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1-18 concrete epic

およそ10年ほど前からAI技術を活用した資本の循環と経済の発展によって先進国と発展途上国の境目は無くなりベーシックインカムは最早常識となり最先端の医療を人々は安価に受けれるようになり各税金は安くなりインフラの整備によって地域格差もなくなりスマートドラッグの進歩により社会のストレスはゼロに近くなり性犯罪や自殺は消滅しAIに無能または害と判断された為政者・施政者・政治家は各近隣に設立された自警団によって拉致され『大量の阿片を盛られた状態で荷車付きの柱に縛られナイフで腹を一文字に裂かれたまま(阿片の幻覚で朦朧させ苦痛を和らげることで気絶やショック死をさせない)一日中市中引き回しされながら見世物として野次馬に石や罵声を浴びせれた後にまだ息があれば彼の家族と共に火炙りにし悪の浄化という名目のもと食して良い』という法が世界中で定められ人々の生活は安全となり不安と貧困と紛争は世界から消え去り世界は一見平和になったかのようにみえたしかしそれはほんの束の間でこれまで何千年間も争い殺し合うことで一定数を保ってきた人間が『平和』を得てしまったことにより地球史上かつて無い人口爆発が起きそれに伴い深刻な食料問題が噴出地球上の二酸化炭素量は100年前の約50倍にまで跳ね上がり科学者たちの計算によるとこれから150年後には人間を含んだ地球上の生物の約2/3が絶滅すると結論づけられ世間に衝撃を与えた人類の危機に直面した各国家首脳は早急に集結し世界政府を樹立し各分野の科学者たちをかき集め小金井公園にて日夜真剣に討論が交わされたしかし大音量でEDMをかけながらほぼ裸のギャル達と踊り明かし腹が減ったらバーベキューを食し喉が乾いたらシャンパンやテキーラをしこたま飲みチルしたくなれば会場の至るところに常備されている上質な大麻をキメながらテントの中でギャルとセックスというシステムの会議では一向に話し合いが進むことはなく遂に5日目の昼頃泥酔した一人がふざけてサウンドシステムによじ登り足を滑らせ転落し首の骨を折り死亡したため会議は一時中断となり参加者はみな酔いが抜け冷静になり近場のホームセンターでシャベルと防腐剤とサランラップを購入し死体を公園の茂みに埋めながら「まずはちゃんとみんなで話し合える場が必要だよね」と言うことになり場所を渋谷のレンタル会議室へと移すことにして一週間後ついに人類存続を賭けた解決策が導き出されたそれは動物と人間を科学技術を用いて交配し文明に頼らず自然下において生存可能な「新しい人間」を作ることであったこの政策によって古典的な身体の人間はほぼ絶滅するが他動物と人間のキメラは知性を失うことなく各々の適応性の高い自然環境下で生活を送ることが可能となるのだこの世界政府からの発表は世界中を震撼させ多くの反発もあったが遅かれ早かれ地球に留まる限り絶滅を避けられないのは事実なので激しい反論はすぐ下火になったキメラ開発計画では何よりも第一に胎教の重要性を意識しまず人間と交配可能な遺伝子を持つ動物をクローン技術で作り出し成体となったのち直接人間との性交によってキメラを生み出すというものであった実験の募集には世界中から数多くの獣姦マニアが駆けつけ研究所内では人類の未来のために日々動物との性行為が盛んに行われたしかし馬と交配中の男性被験者が後ろ足で蹴り上げられ死亡したり牛との子を孕んだ女性被験者の子宮が子供の大きさと重さに耐えきれず破裂するという事例が多数起きプランの修正を余儀なくされ動物を作り出す際に人間との交配可能である事に加え性器の大きさや体格や本能的な行動(性交中に首を噛むなど動物の本能による怪我防止)を人間向けにアップデートした動物を作成し解決を試み実験開始から3年後遂に記念すべきキメラ第一号「モグラ人間(♀)」が誕生し彼女がけたたましい奇声をあげながら鋭い爪で地中に潜っていく映像に世界中の人々は感嘆したその後も多様な交配動物が開発され民間業者を介して世界中で続々とリリースされ湿地帯乾燥地帯など各地域の特色に合わせ様々な交配動物が選べるシステムになっていたがイボイノシシは「挿入時の具合が良く温厚で扱いやすい」という理由で男性から好評で逆に交配用に改良されポニーサイズになった馬の激しい突きに多くの女性愛好者を生んだ人間が久しく忘れていた動物とのスキンシップは絶滅を目の前に絶望した心を癒す効果もあり多頭飼いする者も多く友人間で動物をシェアしたり複数人でスワッピングを楽しんだりしながら人類は驚異の出生率でキメラを生み続けた人間同士の子供は人類の敵と認識されるようになり見つけ次第速やかに間引かれ食肉工場で加工され交配動物の餌としてホームセンター等で販売された人間男女間での性行為や結婚は禁止され違反した者も同様に交配動物用の餌となったキメラは成長が早く3歳には簡単な読み書きが出来る様になるため8年制の専門小学校へ入学して知識や経験を吸収し卒業すると熊キメラなら森林鹿キメラなら奈良牛キメラなら牧草地鯉キメラなら川沿い等自分に適した環境へと自由に移動し居住することが許された肉食系のキメラは草食や雑食に比べ着床率が低く頭数は少ないものの行動力のある者が多く「食べ物が沢山ある」という理由でまず都市部に住み着き多くの人間を襲い食い殺すことで人間の間引きに貢献したキメラ第一号から50年後にはベトナムのハノイにあるキメラ管理中枢機関のある隔離特区の住人約150名以外ノーマルな人間は絶滅したむかし人でごった返していた渋谷などの街は全て廃墟と化し今はバフォメットやミノタウロスのような風貌の草食獣人がたまに草を探し食べに来るくらいである人間によって破壊され尽くした自然は徐々に回復へ向かい計画は成功したかにみえたが数世代続くうちに人間の血を色濃く継ぐ者が多種属から生まれ始め彼らは高い知能を有し言語能力にも長け族長として過剰なリーダーシップを取り始め次第に種族間での土地を巡る争いが各地で頻発し獣人達の抗争は最終的に草食vs肉食の100年に渡る大戦争に発展しキメラは死滅したハノイの人間居住特区の人間達も初期は獣人達の行動を監視し神のように見守っていたが3年目の冬に区内で謎の感染症の蔓延しあっさりと全員死滅した。

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