ユーレイとハロウィン





ボクはユーレイ。

となりにいるくろねこの

おじいさんも

そのまたおじいさんもしっている。


ながいあいだ、このまちにいるんだ。

きょうのよるは、なんだかにぎやか。


ハロウィンのひだね。

おとなも、こどももおもいおもいのかっこうだ。


ボクのまえを

かわいらしいオバケたちがあるいていく。


でも、そのなかにひとりだけ

ないているこをみつけたんだ。


「やぁ、こんばんは」


すこしおどろいたかおでボクをみた。

そのこがもってるカゴにはおかしはみつからない。


「どうしてないているのかな」


ぼくはそうきいたんだ。

そのこは

だれからもおかしをもらえないんだって。

そう、なくんだ。


「うんうん、ならくれそうなひとを

さがしてみようか」


ボクはそのこのてをひいてあるいてく。

つめたいてだった。


「さぁ、このとびらをノックして」


おそるおそる、とびらをたたく。

なかから、ぶっちょうづらのおばあさん。


そのこは、こごえで

トリック・オア・トリートといった。


まじょのかっこうのおばあさんは

ニヤリとわらって、チョコレートをカゴにいれる。


よいよるを。

おばあさんは、こわいかおでわらってた。


はじめてのおかしに、はしゃいでいる。

ボクもいっしょにもらえばよかったや。


「さぁさぁ、おつぎは…」


それから、たくさんのいえをまわる。

おおかみおとこや、きゅうけつき。

ミイラおとこ。


みちをあるいていた

かぼちゃあたまのおとこにも。


いつのまにか、カゴはおかしであふれている。

ないていたのがうそみたい。

にこにこ、えがおだった。


「よかったね。

 これだけあればじゅうぶんかな」


そのこはうなずいて

ありがとうっていったんだ。


「じゃあ、かえろうか。

 ハロウィンナイトはそろそろおわり」


おかしをいっぱいもってあるく。

めのまえのみちに、ドアがいちまい。


きょうはハロウィン。

しんでしまったこたちだって

たのしんだっていいじゃないか。


あけはなたれたドアのさきは

まばゆいひかり。


「らいねんもまっているよ」

ボクはてをふって、そのこをみおくる。


パタンと、ドアはしまって

とうめいになってきえていった。


ユーレイがオバケにおかしをもらう。

なんだかすこしおもしろい。



みんなは、だれかにおかしをもらったかな。

じつは、きみたちにおかしをくれたのは

ほんもののオバケだったかも。


ふふふ、ねんにいちどのハロウィンさ。

おいしいおかしをたくさんめしあがれ。


         「ユーレイとハロウィン」

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