コトドリの動物園





ライオンちゃんと、ウサギくんは

今日も仲良く遊んでいました。


いつもの広場に向かうと

そこには、知らないテント。


ライオンちゃんは

うーん、これはなんだろう?と

ウサギくんに聞きます。


ウサギくんも頭を捻るばっかり。

でも、なんだか楽しそうな気がして

入ってみようと言いました。


ライオンちゃんも、うんと頷いて

ウサギくんの後に続きます。


「やぁ、やぁ!いらっしゃい!」


テントの前まで来ると

大きな声でそう聞こえてきます。


2匹はびっくり。

キョロキョロと辺りを見回します。


すると、テントの中からひょこひょこと

1羽の鳥が歩いてきます。


「僕はコトドリと申します。

 この動物園の園長です」


ニコニコと笑うコトドリに

2匹は顔を見合わせます。


動物園ってなぁに?

そう、ライオンちゃんが聞きました。


「はい、いろんな動物がいて

 どんなことをしているのかを見るところだよ」


そう、コトドリは答えます。


へー、楽しそうだね!

ウサギくんが声をあげます。


「では、中を見てみませんか?

 きっと、楽しいですよ」


2匹はやったー!と声をあげました。


「まずは、象さん」

「パオーン、パオーン」


2匹は顔を見合わせます。

だって、どこにも誰もいないんですもの。


「ああ、ちょっと恥ずかしがり屋で

 人前に出てこないんだよ」


2匹は、そうなんだね!と笑います。


「お猿さんもいますよ」

「キー、キー!ウキキー!」


「次は、キツネ!」

「コーン!コーン!」


「お次は、ニワトリだ!」

「コケコッコー!!」


「さてさて、ネコさん」

「にゃー、にゃー」


「犬さんもいるよ!」

「うー、わんわん!」


どれもこれも、姿は見えません。

なんだろう、変なところだなぁと2匹は思います。


「では、次はライオンさん」


ライオンちゃんが、わーっと声をあげます!

うちのお父さんの唸り声よりすごいのかしら?


「がおーー!」


ん?

あれれ?

ライオンちゃんは、不思議そう。


ねぇ、ねぇ、コトドリさん?

今のはライオンさんじゃないよ?


「え?いやいや、ライオンさんですよ?」


だって、ライオンはこう鳴くの!

がぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!



「うわわわ!」


コトドリはビックリして

そのまま倒れました。


ああ、大変だ!

ウサギくんがコトドリを起こします。


「うーん…、あ、ありがとう」

「ごめんね、ライオンちゃん」

「僕、ライオンの真似はヘタみたいだ」


えぇ、真似?

2匹はビックリしました。


「うん、本当はここに動物は僕だけで

 今までの声は僕が出してたんだ」

「騙してごめんよー」


じゃあ、動物園じゃないじゃんか!

ウサギくんが怒ります。


でも、ライオンちゃんは

それは素敵じゃないの!と言いました。


ねぇ、コトドリさん。

こうしたらいいんじゃない?


「うん、なになに?…あぁ、なるほど!」


ウサギくんも耳をそばだてて聞いてみます。

そして、それはいい提案だね!と言いました。


………


「さぁ、さぁ!」

「皆様、来て、見て、聞いて!」

「コトドリの物真似小屋だよ!」


うふふ、大繁盛だね!

ライオンちゃんが言います。


みーんな、楽しそう!

ウサギくんも笑顔になりました。


          「コトドリの動物園」

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