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ストーリーで学ぶマーケティングの基本
前回に引き続き、今回もグロービスの経営・マーケティングの授業の参考図書である本著から、自分が重要だと思った第三章「顧客インサイトを探る」をご紹介。
第三章「顧客インサイトを探る」
・顧客自身も気づいていないニーズを見つける。
→ウォークマン:「音楽を携帯したい」というニーズは当時消費者自身も気づいていないニーズ。
・常識を疑い顧客インサイトを探る。
→「瞬足」学校の校庭は常に左回り。「靴は左右対称である」という常識にとらわれない発想で大ヒット。
顧客の深層心理に迫る。
①聞き方の工夫をする。
・例えてもらう(例:動物に例えるとすると?)
・突拍子もない質問をする(例:無人島にもっていくとしたら何を持っていくか?)
・絵を描いてもらう
サントリー伊右衛門の例
「今日から一年間急須で淹れたお茶を一切飲んではいけないという法案が可決されそうです。あなたは国民の代表として、緑茶を飲み続けることができるように反論しなければなりません。どのように反論しますか?」
通常の質問、例えば、「お茶を選ぶ際にどのようなことを重要視しますか?」という質問では、「コンビニでお弁当と一緒に買う際の、そのお弁当と味が合う商品」というような結果にたどり着いてしまいます。
これでは、深層心理には全く迫れていません。
伊右衛門の例では、上記の質問の結果、
「緑茶とは、長い歴史と伝統を重ねてきた日本人にとって、日本的スローライフに戻ることができる唯一の飲み物なのです。お茶の本質的価値とは、日本的スローライフを五感で感じらえること。」
という緑茶に対する深いインサイトを探り当てたのです。それが昔ながらの理想的な夫婦像をイメージした、本木雅弘と宮沢りえ出演の広告表現につながっています。
②「聞く」以外の方法で探る~行動観察~
行動観察で得られた具体的な事実をぶつける。その何気ない行動の裏にある意識していない(できない)気持ちに触れる。
「どう買ったか」/「どう買わなかったか」
「どう使ったか」/「どう使わなかったか」
第3章補論①空気を作る
実際のマーケティング施策を実行する際には、そのターゲット顧客に影響を与える周囲の人間の意識にも注目することが重要。
例)パンツ型の紙おむつ
まだ布おむつの使用率が高い頃、紙おむつを使っていることは、育児の手抜きしているという風潮があった。
実際、紙おむつを初めて使った母親にインタビューすると、「なんて便利なおむつなのか!」という評価がされるが、「でもやっぱりうちでは、布おむつを使います。」となるパターンが多かった。
そこで、パンツ型紙おむつを売り出す際、「布おむつから、パンツ型の紙おむつに移行することで、子供の歩行支援に役立ちます」というアピールを母親だけではなく、社会全体に行うことにより、紙おむつ使用のハードルを下げたと言われている。
社会全体の空気を作るプロモーション。Public Relations(PR)が重要。
消費は社会に対する意思表示
ここからは自分に対する問ですが、
”消費”という行動は最もわかりやすい意思表示になります。
ベンツに乗る人、トヨタを選ぶ人、車を持たずシェアリングカーを利用する人。
一軒家を買う人、賃貸に住む人。
その人のお金の使い道こそ、何よりもその人の人格を表していると思います。
その中で、顧客の満足度はもちろん最大に重要ですが、その満足度の中にはは、上記の通り、社会に対する意思表示の面が大きな要素を示します。SNSの普及で自分の消費を表明する機会がより増える昨今において、下記の問いは常に意識していきたいです。
・その商品は社会的にどんな価値がありますか?
・その商品はだれのどのような生活を応援しているのですか?
ブランドと消費者は対等。ブランドがその人の人格を作り、消費する人がそのブランドを形作る。ブランドは消費される”人”によって真にブランドになっていく。