お読書のコーナー② ─『PEACE MAKER』
男性の99%は銃が好きだという(自分リサーチ調べ)。
そんな男性諸君、特に西部開拓時代を愛してやまない僕のような人たちにぜひとも一読いただきたいマンガを今回は紹介します。
皆川亮二『PEACE MAKER』です。
皆川亮二さんの過去作としては『ARMS』や『スプリガン』が挙げられます。最近は『海王ダンテ』というマンガを連載されており、こちらもめ~~~っちゃくちゃ面白いです。
僕が特に好きなのは、『ADAMAS』と今回紹介する『PEACE MAKER』です。
あらすじ・紹介
舞台は西部開拓時代(1860年代~1890年)に生活文化・様式がそっくりな架空の世界です。魔法は出てきません。
さて、主人公であるピース・エマーソンは、兄であるコール・エマーソンを探し世界中を放浪しています。
食うに困り、ある街にたどり着くピース。そこで「深紅の処刑人(クリムゾン・エグゼキューター)」という傭兵集団の手によって壊滅した村の生き残りである「ニコラ」という少女と出会うところから物語は始まります。
まず大きなポイントを紹介すると、主人公は銃士ではありません。
じゃあなんで銃(コルト・シングルアクションアーミー)を持っているの?ということなのですが、彼がそれをブッ放す時、それはどんな場合かというと、愛する仲間を守る時、弱き者を助ける時だけなのです。決して人を殺めることもなく、たとえ人を撃つときも手や足だけを狙い、相手を戦闘不能にするに留めます。
そして彼が人を殺めるとき、それは唯一「人」ではない「悪魔」と対峙するときだけ、銃を用いるのです。
「俺は決めたんだ…この銃を使うときは悪魔を撃つ時だけだと…他人の人生を平気な顔をして奪うことのできる人の皮を被った悪魔をな!!」
(上図:ピースの使うコルト・シングルアクションアーミー)
で、このピースを始めに、物語に登場する大半の人物は武器の種類問わず戦闘能力がとんでもなく高い。
例えば、物語序盤でピースが用いる技の一つである、上半身で銃の反動を抑え込み、3発の弾丸を寸分違わず1箇所に撃ち込む「スポットバーストショット」。これがもう物凄いカッコいい。憧れる。
他にもナイフ・日本刀で銃とやりあったり、ガトリングガンを手で持って撃ちまくる巨漢が出てきたり、キャラの特徴がそれぞれ非常に立っています。
終盤になるにつれて、タロットカードやブーメラン、下駄などを武器に銃と渡り合う輩が出てきます。さながらヴァーリ・トゥードです。
全17巻、完結済みで、ちょっと長編…と思われるかもしれませんが意外とあっさり読めます。別に銃が好きな男性以外にもおすすめです。
皆川さんの絵、別に独特の癖もなくとっつきやすいと思うので。
感想
完全ネタバレなしで感想を書くのは非常に難しい。
全体的に自分の好きな要素マシマシのどストライク漫画だった。特にピースとコールの関係性が端々から見えてくる会話シーンが琴線に触れる。
ただ、7巻からの展開は賛否両論あると思う。だが、僕はそういうストーリー展開も大好きだし、みんながそこまで「ちょっと…」とはならないと思う(むしろ王道かも?)。
ピースら御一行さまの旅に随伴する編者、と思えば、ある一人の心中に入り込んでその人の内面や考えていることを理解する編者、みたいな感じに物語への没入感が高い。
いわゆる「神の視点」ではなく、同じ目線で人物に関わって、接することができる。それに加えすさまじい銃や背景の小物などの描き込みが、上記の没入感を増幅させていると思う。
あ、ちなみに、
僕の好きなキャラはスティーブ・バケットです。
(終)