また、雪が降るのか
また、雪が降るのか。
白く曇った空を見上げた。
この街のあちらこちらに
君がいるような気がしてしまって
少しだけ、笑ってしまいそうだよ。
君と繋いだ手の温度。
君が行きたいって言った喫茶店。
ただ、並んで歩いた道。
僕の記憶で君が笑う。
ずっと、ずっと笑っているんだ。
この世界の何処にもいないのにね。
まるで隣にいるような気さえするよ。
落ちてきた雪が、街を白色に塗りつぶす。
想い出を隠すように。
それが答えなのか。
僕は、もう進まないといけないのかな。
好きだった君を探すのをやめて
白い街へと踏み出した。
流れそうな涙が堪えきれなくて
白色が滲むけれど。
ただ、まっすぐ歩いていこう。
君の分まで、まっすぐに。
「また、雪が降るのか」