東洋経済オンラインの記事で「数字を読み解く」ためのトレーニングが簡単にできるという話。
東洋経済オンラインの記事で「数字を読み解く」ためのトレーニングが簡単にできるという話。
あなたは「肉まん」と「あんまん」はどちら派でしょうか。
私は若い頃は圧倒的に「肉まん」でしたし、それ以外の選択肢はありませんでした。しかし年齢を重ね、ふと気づくと「あんまん」が美味しいと感じるようになってしまいました。。。 年齢のせい? 私だけ? 誰か共感してください(笑)
そんな変化もあり、若い頃は洋菓子が好きでしたが少しつず和菓子派になりつつあるようです。あんこ、いいよね。この記事を書き終えたら、和菓子を食べに行こうかと思っています。
雑談が過ぎました。では本題へ。
ちょっとした素材を使って、数字を読み解くための練習をしましょう。ご紹介するエッセンスは企業研修などでも「数字の読解」をテーマにして指導しています。ぜひ職場で実践してください。
ある日、東洋経済オンラインでこのような記事を見つけました。
『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版(時点は2022年度)と『CSR企業総覧』2014年版(同2012年度)掲載の従業員1人当たりの平均月間残業時間を比較。減少幅が大きい会社を上位100社までランキングした。
このランキングの第一位と第二位は下記の通りです。
さて、あなたはこれだけで「日本オラクルってすげー」と思えるでしょうか。もし思えるとしたら、残念ながらあなたは思考していないということになります。
この38.0時間はあくまで削減した時間です。もともとどれくらいの残業時間があって、それと比べてこの38.0時間がどのような意味を持つのかを把握しないことには評価のしようがありません。
たとえば(あり得ない数字かもしれませんが)もともと残業が100時間あったとして、そこから38.0時間の削減をしたのか、それとも40時間から38.0時間の削減をしたのか。この2つは38.0時間の削減という事実は同じですが、意味はまったく違いますよね。
実際、記事には次のような数字が添えられていました。
なるほど。つまり日本オラクルはもともとの残業時間は41.0時間であり、削減率は92.7%ということになります。一方の大東建託はもともとの残業時間は47.3時間 削減率は72.7%ということになります。
つまり日本オラクルの評価として正しい解釈は、38.0時間の削減がすごいのではなく、92.7%の削減がすごいということでしょう。この2社の2012年度の残業時間は40時間台で大きな差はありません。しかし削減率は大きな差があります。表面的には第1位と第2位の差はわずか3.6時間の差でしかないと思われるかもしれませんが、本質的にはだいぶ大きな差があると私は思います。
もちろん2社はまったく異なる業界の企業であり、単に数字だけで比較して優劣をつけることはナンセンスという考えもあります。そして私はそれを否定はしません。あくまでも数字を読み解く思考法の解説素材として使っているとご理解ください。
さらにこの数字は10年間(2012年度と2022年度の比較)での減少について比較したものです。あなたなら、他にどのような数字を確かめたくなるでしょうか。私であれば……
この10年間を細かく分解し、年ごとどれくらいのペースで減少していったのかも把握したいと考えます。
毎年一定のペースで減少したのか。それともある年を境に急激に減少したのか。もし前者ならどのような中長期的な施策を打ったのか、後者ならどのような大胆な?手を打ったのか、とても興味があります。
10年間の最初と最後の数字だけに注目するのではなく、その中身の意味まで掘り下げたいところです。残念ながら記事にはそこまでの分析はさすがに記載されておりませんので、想像を膨らませることしかできませんが。
さて、東洋経済オンラインの記事を素材にして、数字を読むとはどういうことかを簡単に理解しました。簡単な話ではありましたが、とても重要なメッセージが込められています。それは、、、
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