小説風1:白血病発覚の日
あらすじとか
太郎:29歳 自宅の近くで事務所を構えて小さい規模で会社経営
花子:22歳 専門学校を卒業して美容系企業で営業の仕事を始める
2016年12月24日
西麻布の会員制レストランで太郎は花子にプロポーズをする
二人が出会ってちょうど3年が経つ2017年2月27日に入籍することに
2017年2月初旬
花子は太郎と一緒に表参道でランチをしている途中、酷い腹痛に見舞われてほとんど食べることなく帰宅した
動けないほどの激痛はめったにあることではなかったが、しばらくすると落ち着いたこともありそれほど気に留めることもなかった
2017年2月19日
中央区から渋谷区へ引っ越し
太郎が海外へ出張へ行っていたこともあり、引っ越し準備はほとんど花子がすることに
2017年2月20日
花子の体調不良は続いていたため、自宅近くのクリニックへ
肝炎と診断、採決と点滴、インフルエンザの検査
2017年2月23日
花子は母と一緒に検査結果を聞きに自宅近くのクリニックへ
「芽球細胞という白血病になる可能性のある細胞が多い」とのこと
翌日に大学病院で詳しい検査をすることに
この日の検査結果では、芽球細胞24%
花子「30%以上で白血病なんだって」
太郎は23時頃帰宅し、花子と夜を過ごした
普段明るくてポジティブな花子だったがこの日は不安そうで「もしかしたら死んじゃうかもしれないよ笑」なんて言っていた
心配しても仕方がないことと、どこか楽観的な太郎はあまり気に留めることもなく、何事もないだろうと考えていた
花子がこれだけネガティブな言葉を発することなど今まで一度もなかったにもかかわらず
入籍予定日まであと4日だった
2017年2月24日
いつものように太郎は朝から仕事へ
花子はこの日も仕事を休み、母と一緒に大学病院へ
太郎は仕事をしながら、会社のデスクで「芽球細胞」なるものを調べてみることにした
調べてみると、「30%以上で白血病」なんということは全くなく、健康な人にはほとんど存在しない細胞で、少しでもあればイコール白血病、といえるほどのものであるように思えるページがあった
それでもどこか楽観的な太郎はこの時は、自分の婚約者が、それもまさかこんなタイミングで白血病になるなんてことは全く考えていなかった
きっと何かの間違いだろう、と
そうこうしていると太郎の携帯が鳴った
花子からだった
仕事中に花子から電話が鳴ることなんてこれまで一度もなかったが、嫌な予感がしつつも「後でかけ直そう」程度に留めていた
するとすぐに2度目の着信音が鳴った
その瞬間太郎は、これは「ただ事ではない」と理解した
急いで席を外して廊下へ出て電話に出る
「どうした?」太郎の声も震えていた
電話の先の声が泣いていることがわかった
「太郎ちゃん、今忙しい?」
「大丈夫だよ、どうした?」
「今から病院来れる?」
「すぐに行くね」
電話での会話はこれだけだったが、太郎は愛する婚約者が白血病になってしまったことを理解した
緊張感は社内にも伝わっていたようだった
社員に「大変なことになったからちょっと出る」と伝えて、すぐにタクシーで病院に向かった
病院に向かうタクシーの中で、最悪の想像が頭をよぎる
花子のいない世界・・・まさかそんなことがこんなにも早く起こりえるのか?
人生いつ何があるかなんてわからない
明日事故や事件に巻き込まれて死んでしまうこともある
だからいつそうなっても悔いが少なくなるよう、いつ死んでもいいと思える生き方をしよう
と太郎はかねてから考えるようにしていたが、それが自身ではなく、まさか愛する人の身に降りかかろうとは想定していなかった
病院に着くと入り口で母が携帯を片手に忙しそうにしていた
家族や親戚に連絡をしていた
「先生が『10人いたら10人が白血病だと診断するでしょう』だって」花子は言った
この日はひたすら検査に次ぐ検査で、太郎は車椅子を引いてできる限り花子に連れ添った
入籍予定日は3日後だった
太郎は予定通り籍を入れることに一切の迷いはなかった
花子は、
病気になってしまったこんな自分でいいのか、迷惑をかけることになるんじゃないか
でも大好きな人と一緒になりたい、幸せになりたい、夢を叶えたい
…と葛藤していた