酔い街、言葉探し
飲んだ日の帰り。
私は、夜道を歩く。
住宅街は、昼間の喧騒を忘れたのか
夜の闇に息を潜めている。
ポツリポツリと、灯りが点いている。
眠れない夜に、彼らは何を思っているのか。
酒に浮かされたのか、思考も浮わつくようだ。
普段は何も感じない風景に、言葉が跳ねる。
言葉の溢れる世界なんて
なんともロマンチックじゃないか。
私たちは
拙い愛を、あらやる言葉を尽くして伝え会う。
そんな生き物だ。
愛おしいあの人に伝える言葉は
世界一美しくあってほしい。
そんな大層なことを考えて
自分がいつもより酔ってるのを自覚し苦笑した。
彩度を上げた街を、歩いていく。
夜の闇にも負けない、美しい言葉を探しながら。
『酔い街、言葉探し』