春、陽だまりの中で
春眠暁を覚えず。
なんて、良く言うけれど本当に春は眠い。
窓辺に座って
じんわり暖かい陽射しを受ける。
どんな季節の光よりも春の光は柔らかい。
ぼんやり眺める外に春風が吹いた。
新緑が揺れる音さえ眠気を誘う。
自分の体温が上がるのがわかった。
たまの休みだ。
気の向くままに寝てしまおう。
メガネを外して、テーブルに置いた。
クッションと毛布を引っ張ってくる。
陽だまりの中はさらに暖かい。
目を瞑ると、外の音が良く聞こえた。
風の音も、遠くではしゃぐ子供の声も
雑多な音が混ざって心地好く響く。
意識はじわりじわりと溶けていく。
底に着いたように眠りに落ちる。
風に優しく起こされた。
光は先程よりも柔らかい。
昼を過ぎたくらいだろうか。
微睡みから抜け出せない。
しょうがないからもう一眠りしようか。
僕は、毛布を被り直した。
『春、陽だまりの中で』
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