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NFTの分類はなに?前払式支払手段編
こんにちは。事業計画研究所です。
本日も「NFTの教科書」天羽健介/増田雅史(朝日新聞出版)の所感をレポートしていきます。
前回は、「暗号資産」について話してきました。
今回は「前払式支払手段」についてです。
フローチャートでは下の位置にありました。
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前払式支払手段とは
「前払式支払手段」と聞いて、ピンときた人はいらっしゃるでしょうか?
字のごとく、前払いする支払手段のことであるのですが、詳しくは知らないという方がほとんどかと思います。
暗号資産との相違点は、「不特定の者」に対して使用ができるか否かにあります。
暗号資産は、どんな相手にも使用ができるものでしたが、前払式支払手段は特定の者に対してのみ使用することができます。
その支払いが可能な相手の範囲によって、資金決済法の中でさらに分類が行われています。
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さらに、前払式支払手段では、原則的に金銭による払い戻しが禁止されているということも要件の1つになります。
自家型前払式支払手段
1つ目は「自家型前払式支払手段」と呼ばれます。
これは、発行者または発行者と密接な関係にある者の店舗やオンラインショップの限定的な範囲で、商品を買ったりやサービスを受けることができるものが該当します。
例えば、自社で運営している店舗でのみ使用できる回数券やギフトカードなどがあります。
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第三者型前払式支払手段
自家型前払式支払手段に対して、「第三者型前払式支払手段」というものもあります。
これは、簡単に言うと上記の自家型前払式支払手段に当てはまらない、前払式支払手段全般のことを指します。
具体的には、発行者がユーザーから前払いされた金銭を商品・サービスの提供者である加盟店に支払うという形があります。
利用者と加盟店との資金決済を行う仕組みとなっており、自家型前払式支払手段に比べて、高い金融機能を担っているといえます。
発行者以外にも支払手段として使用できる第三者型前払式支払手段は、原則として所管の財務局長の登録を受ける必要があります。
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前払式支払手段に該当しない/除外されるもの
前払式支払手段には当てはまりそうだが該当しないものや要件は満たしているものの、除外されるものがあります。
該当しないものの例としていくつかあげると、
「日銀券」「郵便切手」「収入印紙」など法律によってそれ自体が価値物としての効力を与えられているもの
「ゴルフ会員権」「テニス会員権」など各会員権
トレーディングカードなどの商行為として購入するものへの販売であり、消費者への転売を想定していないもの
などがあります。
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また、要件は満たしているものの、除外されるものとして、
乗車券や入場券
国や地方自治体が発行する前払式支払手段
従業員向け、健康保険組合員向けなどの証票など
などがあげられます。
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NFTと前払式支払手段該当性
NFTは、代替性のないトークンであるという性質を有しており、通常はビットコインのような支払手段としての経済的機能を有しないことから、前払式支払手段には該当しないことが一般的であると考えられます。
これに対して、NFTが特定のプラットフォーム内において提供される商品またはサービスの購入の対価として使用でき、法定通貨への換金が禁止されているような特別なケースでは、NFTであっても前払式支払手段に該当する可能性があります。
まとめ
いかがでしたか?
前払式支払手段というあまり聞きなじみのない話でしたが、身の回りの様々なところにあるものの話でした。
NFTがこれにあてはまるかどうか、というのが本題ではありますが、付属的にこのような知識が身につくのもうれしいですね。
次回は為替取引について話していきます。
次回作をお待ちください!