女流俳人「星野立子」について
星野立子(ほしの たつこ)は、高浜虚子の次女で、明治から昭和にかけて生きた女流俳人です。
彼女の俳句は多くの人に愛されており、父譲りの俳句の才能は虚子一族の中でも群を抜いていました。以下は、彼女の有名な俳句のいくつかです
「ままごとの飯もおさいも土筆かな」
季語:土筆(春)
意味:ままごとの、ごはんもおかずも土筆であることだなあ。
この句は、立子が23歳の春に初めて作ったもので、父虚子から勧められて作られました。
「雛飾りつゝふと命惜しきかな」
季語:雛飾り(春)
意味:雛飾りを出しながら、ふと命が惜しくなったことだ。
立子が五十歳を目前にして作ったもので、自身の女性の人生を思い返した句です。
「囀りをこぼさじと抱く大樹かな」
季語:囀り(春)
意味:鳥たちのさえずりをこぼすまいと抱く大樹であることだ。
春の喜びを詠うたくさんの鳥たちの鳴き声を、こぼすまいと抱く大樹の様子に作者の生への慈しみが感じられます。
「父がつけしわが名立子や月を仰ぐ」
季語:月(秋)
意味:父がつけた私の名前は立子である、月を仰ぐ。
立子が亡くなったのは、1984年3月3日の桃の節句でした。
「しんしんと寒さがたのし歩みゆく」
季語:寒さ(冬)
意味:しんしんとした寒さを楽しみながら、歩いてゆく。
しんしんと雪が降る中、その寒さを楽しみながら歩き続ける姿は、作者自身の人生を表しているのでしょう。
星野立子の作風は、女性ならではの繊細な視点から自然の美しさや何気ない日常を詠ったものが多くあり、その明るく自由な感性は今でも支持を集めています。