【最近の日記】
千と千尋の神隠しは大好きな映画。この作品自体は監督の重大な決心があって半分自らのために作ったとおもってるんだけど今日はその話ではなくて食事シーンについて。
有名なのは冒頭のもの。両親が店員さんのいないお店の食事を食べるシーン。このシーンでは超有名なブルブルしたお料理に巨大な魚の頭、鳥らしきものや動物のモモ肉を骨つきのまま輪切りにしたと思われる料理などが並んでいる。このシーンが大好きで何度も繰り返して観てるの。
わたしが一番食べたいのはこの若鶏の姿焼みたいなお料理。背側を上にした状態で大量に山のように大皿に盛られている。手羽のサイズ的に地鳥だと思う。これは絶対食べたい。興味深いことにお母さんとお父さんのこの鳥の食べ方の違いがある。動体視力を全集中して観ると、お母さんは背側を上にして盛られていた鳥をつかみ、腹側から食いつくんです。これがお母さんの強そうな性格があらわれてる気がして。
というのも腹側から食べるのって肉食獣的なんです。一番栄養があって、獲物が植物を消化している可能性があるので植物性の栄養も摂れる腹側をまず食べる。その後に千尋に骨まで食べれるってことを伝えてるので肋骨あたりをバリバリ咀嚼していることがわかる。お母さん強いです。
その反面お父さんは背側を先に食べています。噛みちぎられた鳥の身の反対側に肋骨が見えていることからこれは確かだと思います。これもまたすごい。背骨を噛み砕いてる。豪快なお父さんの性格が出ています。
もう一つの重要な食事シーンはカオナシがいろいろ食べまくるシーン。ここでも先ほどの若鳥に類似したお料理が出てきていますし、この世界ではけっこうポピュラーなのかも。お寿司なんかもある。イカ飯があるところも凄くいい。この二つのシーンだけでも沢山のお料理が出てきてこの作品の舞台の食文化がいかに素晴らしいものだったかが伝わってくる。
その少し後で千とカオナシが対峙しているシーン。ここには食い散らかされたお料理が並んでいます。お魚の丸焼きや骨が散乱していて、お魚の丸焼きのすぐ近くには巨大な手羽らしきものが二本転がっていたり。
ここまで読んでいただいて気づいた方もいるかもしれない。この作品の食事シーンはみんなでシェアしながら食べるスタイルの食事提供なのにみんなで食べてない。最初は家族でいながら両親だけ。次はカオナシだけ。このカオナシは一人で散々飲み食いしても豚にはされない。散々もてなされて千にだけしか金を与えないと決めもする。非常に奥が深い作品。
話は変わって、この食事シーンを中心に作品の舞台が違う場所だったらと想像すると面白い。
例えばイギリスだったら?フォッシュアンドチップスにローストビーフ、ハイティーなんかが並ぶだろうし、アメリカならカラフルな色のケーキに各社自慢のハンバーガーにフライドチキン、七面鳥。日本なら?お寿司天ぷらを筆頭にナスの揚げ浸しや湯気のたってる山菜おこわもいい。こんな妄想はいくらでも広がっていく。
こういった贅を極めた食事ってこれから減っていくと思う。食材のロスや食べ過ぎることへの抵抗感など。いろんな面で必要かどうかわからない分量のお料理を作ることはとても難しい。日本は今お金のたくさん流れる時代ではないから一回の外食を含む食事に使えるお金というものもどんどん限られてきてるし。そう考えると回転寿司が流行る理由ってすごくわかる。特に比較的お値段のお手頃なお店。そこそこ美味しくてお財布にも優しい。しかも食べれるのはお寿司だけじゃなくて、麺類から揚げ物にデザートにお酒、いろんなものを少しづつ楽しめる形を変えたビュッフェスタイルレストランのよう。
長くなってきたので筆をおく。ステキな一日になりますように。