クランプスのよる
そりがはしる。
すずのおとがきこえる。
でもね
ぼくは、わるいこだから
サンタさんはこないんだ。
だって、だって
いもうとをなかせちゃったんだもん。
おもちゃであそんでいたのに
いもうとがかしてって。
ぼくはいやだよ。
そういったんだ。
おかあさんがきて
おにいちゃんなんだからがまんしなさい。
そういっておこったんだ。
いもうとは、ぼくからとったおもちゃで
たのしそうにあそんでいた。
それをみて、ぼくはかなしくなった。
いもうとなんていらないよ!
そう、おおきなこえをだしたんだ。
そうしたら、いもうとはわんわんないた。
おかあさんがぼくをおこる。
だって、どうして。
おにいちゃんはがまんしないといけないの。
ぼくだってあそびたいのに。
おふろのときも
よるごはんのときもかんがえてた。
でも、どうしてもわからない。
たのしくあそびたかっただけなのに。
ベットのなかでかんがえる。
そうしたら、まどがひらいた。
「おやおや、これは…
メリークリスマス」
くろいふくをきたおとこのひと。
てには、おおきなちゃいろいふくろ。
「ここには、こどもがふたりいるときいたんだ」
「どうだろう、ひとりをおれにくれないか」
「わるいようにはしないさ、おれたちと
はたらいてもらおうとおもってね」
おとこのひとがいっていることはわからない。
だから、あなたはだれですか。
そうきいたんだ。
「おれは、クランプス。
わるいこのみかただよ」
「おまえは、いもうとをなかせたそうだな。
だから、そのじゃまないもうとを
おれがもっていってやろう」
ぼくはびっくりした。
でも、いもうとがいなくなれば…
ねぇ、クランプス。
つれいったらどうするの。
「ん、そうだなぁ。
わるいやつらとわるいことをさせようか。
それとも、おれといっしょに
わるいこをさがしにいかせようか」
クランプスはニヤニヤわらいながら
かんがえる。
そのかおは、えほんでみたあくまみたいだ。
「さぁ、おにいちゃんはどうするんだい」
ぼくにかおをちかづける。
そのときに
いもうとのことをかんがえた。
いもうとと、たのしくあそんだひ。
いもうとと、おいしいごはんをたべたひ。
いもうとと、ねむるときにてをつないだひ。
そして、いもうとがうまれたひ。
ぼくは、いったんだ。
いもうとはあげないよ。
「…そうかい。
じゃあ、おまえがくるのか」
だめだよ。
ぼくは、おにいちゃんだから
いもうとといっしょにいるんだ。
「へー、そうかい。
そうかい。
わかったよ」
クランプスはつまらなそうに
くちをとがらせた。
「じゃあ、おまえがわるいこになったら
むかえにくるよ」
そういって、まどからとびさっていった。
ぼくは、あけたままのまどから
クランプスがとびさったのをみて
ばしんと、まどをしめたんだ。
おきると、ベットのうえだった。
クリスマスツリーのしたに
はこがたくさんおいてある。
ぼくは、おかあさんとおとうさんにきいた。
あけてもいいかって。
そうしたら、いいよって。
だからおおきなはこをあけたんだ。
ぼくのほしかったおもちゃ。
それをてにとって、おおきなこえをだした。
そうしたら、いもうとがきたんだ。
いもうとが、かしてって。
だからね、ぼくは
おもちゃを、わたしてあげた。
だって、いもうとは
ぼくにとってだいじなものだから。
うれしそうないもうとをみて
ぼくも、すっかりうれしくなったんだ。
「クランプスのよる」