日本酒検定準1級の過去問解説(2024/9/7分) 問31~40


前回の振り返り(問21~30)


前回は、日本酒検定準1級の問21~30について解説してきました。

まだ、そちらをご覧になっていない方は先にこの記事をどうぞ!

それでは続きを解説していこうと思います。


問31

太平洋戦争下の日本酒に関連する出来事として誤ったものを選択肢より一つ選べ。

1:酒類の配給制  2:蔵元数の半減  3:アルコール添加法の普及  4:級別制度の廃止


31問目は太平洋戦争下時の日本酒に関する問題でした。

戦時下においては、食用の米の確保も困難になっており、酒用の米の確保も当然厳しくなっていきます。

そんな中で、1943年には酒税法改正により、日本酒原料へのアルコール添加が認められ、翌年にはアルコール添加法が普及しました。

また、1943年には酒類の配給制、日本酒の級別制度が導入されました。

加えて、戦況の悪化に伴って各地の酒造数も半減しました。


(テキスト132ページ)


A.4:級別制度の廃止


問32

三増酒の誕生した頃に横行していた密造酒として誤ったものを選択肢より一つ選べ。

1:アカダマ  2:バクダン  3:カストリ  4:メチル


32問目は三増酒に関する問題でした。

戦後は、物資不足が続き、醪に同濃度の水で希釈した醸造アルコールなどを添加する製法が認められました。

これによって作られた日本酒は、三倍増醸酒、略して三増酒と呼ばれ流通し、「メチル」「カストリ」「バクダン」などといった粗悪な密造酒に代替していきました。


(テキスト133ページ)


1:アカダマ


問33

高度経済成長期の日本酒に関連の出来事としてあてはまらないものを選択肢より一つ選べ。

1:冷房設備を備えた酒造り  2:カップ酒の販売開始  3:吟醸酒・大吟醸酒の台頭  4:自主流通米制度の開始


33問目は高度経済成長期の日本酒に関する問題でした。

以下に高度経済成長前後の日本酒に関する出来事をまとめます。

1949年・・・酒類の販売自由化+角打ちの復活+酒税法の施行
1961年・・・冷房設備を備えた酒造り
1964年・・・カップ酒の販売
1969年・・・自主流通米制度の導入
1973年・・・防腐剤の添加禁止の導入
1980年〜・・・吟醸酒ブーム

(テキスト133〜136ページ)


3:吟醸酒・大吟醸酒の台頭


問34

日本酒の級別制度が完全廃止された年を選択肢より一つ選べ。

1:1990年  2:1992年  3:1994年  4:1996年


34問目は級別制度に関する問題でした。

問31でも扱いましたが、級別制度は1943年に導入されました。

級別制度は品質差ではなく、酒税額の違いで定められており、級が上がると結果として販売価格が高くなるという事態となっていました。

しかし、消費者は級の違いが味の違いと認識していたため、酒造は低級でも美味しい日本酒を作ろうと試みて、次第に消費者に低級でもうまいという認識を広げていきました。

加えて、他国から酒税の関税が高いという批判の声も相まって、1989年に酒税法が改正され、日本酒の級別制度の廃止が決まりました。

1、2級から廃止が始まり、1992年には完全廃止となりました。

(テキスト135ページ)


2:1992年


問35

日本酒製造者が用いる、少し黄色がかった外観への表現を選択肢より一つ選べ。

1:ハリ  2:ネモ  3:テリ  4:サエ


35問目は日本酒の外観表現に関する問題でした。

日本酒のテイスティングにおいて、外観の評価は非常に重要になります。

伝統的に日本酒製造者は、以下のような言葉を使って外観表現をしていました。

サエ・・・清澄度や透明感を表す(少し青みがかっている場合は青ザエと呼ぶ)
テリ・・・少し黄色がかった状態を表す
ボケ、白ボケ・・・濁りや曇りがある状態を表す

※これらは日本酒製造者が独自に使う言葉であり、提供者が使うには注意が必要です。

(テキスト155ページ)


3:テリ


問36

熟成香の主成分を選択肢より一つ選べ。

1:グアニル酸  2:ジアセチル  3:ソトロン  4:酢酸エチル


36問目は日本酒の香りに関する問題でした。

日本酒の香気成分は複数ありますが、各香りには対応する化合物があります。

吟醸香
①カプロン酸エチル・・・りんごや洋梨のようなみずみずしい果実のような香り
②酢酸イソアミル・・・バナナやメロンのような濃厚な甘味を持つ果実のような香り
熟成香
ソトロン・・・カラメルや黒糖のような甘い香り、高濃度ではスパイスのような香り


(テキスト158ページ)


3:ソトロン


問37

メイラード反応により褐色化をもたらす成分を選択肢より一つ選べ。

1:リンゴ酸  2:クエン酸  3:アミノ酸  4:酒石酸


37問目は日本酒の色の変化に関する問題でした。

日本酒はそれぞれ独自の色を持っていますが、時間経過でその色が変化することがあります。

時間経過により、日本酒内の糖分とアミノ酸が褐色反応を起こし、色が黄色→茶色に変化することがあります。

これがメイラード反応と呼ばれるものです。


(テキスト156ページ)


3:アミノ酸


問38

温度の高い方がよりコクや厚みを感じやすい酸を選択肢より一つ選べ。

1:クエン酸  2:乳酸  3:酒石酸  4:リンゴ酸


38問目は酸味に関する問題でした。

日本酒の酸味成分の主な構成要素として、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などがあります。

乳酸はボリュームやコク、厚みを生み、リンゴ酸・クエン酸はすっきりさ、シャープさを生みます。

乳酸は温度が高いとコクや厚みが増し、リンゴ酸・クエン酸は温度が低いと爽やかさを増します。


(テキスト163ページ)


2:乳酸


問39

日本酒中に含まれる旨味の量を選択肢より一つ選べ。

1:ビールの約1.5~2倍  2:ビールの約3~4倍  3:ビールの約5~6倍  4:ビールの約7~10倍


39問目は旨味に関する問題でした。

日本酒の旨味成分の元は、主にアミノ酸、コハク酸などです。

これらの旨味成分は、米に含まれる成分を麹菌が分解することにより生成されます。

日本酒の旨味成分は、他の醸造酒に比べても多く、ワインの約2~3倍、ビールの約7~10倍に相当するとされています。


(テキスト164ページ)


4:ビールの約7~10倍


問40

日光臭が生じた日本酒に含まれる香りの成分を選択肢より一つ選べ。

1:ジアセチル  2:脂肪酸  3:酢酸エチル  4:メルカプタン


40問目は香りの劣化に関する問題でした。

日本酒は紫外線や熱、空気接触などにより劣化していきます。

その中で、日本酒は紫外線の影響を受けると、外観が黄色化または茶色化が進むと同時に、日光臭と呼ばれる劣化臭を生じさせます。

この日光臭の成分は主にメルカプタンで構成されています。

また、ジアセチルはつわり香(乳製品のような不快な甘い香り)、酢酸エチルはセメダインや接着剤のような香りの元となる成分です。


(テキスト175ページ)


4:メルカプタン




今回は問31~40を解説してきました!

問31~40について解説した記事はこちらになります。

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