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【ハルコちゃんへの手紙】
もうすぐ夏ね。夏がきて、太陽が明るくて、暑いくらいに明るくて、その熱は大地に伝わって、緑の草がたくさん伸びて、そこにはバッタやアマガエルなんかも集まってきて、そこで遊んでいたら蚊も集まってきて、かゆいこともよくあって、畳を転がりながら冷えた場所を探して転がって、いつのまにか少し眠って、夕飯を作る音、鍋の焼ける香り、割れた音のブラウン管が野球を流して、夕焼けが遠くに見えたら夜は目の前にあって、ぼくらは、わたしたちは、夕陽が孤独の空の中にいることを知った。
朝早く起きて待ってるから、きっとね、太陽は空高く昇ると思う。
朝早く起きて待ってるから、きっとね、太陽が空高く昇ると思う。
ねえ、あの日きみはどうしてわたしの手をとってくれたの?何も教えてくれないからもうこんな時間。また太陽が沈んでいく。
夏がもうすぐくるね。夏、あ、そうだ、ハルコちゃん。夏と言えば【優まさる】の季節ね。日本で夏と言えばカキ氷とか、花火とか、【優まさる】よね。楽しみだね。
え?あたいカキ氷はいいからあんぱんがほしい?いや、あんぱんは夏の例えでね、あ、また夕陽がやってきた。今日も楽しかったね。また明日会えるかなって?会えるよ。
朝早く起きて待ってるから、きっとね、太陽は空高く昇ると思う。
朝早く起きて待ってるから、きっとね、太陽が空高く昇ると思う。
ほらね、ハルコちゃん、わたしはここにいて、ハルコちゃんだってここにいて、昨日と同じようで、それでも何かが新しい世界。
まっさらな世界、なにもないってわけじゃなくて、まだまだ描きたせて色を塗って、音楽だって流れてて、楽しいよね、ハルコちゃんが友達になってくれたから見れた世界。この場所でできた最初のお友達。しろくまのハルコちゃん。ネット恐怖症気味のわたしはさ、やばっ、しろくまきたよって思ったよ。ごめんね、最初はちょっとびっくりした。懐かしい。
え、そんなことはいいから一緒にあんぱん食べようよって?いいよ、じゃあ一緒に食べよう!あら、なんかハルコちゃんの方があんこいっぱい入ってない?いいなぁ。え、くれるの?ありがとう、ハルコちゃんはいつも優しいね。ありがとう、ハルコちゃん。いつもありがとう。
また夕陽がみえたね。きっとあっという間に夏が終わって、それでもわたしたちは地球のどこからだって、どんな季節にだって、たった一つの太陽からあの夏の日に戻ることができるから寂しくなんかないよね。実はもう一個あんぱん買ってあるんだ。また明日、一緒に食べようね!
え?明日は会えるかわからないから今食べようって?明日もまた会えるって。じゃあ、とっておき!あんぱんは明日で、今日はコロッケを食べよう!このコロッケはすごく美味しいコロッケでね、ハルコちゃん知ってるかな、近くの商店街のお肉屋さんが売り始めたの。あ、包装されてるもの以外はダメだって。ごめん、ハルコちゃん。コロッケはダメだって。明日は包装されてるコロッケパン持ってくるね。
必ず、そこから出れるから。明日もきっとね、太陽は空高く昇ると思う。
朝早く起きて待ってるから、明日もきっとね、太陽が空高く昇ると思う。
愛を込めて
クリオネより
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