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伊勢白山道

 伊勢白山道というネット上だけに存在する新興宗教があります。
 母は伊勢白山道の熱狂的な信者なので、影響を受けて、私も一時お線香による供養をしていたことがあります。
 伊勢白山道によると、聖天様のような強力なパワーを持った仏様というのは、願いが叶っても後が怖いというのです。私は聖天様にお参りに行ったことはないのですが、確かにガネーシャの像というのは何かおどろおどろしいものを感じますね。
 伊勢白山道は、神様仏様にお願いをするのは、小銭と鐘の音で叩き起こして、無茶な要求をすることであってよろしくないというのです。まあ確かに言われてみればそうです。そして神様仏様には「生かしていただいて、ありがとうございます」という感謝の祝詞を称えるのが正しい接し方だと主張しています。
 この「生かしていただいて、ありがとうございます」という一文は、禅にも通じるものです。宗教は突き詰めると「感謝の心」になります。ここにたどり着かないのは宗教ではありません。そういうわけで伊勢白山道そのものがあやしげではありますが、一応宗教としては、教えは成立しているのではないでしょうか。
 聖天様はなんとなく怖いですが、個性のある仏様というのはそれだけ不思議な魅力があります。大根をお供えするというのも、わけがわかりませんがどことなく楽しい、アミューズメント感があります。
 そういった仏様にどうしてもお参りしてみたければ、伊勢白山道の言うように感謝だけ捧げて来る、というのは、魔境に入らない安全な方法だと私も思います。

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