残れるかの分かれ目になりそうだ。また、コロナ対策をしていない店舗はどれだけサービスが充実していても選ばれなくなる可能性は高い。攻守のバランス、いわゆる経営センスが小さい店舗でも問われてくる。
一言で言うと人がやるべきところへの重要性が増すという事になるだろう。人が関わる意義があるポイントを見定めてサービスの魅力を上げる事で顧客価値(=サービス単価)を上げる。自動化によるスタッフ数の削減によって浮いたコストをスタッフへの待遇に還元する。頑張りがが待遇に還元されてサービスの質も良くなり、結果的に利益が出る。この流れを作る事がアフターコロナで生き残る条件になるのではないか。
具体的な予測を何点か挙げて締め括りとさせていただこう。
・増加を続けたチェーン店が苦境に立たされ、規模が小さいながらも経営努力で、腕を磨いてきた個人店が日の目を見る事に。
・体験型サービスがより本格化。職人との触れ合いや職業体験に近い内容が人を惹きつけるようになる。
・嫌な仕事をしている対価が給料という考えではなく、いかに仕事を通じて充実した時間が過ごせるかという事に着目されることになる。つまるところ、これまでは生産性=タイムマネジメントに企業は着目していたが、今後は選ばれる会社となる為のストレスマネジメントが着目される。