そらにゆれるくらげ





さぁ、もうねるじかんだね。


おばあちゃんがいった。

わたしは、ベッドにもぐりこむ。

そうして、おはなしをねだった。


そうだねぇ、とすこしかんがえて

おばあちゃんがかたりはじめる。


むかしむかし

わたしがたびをしていたころのはなし。


おばあちゃんのおはなしは

いつもこのことばからはじまる。


ひろいひろいそうげんがひろがる

そんなくにだった。


まちもまばらで、そとでねむることにしたんだ。

かぜがきもちよい、そんなよるだった。


なつかしそうに

おばあちゃんはかたる。


そらにかがやくほしはかぞえきれない。

でも、いつしかふしぎなひかりが

ふえていったの。


ほしとおなじようないろに

かがやきながらなにかがとんでいる。


それは、くらげだったわ。

ゆらゆらとしょくしゅをたなびかせて

かさをひろげてとんでいた。


それが、ほしのひかりをうけて

むすうにかがやいていた。


わたしはそれをながめながら

ねむりにおちていったわ。


きっと、かれらもたびをしていたのね。

わたしとおんなじでどこかをめざして

そらをとんでいたの。




わたしは、あくびをひとつして

おばあちゃんのおはなしをききながら

ゆめのなかにおちていったわ。


どこかしらない、ひろいそうげん。

そのなかにたたずんで

そらをみあげているわたし。


つきとほしがかがやくそらに

たくさんのくらげがとんでいったわ。


しろや、あお。

あかいろのひかりをはんしゃして

それはとてもきれいなこうけいだったの。


わたしは、いつまでもいつまでも

それをみていたの。


つかのまのゆめ。

だけど、そのこうけいを

わたしはわすれたくないっておもったわ。


きづくとあさがきていたの。

キッチンでおとがして

わたしは、きのうのゆめをおばあちゃんに

しゃべりにいったんだ。


         「そらにゆれるくらげ」

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