賭事狂乱
知らない場所。
知らない椅子に座っている。
これは、夢だろうか。
そうだねぇ…。
ひとつゲームをしようか。
テーブルの向かい側から声が響いた。
女性が挑戦的に此方を見ながら微笑んでいる。
ババ抜きさ。
知ってるだろ?
ぞくぞくと背筋に悪寒が走る。
それと同時に高揚感が沸き上がる。
考える前に口から出てきたのは
俺は、何を賭ければいい。
その一言だった。
彼女の微笑みに、少しの悪意が乗る。
命よりも重いもの。
女性はそう返す。
自身の口角が上がる。
やはり俺は狂っているんだろう。
こんな訳のわからない場面でも
賭けが出来ることに喜びを
感じているのだから。
笑顔が抑えきれない。
手札を揃える。
さぁ、狂喜の賭けを始めようか。
『賭事狂乱』