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【ダンキン・ドーナツで朝食を】 #逆噴射小説大賞2020ボツ作品

 外から音がしない朝だった。ホテルの窓から見ても車通りも歩行者もない完全な朝だ。みんな寝ているのだ。薄くて熱いコーヒーを淹れて、昨日買っておいたダンキン・ドーナツを取り出す。
 Twitterを開いた。それは上等なホテルのスイートルームの執事のように慣れた手つきで僕に世界のトレンドを教えてくれるはずだった。   
「sir、こちらが昨夜お眠りになられてから今朝起きるまでに更新されたNewsでございます。」
 見事な手つきで開かれたTwitter。猫友の三毛猫みりり、行きつけのサンドイッチ屋。新しい投稿はその二件だけだった。
 「これはどういうことだろう。」
 「どうやら世界中が同じ時間に夜を迎えて眠りについたようですな。」
テレビも放送がない。サンドイッチ屋にDMしてみるとすぐに返事が来た。
 「そうなんです。おかしいです。人も歩いてませんし、まだ野菜もパンも配達がないんです。朝が勝負なんだけどなぁ。困りました。」
 手作りパンで作るサンドイッチ屋、たしかそれがウリだったと思ったが今はそんなことを話し合っている場合ではなさそうだ。
 「三毛猫のみりりさん、おはようございます。今朝のご機嫌いかがですか?」
 DMを送った。コーヒー・カップの中でダンキン・ドーナツはすでにポリッジみたいになっていた。
 「おはようございにゃす!ただ今みりりは漁港でお魚待ちですにゃ。でも何かおかしいのにゃ。お船が見当たりませんの。でもさっき海の遠くから巨大なものが近づいてきてるのに気づきましたのにゃ!にゃにゃにゃ!すごい巨大ですにゃ!」
 トレンディ。僕は指を鳴らしてメッセージを追加した。
 「その海はどちらに?」
 「太平洋ですにゃあ!」
 窓から見える太平洋を見る。やれやれ。それはリアルに、メタファーではない明確さを持ってそこにあった。

 マセラティ。雲よりも巨大な黒いマセラティがこっちへ向かって海の上を走っていた。


続かない




これもボツ作品。ボツにした理由といえば主人公がけっこうゆっくりしたタイプなので800文字では話がほとんど進まなかったこと。無理に800字にしたことによって主人公の良さが出せなかったこと。いや、もはやこの主人公自体がコンテストに応募するには問題であります。時間をかけて初めから最後まで書いてみたい気もしますにゃ🐈

最近は筆力よりも画力の向上に感心していますの。

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クリオネ
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