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【リモートワーク】
※安定の寝落ちで電気つけっぱなしで目を覚ましたらこんな時間で投稿時間があほあほ祭りの期限に間に合いませんでしたが完成していたので遅刻でギリギリok判定とさせていただきます。
リモートワーク
こんにちわ、しまうーです。今日はクリオネさんが念願のうなぎ屋さんをオープンしたと聞いてやってきてます。夫がお休みなので子供たちと一緒に過ごしてくれている間にドッキリ作戦です。まだクリオネさんは私がくることを知らないのです。
建物が見えてきました。いい建物です。古いお蕎麦屋さんを居抜きで買ったみたいですでにいい感じです。では早速中に入ってみましょう。
うわあ、なかなか流行ってますね!お客さんお入りは7割といったところでしょうか。遠くにクリオネさんらしき人が見えます!興奮してきました!初クリオネです!あ、目があってこっちに向かってきますよ!緊張してきました!
「いらっしゃいませ、YOUは何しにうなぎ屋へ?」
「しょ、食事を…うなぎを食べにきました…」
「おひとりで?」
「はい……(なんだか変な対応にゃあ)」
「おひとりでうなぎを食べにきたお客様ご案内しまーす」
うう…
「こちら、本日のお品書きです」
「うなぎ、やっぱりここはうな重よね」
「うな重。ありがとうございます。うなぎの量はどういたしますか」
「量!?量というと?あの松竹梅の?」
「量はですね、必要な重さのうなぎを捌かせていただきます。重さは捌く前のものですね。だいたい成人女性の方ですと160gが人気です」
「g単位!g単位で!なんかいきなりステーキかっ!」
「実際何gが適切かよくわからないお客様のために一応松竹梅もございますよ。一番少ないのが梅で160g。人気の竹が200g」
「うなぎってけっこうたくさんのってるんだ」
「男性の方やお腹が空いてペコペコの方は一番量の多い松です。こちらは205g」
「5g!差が5g!キクイタダキかっ!日本最小の鳥一羽分の重さの差かっ!」
「どうされますか?」
「じゃあ、200gで」
「ありがとうございます。こちらの200gは竹の200gにされますか?それともオーダーカットの200gにされますか?」
「どう違うんですか?」
「熱意。オーダーカットの方がキッチンが喜びます」
「じゃあ…オーダーカットで」
「オーダーカット200g入りまーす。ご飯の量はどうなさいますか?」
「ご飯の量まで」
「うなぎを焼いている間に釜でお好みの量を炊かせていただきます。もちろん何gが適切かよくわからないお客様のために、梅が128g、竹が256g、松が512gです」
「PCのスペックかっ!GBかっ!」
「グラムですね」
「知っとるわ!じゃあ竹で!」
「かしこまりました!オーダーカット200gご注文のお客様、ご飯の量は竹でお願いしまーす!」
「やっと注文できた。疲れたにゃあ」
「お客様、タレはいかがなさいますか?」
「タレ?うなぎのタレに種類が?」
「はい、タレはたくさんございます。通常のうなぎのタレに減塩タレ。焼肉のタレもございます。加えまして青じそドレッシング、サイゼリヤのオリーブオイル、わさび塩タレ、サウザンアイランドドレッシングにカレー、コーンスープにハーブティー……」
「まてっ!ハーブティーってなんや!つ、通常のうなぎのタレにしますっ!」
「などですね、全部あちらのドレッシングバーに取り揃えておりますのでご自由に好きなだけご利用ください」
「聞く必要あらへんやないか!」
「うな重オーダーカットで200g、ご飯は竹のお客様、ドレッシングバーで通常のうなぎのタレご利用でーす!」
「それキッチンに伝える必要はっ!ドレッシングバーの意味とはっ!」
「あとですね、捌いた時に出る肝などをお吸い物にしますので、ご希望のお吸い物をどうぞ。まずはうなぎの肝吸いですね。あとはわかめのスープ焼肉屋風、カルビ切り落としのスープ焼肉屋風、冷麺焼肉屋風ですね」
「焼肉屋かっ!うなぎの肝吸いでお願いしますっ!」
「お飲み物は…」
「ドリンクバーでご自由にって話ですよね?」
「違います。こちらのテーブルにセットされた蛇口を捻るとポンジュースが出てまいります」
「空港かっ!松山空港かっ!」
「その隣の蛇口を捻りますとうなぎの肝吸いが出て参ります。熱いのでお気をつけて」
「飲み放題っ!肝を持て余してるのかにゃ…」
「持て余しているというかいろんな肝を使ってますから」
「いろんな肝?うなぎだけじゃなくて?」
「…………………」
「うなぎ以外の肝って、何の肝なんですか?」
「…………………」
「まあいいですにゃ……お水はセルフですか?」
「お水は1mlあたり1円の計り売りとなっています」
「ポンジュースに肝吸い無料でお水は有料!」
「欧米では清潔なお水は有料がデフォルトでございます」
「欧米かっ!」
「お客様、カトラリーはどうされますか?」
「カトラリー!欧米かっ!」
「一番人気はお箸。欧米のお客様ですとナイフにフォーク、スプーンでお楽しみになる場合が多いです」
「じゃあお箸でお願いします」
「お箸。ありがとうございます。お箸はですね、通常のお箸、エコお箸、肝吸いを固めたお箸とございます」
「また肝吸い!どんだけ余ってるのにゃ!エコお箸とは?」
「エコお箸はですね、お客様の使った割り箸を継ぎ足し継ぎ足しで洗わずに大事に育てたお箸なんです。タレの味がじっくりしみこんでるのでお鮨屋さんの穴子のように味わいに深みが増すと好評なんです」
「絶対いらんっ!通常のお箸で!」
「ありがとうございます!うな重オーダーカットで200g、ご飯は竹のお客様、ドレッシングバーで通常のうなぎのタレご利用のお客様、通常の箸でーす!では最後に本日のシェフをお選びください。店主の村上はこの道40年で見事なうなぎを焼き上げます。外は香ばしく中はふっくらとした仕上がりが特徴ですが指名料を500円頂戴します。続きましては副料理長である後藤。美味しいうなぎをいいペースで焼き続ける当店のエースです。指名料300円頂戴します。次は普通のシェフの丸山です。至って普通の当たり障りないうなぎを焼くことに定評があります」
「言い方!」
「最後は新人のシェフですね。才能はありますがゲームばっかりしていて常にVRの装置を装着したままです。指名料を200円頂戴します」
「最後指名料かかるの!?ねえ、普通のシェフ丸山の待遇!なんか丸山さんに焼いてもらいたくなりました!丸山さんでお願いします!」
「はい、丸山で!ありがとうございます!」
「ふう、長かったにゃあ。」
「すいませんお客様。本日丸山の体調が優れないようなので、丸山が自宅からリモートワークで焼かせていただきますがよろしいでしょうか?」
「もうけっこうですにゃ!」
「あーあ、なんだか変なお店だったにゃあ。でもうなぎは美味しかったし。きてよかった。あれ、あの人がリモートで丸山さんの代わりにVR装着しながら焼いてくださった新人さんかしら。あれ、あれれれれれれ…」
【おしまい】
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