愛聴盤3選 No.1
皆さんこんにちは、ぶらいんどと申します。筆があまりにも遅い割には前回の記事からあまり時間が経たないうちに、再びお目にかかることになりました。
これから、私が愛聴しているアルバムを3枚ずつご紹介しようと思います。タイトルに「No.1」と付けたのは、シリーズ化の可能性を匂わせたかったからですが、実際に続けるかどうかは私の気力次第です。自身のやる気が続くことを心から願っていますが、その願いが叶うかどうかは神のみぞ知るというところでしょうか。では、お時間が許す限り、どうぞお気軽にお付き合いくださいませ。
Revolver / The Beatles (1966)
さて、栄えある最初の紹介は『Revolver』です。ご存知の方も多いでしょうこのアルバム、イギリスの伝説的ロックバンドであるザ・ビートルズの大名盤です。
実は私、ビートルズが最も好きなアーティストでして、その中でも最近は『Revolver』が一番のお気に入りです。まぁ、ビートルズのアルバムはどれも驚異的な完成度を誇っているので、気分次第で「一番」がコロコロ変わるかもしれませんが、それはご愛嬌ということで。
とにかくこのアルバムは、音楽的な実験と革新の嵐そのもの。どこを切っても、ビートルズがここで意識的に「音楽とはこうあるべきだ」という固定観念をぶち壊しているのがわかります。
サイケデリック・ロックという一大ムーヴメントの濫觴のひとつとなった今作。一曲一曲が独自の実験と批評を伴いながらも、全体として一種の皮肉めいた共鳴を生んでいます。
このアルバムひとつに、サイケデリック・ロックはもちろん、ラーガ・ロック、チェンバー・ポップ、アシッドフォーク、インド音楽、コミックソング、モータウンサウンド、実験音楽など、さまざまな音楽性が織り交ぜられています。さらに、従来のポップミュージックに対する冷笑的な態度が、ライブでは到底再現できない逆再生の音など実験的な音響と融合し、音楽の枠組みを徹底的に解体しています。アルバム全体が一つのニヒリスティックな傑作として存在しているのです。
……とまぁ、このアルバムについては永遠に語り尽くせるのですが、あまりに長くなりすぎてしまうので、ここで一区切りにします。
いつか『Revolver』だけで一つの記事を書きたいところですね
IGOR / Tyler, the Creator (2019)
コーチェラ・フェスティバルでの圧巻なパフォーマンスが記憶に新しいタイラー・ザ・クリエイター。彼の代表作といえば、第62回グラミー賞で最優秀ラップ・アルバム賞を受賞した『IGOR』でしょう。
このアルバム、意図的に音楽の境界線を曖昧にし、ジャンルという名の壁をただの背景にしてしまっています。ヒップホップ、R&B、ファンク、ソウル、エレクトロニカのエッセンスが奇妙に絡み合い、ローファイな質感と繊細なプロダクションが絶妙な緊張感を生み出しています。
前作『Flower Boy』のメロディアスなサウンドを踏襲しつつも、前々作『Cherry Bomb』以前のノイジーなビートが回帰し、彼の新旧スタイルが融合しています。夢幻の中を漂うようなシンセサイザー、ややサイケデリックな音像、エッジの効いた荒々しいドラムが次々と鳴り響き、聴覚に静かな衝撃を与えます。トリッキーなトラックとブレンドして作り出された世界観は、彼持ち前のユニークセンスそのもの。ヴォーカルに施された変則的で大胆なエフェクトは、感情の深層を掘り起こし、内なる葛藤と自己探求を詩的に浮かび上がらせています。
クラシックなソウルアルバムにも匹敵する痛み、脆さ、抑えがたい衝動を詰め込み、タイラー・ザ・クリエイターの音楽的探求と革新が色濃く反映されたこのアルバム、歴史を変えた大傑作として名を馳せることでしょう。少なくとも、タイラーが再びその歴史を更新するまでは。
Horses / Patti Smith (1975)
さて、最後に紹介するアルバムは、パンクの女王とも称されるパティ・スミスのデビュー作『Horses』です。ニューヨーク・パンクを形作ったアルバムの中でも、特に過激な芸術性と繊細な詩情が交錯するアーティスティックな傑作となっている本作。彼女の歌声は完璧なんて一切気にせず、むしろ荒々しい歌声で裂け目、引っ掻き傷、噛み跡をたっぷりレコード盤に刻み込んでいます。プロデューサーには、あのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルを迎え、スミスの革新的な音楽性と表現力が炸裂。音楽と詩がごちゃ混ぜになった、なんともユニークでクールなアルバムとなっています。
ヴァン・モリソンのカバー曲である「Gloria」は単なるカバー曲にとどまらず、スミスの創造力と情熱が注ぎ込まれた、少しスリリングな新解釈が加えられています。パンク・ロックの荒々しさと詩的な深みがここまで仲良く手を取り合うのも、彼女だからこそ。アルバム全体にわたる即興的なアプローチと自由な表現は、聴く者を虜にし、彼女が描き出す時代の息吹を感じさせます。それにしても、わざと声を潰し荒々しく歌う態度ときたら、これぞパンクの極みと言えるのではないでしょうか。
『Horses』は、パンクの美学と詩的な感性が見事に融合した、まさに革命的なアルバムです。スミスの力強い歌声と詩的な歌詞が織りなすこの作品は、時代を超えて響き続けることでしょう。ただし、当時の彼女はビートルズのように音楽シーンの中心にいたわけではありません。むしろ、スミスが自らの道を切り開くたびに、音楽界はその革新に気づくのが遅れがちだったのです。結果として、後年になってからその重要性が認識されるという、ありがちな音楽史の物語の一部となったわけです。
これらのアルバムは、私の音楽的旅路に欠かせない存在です。私の独り言を少しでも読んでいただけたのなら、私としてはありがたい限りです。
それでは、また〜