休職したのでリワーク支援を利用した
実は今年の2月から適応障害の診断を受けて休職していました。休職って一か月くらいもらえるのでさすがに治るかなとはじめは考えていました。実際は休職しても、なかなか出社する気持ちが湧くようにはならず、かといって病院は診察時間が短く、カウンセリングも費用が高いので、とりあえずリワーク支援を利用してみることにしました。リワーク支援自体が比較的新しい事業と紹介されており、最初はあまり期待していませんでした。しかし、通い続けるうちに意外と効果が現れ、抑うつ状態も徐々に改善してきました。自分でストレスに対処できる力も少しずつついてきたように思います。
リワーク支援は人によって合う合わないがあるかもしれませんが、精神的な病気で体調を崩したときの一つの選択肢として、考えてみてもいいかもしれません。
1. リワーク支援とは
私の言葉で書きますと、精神的な病気で休職あるいは退職した人が復帰もしくは再就職を目指してカウンセリングと講習を受ける施設です。
私が利用したところでは臨床心理士資格を持ったスタッフの方が週数回カウンセリングをしてくれました。また、毎日ストレス対処法やストレスを減らすコミュニケーションの取り方などの講習があり、それにも参加しました。
これが私にとっては非常に大きくて、抑うつ状態からの快復だけでなく、元々あった自信のなさと自己肯定感の低さが解消されつつあります。
2. 入所してやったこと
カウンセリング
カウンセリングのうまみは自分の状況と気持ちの言語化を他人に丸投げすることができることだと考えます。カウンセリングではうまく伝えられないと言う方もいると思います。私もはじめはそう思っていましたが、カウンセリングを受ける回数が5回や10回になってこれば話は変わってきます。相手はプロですのでたとえ頭の中がごちゃごちゃで言葉がうまくまとまらなくても、プロがしっかり整理してくれます。自分の頭の中を整理できて初めて寛解への一歩を踏み出せるのです。抑うつ状態から快復したのはこれが大きいと思っています。
私の場合は入所直後に一時間ほどカウンセリングを受けました。この時点では施設の人も信用できないし、どうせわかってくれないだろうという気持ちがあり、深い話はせず、今の状態をただ話すことに終始していました。
(適応障害の診断ってびっくりするくらい適当な感じで診断書くれます。ただ診断書を書いてもらったはいいものの、症状が会社に行けないくらいしかないくらい軽くて仮病と疑われてもしょうがないくらいでした。どっちかというと引け目を感じる気持ちのほうがデカく、「大したことないじゃないですか」とか「あなたにも原因があるじゃないですか」と正論パンチが飛んで来たら終わるとこの時点では思っていました。)
入所前も1時間以上時間をかけてカウンセリングしていただいて、入所後も毎週必ず一度はカウンセリングをしていただきました。スタッフの方はみな優しく、顔を合わす度スタッフの方の人柄もわかってきます。そしてスタッフの方も私がどういう人間かを理解してくれます。次第にカウンセリングでも詳しく話せるようになりました。
カウンセリングというのは結局のところ、知らない人に自分を開示する行為なのでなかなか思ったことそのまま伝えることは難しいと思います。
通所を続けてスタッフと仲良くなることで話しやすくなり、スタッフからのアドバイスも聞き入れやすくなると思います。
実際抑うつ状態で体調崩すときって、何が何だかわからなくてアドバイスとか受け容れる余裕がないんですよね。カウンセリングでもなんでも人を頼って、まずは今の状態を理解することからスタートします。
講習
リワーク支援では精神疾患の寛解の手助けだけでなく、復職した時にストレス対処ができず再度精神疾患に陥るということがないようにする。これが最終目標です。講習では、社会人生活に戻った際にストレスに対処できるよう、スキルの紹介やそれを応用するグループワークが中心に行われます。
講習の中にはストレス対策とコミュニケーション力を高める講習が多くを占めており、他にも復職あるいは転職に向けての講習があります。
学校のように必修の単位があるわけではなく、参加も自由なのでその日の体調で決められます。
受講してよかったと思うところはいくつもありますが、まず入所直後によかったと感じたところは、利用者の方々は似た境遇で施設に通っているので、コミュニケーションを通じて自分の悩んでいたことはみんな同じように考えていたことを知ることができたところです。休職してしまったけど、仕方ないことなんだと思うことができたのは大きなことでした。
個人業務
利用者はそれぞれ自由に作業できる時間があります。例えば、通所して読書をしている人や、課題に取り組んでいる人もいます。復職が近づいた人は履歴書を書いたりしています。基本的にカウンセリングでスタッフはいませんが、空いてるスタッフを捕まえれば、ちょっとした相談もできます。転職者向けですが履歴書、職務経歴書の添削をしてもらったり模擬面接もしてもらえます。
通所してすぐは生活の記録をつけることが最初の課題になります。昨日寝た時間、食事入浴の時間とその日の気分と体調、通所しない日も記録していきます。最初は気分がすぐれなかったり、生活リズムがおかしかったりしていたのが通所を続けて安定してくるのを感じるだけでも満足できます。
私がやってよかったのは自分のその日あったよかったできごとをどんなに小さいこと(例:行きの道で信号が全部青だった)でも探して記録することでした。抑うつ状態では、いいことがほんとうに全く考えられなくなってしまうので、少しずつ探せるようになってきたときは快復してきているなと感じました。
3. 雰囲気
これは私が通っていたところですがきれいでおしゃれなオフィスのような場所でした。何かしらのBGMがかけっぱなしですので気になる方は耳栓やイヤフォンを持ち込むとよいでしょう。
スタッフは20代後半から40代くらいの方で男女半々くらい。フレンドリーで優しいです。本当に何でも相談に乗ってくれるので非常に心強いです。
他の利用者の方ですが、筆者と同じ20代から50代の方まで様々で、でも同じく体調を崩して通所している方々なので話しやすいと思います。私は歳が離れている方とも雑談しています。
5. まとめ
通所して思うのは、内容としては普通の書店に並ぶような自己啓発の本や心理学の本に書いてあるような誰でもアクセスできるような内容です。
しかし考えてみてください。休職してしまうほど精神的に追い詰められている状態の人が、こういった本を読んで、果たして考え方を変えることができるでしょうか。むしろ、『書いてあるように考えられない自分はダメなんだ』とか、『こんなふうに考えられるなら、こんなに苦労しない』と、逆に自分を責めてしまうこともあるのではないでしょうか。リワーク支援に通うことで得られる大きな利点は、カウンセリングを通じて自分の考えや感情を整理できること、そして臨床心理士から直接アドバイスをもらうことで、内容に対する安心感や信頼を得られることだと思います。実際本を読むだけではなかなか実感できなかったことも、スタッフの言葉を聞くことで『確かにそうだな』と感じられる場面が増え、少しずつ心の支えになってきました。自信がなくても、あの時スタッフが言ってたしなと思うようにすれば、ちょっと心の支えになりました。
私はもうしばらくこの支援を続けながら、転職活動にも取り組んでいきたいと思っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。