物書庵初心週記帖(2号)「暖冬の悲喜交交」
二十四節気でいう大寒を過ぎても相変わらず暖冬が続いている。が、先週末に向けてぐずついた天気かつ気温も下がる予報が出た為、日曜にフルマラソンが控えていた愚庵としては「なぜこのタイミング…」と恨み節も出ましたが、当日は天気も崩れる事なくほっと胸を撫で下ろしました。
この暖冬は四季に合わせてサービスを作り上げてきた観光産業で顕著に影響が出ており、その中でも冬のアクティビティ代表のスキー場はかなりの打撃を受けているようです。昨年比で売上8割減で倒産もしかねないというオーナーの声も聞こえてくるので相当深刻なのでしょう。ただでさえ、娯楽の多様化、若者の車離れにより、冬=スキーというのが第一想起される機会も減っているのかもしれません。
地元に雪山がない地域に住んでいると、移動自体に時間と費用がかかり、宿泊しなければ「滑る時間<移動時間」となると、コスパが悪いエンタメになってしまったのかもしれません。
一方でニセコのように良質な雪質を活かしながらインバウンド向けの集客に舵を切ったスキー場は、外国人観光客の人気を集めているようです。
冬に自然に触れ合う数少ない機会を作っているスキーがこのまま沈み行くのを指を咥えて待っているのも忍びない。地域活性化の起爆剤とされていた「よそ者、若者、馬鹿者」の視点から愚庵なりの打開策を何点か。
(よそ者)インバウンド特化
ニセコの成功例に習い、インバウンド招致に特化。街をあげて取り組む事で、地元客とインバウンド客の導線を分ける事で地元客にも配慮。あえて分けた中で地元の風習や住民と触れ合うイベントで接点を創出する事で、交流機会も作れればインバウンド客のニーズを満たしつつ、住民のストレスも最小限に抑えられるのでは?
(若者)SNS投稿への仕掛け作り
自撮りスポットや名物スイーツからGoPROの貸出しまでカバーし、SNSに投稿したくなる仕掛けをを至る所に作る。ベテランスキーヤーや年齢が上の方には煙たがれそうだが、いっその事こと割り切ってみてはどうだろうか。にわかファンの大切さはラグビーワールドカップでも実証されているので、慢性的な集客不足に悩むくらいなら思い切った手も必要なのでは?
(馬鹿者)スキー場の二毛作
冬の仕掛けではありませんが、スキー場を他のアクティビティを楽しむ人を呼び込んでしまう。ゲレンデ逆走マラソンというランイベントがあるが、このような形で、雪山ではなく大自然の中で広く道が開かれた急坂、というリソースとしてアクティビティの開催をしてはどうだろうか。雪山の近くは温泉も多いので、宿泊までの導線もプロデュースすれば宿泊客も呼び込めるはず。モノ消費からコト消費へのシフトと言われている中、ソト消費(外で体を動かす体験)への誘導を仕掛けてみても面白いのでは?
かく言う愚庵も、雪山から足が遠のいてもう10年は経ちますでしょうか…。
寒いのがとにかく苦手で、冬の楽しみを知らない学生時代。スノーボードに出会ったおかげで冬が楽しみな季節に様変わりした事が懐かしく感じます。夜行バスに乗って、冬仕様に仕立て上げた友人の車に乗せてもらって、新幹線で…雪山に出向いては夢中で滑っていました。
連れ合いと初めて雪山に行った草津では、あまり運動のイメージがない中で予想以上に滑る事が出来て驚いたのも、結婚前の良き思い出の一つです。