『白ダンダーン』を遊ぼう!


『白ダンダーン』とは?

 『《ダンダーン》は青のクリーチャーでは?』と思われる方、その通りです。では白いダンダーンとは何でしょう? 白ダンダーンは、海外サイト reddit で『青以外の4色のクリーチャー』を軸にそれぞれをダンダーンと同じ遊び方をするデッキが公開されたうちの1つです。
 今回、その『白い』ダンダーンについて、reddit のリストを参考にゲームバランスを調整したものを紹介します。カードが入手可能な方はぜひ遊んでみてください。

バリアントルールについて

 先手後手による有利さや《ダンダーン》の代替クリーチャーの特性、デッキ構成によるゲーム展開などを理由として、元祖ダンダーンからルールを追加したり削除したりする場合があります。

 この『白ダンダーン』では、『青ダンダーン』であった「先攻2ターン目に《ダンダーン》をプレイできない」のルールは適用しません。要は最もプレーンなダンダーンのルールでゲームを進行します。

 白ダンダーンの構築ルール変更点として、アーティファクトが1種類採用されています。必要となった理由については各カードごとの解説にてお話します。また、土地スロットにおいて無色マナが出る土地も1種類採用されています。
 
 ダンダーンの基本ルールについては『ダンダーンを遊ぼう!』の記事をお読みください。

さっそくデッキリストをどうぞ

クリーチャー:10
10 ヨツンの兵卒

インスタント: 26
8 確実性の欠落
2 予期せぬ不在
2 ロランの脱出
2 避難
2 落とし穴の罠
2 巻物変容
2 選り分け
2 ガイディング・ボルト
2 立像崩し
2 帰寂からの帰還

ソーサリー:8
2 天秤
2 倒れし者の記憶
2 秘密のランデブー
2 万難を排して

アーティファクト:4
4 終わりなき時計

土地: 32
16 平地
2 漂う牧草地
2 隔離されたステップ
2 信義の砂漠
2 空の遺跡、エメリア
2 隠された中庭
2 美麗聖堂
2 皇国の地、永岩城
2 地盤の際

カードを、読んで、理解しろ! 説明!!!

 それでは早速ですが、各カードを見てみましょう。

10枚 ヨツンの兵卒

君は累加アップキープに耐えられるか!

 白ダンダーンの指定クリーチャーはこの《ヨツンの兵卒》です。2マナと軽量、しかもデメリットがデッキ修復機能でゲーム展開も新しいものにできそうです。本家 reddit でもこのクリーチャーが提案されており、これを軸にスペルで味付けすることでうまくいきそうです。

8枚 確実性の欠落

わかりやすく《記憶の欠落》

 スペル8枚枠は《確実性の欠落》です。1マナ重くなった《記憶の欠落》であり、重い以外は機能上全く違いはありません。1マナ重くなったことで青ダンダーンでの醍醐味であった《記憶の欠落》のような撃ち合いはなかなか成立しませんが『相手のカードを奪う』という主目的は逆に達成しやすくなっています。

2枚 予期せぬ不在

数少ないライブラリTop操作

 戦場に着地した《ヨツンの兵卒》に触ることができ、自分が相手か好きな方に引き直させることができるカードです。このカードは後述の重要カード《終わりなき時計》への対応カードとしても重要な立ち位置を占めています。実はこのゲーム、《ヨツンの兵卒》よりも《終わりなき時計》が重要な争点となります。

2枚 ロランの脱出

効果範囲の広さと占術1が素敵

 白ダンダーンでは《ヨツンの兵卒》を倒すカードと守るカードの応酬、《終わりなき時計》の争奪戦でゲームが進行していきます。この《ロランの脱出》は1マナでどちらのパーマネントでも守ることができ、かつ、占術によって自分(もしくは相手)の引くカードを変える力があります。

2枚 避難

チェックメイト!

 ダンダーンにおける《海賊の魔除け》の島渡り効果ですが、白ダンダーンにおいては《避難》が受け持つことになります。このデッキにおけるプロテクションはほぼ全ての破壊呪文を避けることができ、攻撃的に使うなら相手のブロッカーをすり抜けてダメージを与えることができます。

2枚 落とし穴の罠

コスト軽減で奇襲をかけろ

 白には優良なクリーチャー除去がたくさんありますが、このダンダーンでは《落とし穴の罠》をピックアップしました。普通に使うと3マナのクリーチャー除去ですが、単独で攻撃された場合にはコストが軽くなり1マナで使用できるようになります。このカードの存在により、1マナ立てておくことでこの除去を意識させることができ、《ヨツンの兵卒》を複数維持させるという難しい戦略を迫ることができます。

2枚 巻物変容

経年カウンター? 知らないよ?

 クリーチャーをブリンクさせるのも白のお家芸です。当然カードチョイスには様々な選択肢がありますが、今回は《巻物変容》を選択しました。理由は、ブリンクをしたらすぐ戻ってくること、キャントリップがついていて手札を消耗しないことがあります。除去回避に使うもよし、経年カウンターをリセットするもよし。

2枚 選り分け

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 何このカード? その反応は正しいと思います。《選り分け》は土地ではない2つ以上の同名カードが戦場にあるとき、片方を除去してキャントリップがつくカードです。《ヨツンの兵卒》が10体も入っているデッキですので、同時に2体出ていることは非常によくある風景です。そして、このカードの真骨頂は《終わりなき時計》に触り、相手に選択を迫れることです。

2枚 ガイディング・ボルト

一般攻撃魔法

 3マナ除去。本来は及第点にも届かないカードですが、このゲームでは「占術2」が光ることになります。白は疑似ドローとして占術がついているカードが多く存在しています。そこで、ダンダーンのデッキ Top 戦略に合致する占術2を持つカードをチョイスしました。このカードがあることで相手との Top 攻防戦が面白くなることでしょう。

2枚 立像崩し

《終わりなき時計》に触れる貴重なカード

 キャントリップ付きのパーマネントタップ呪文、というのは仮の姿。本当の姿は《終わりなき時計》を破壊できることです。当然相手クリーチャーを寝かせて追加の維持コストを要求することも、攻撃前に使って相手のブロッカーを除けることもできます。カードアドバンテージを失わずにこれだけのことができるカードは数少ないです。

2枚 帰寂からの帰還

盤面逆転の秘策

 ぱっと見た目、どんなシチュエーションで使うのかわかりにくいカードです。初見では相手の除去を受けたクリーチャーを戦闘中に拾い上げて相打ちを取るように見えます。しかし相手のクリーチャーでも墓地に入ってしまえばあなたの墓地になるので、相打ちになったクリーチャー2体を一気に吊り上げることも実はできます。《天秤》にあわせるもよし、《立像崩し》で壊せた《終わりなき時計》に当てるのも良し。

2枚 天秤

禁止カードも登場

 ゲームさえ壊れなければこんな強力なカードを使うこともできるのがダンダーンの良いところ。相手にリードを許した盤面では躊躇せずに使っていきましょう。なお、このカードは相手の土地に干渉できる数少ないものです。フィニッシャーである《空の遺跡、エメリア》の達成条件(平地7枚)を遠のかせることができる数少ないカードなのでうまく使っていきましょう。

2枚 倒れし者の記憶

《ヨツンの兵卒》《終わりなき時計》を拾え!

 最近の白はクリーチャーを回収、戦場に出すことができるようになってきました。また、アーティファクトやエンチャントを回収することは昔から得意分野です。3マナと重いですが、その両方を選ぶことができるこのカードのポテンシャルは非常に高く、切削で落とされた《ヨツンの兵卒》と《終わりなき時計》を拾われた相手はとてもげんなりすることでしょう。

2枚 秘密のランデブー

デッキ構築サブテーマは『3枚引く』です

 今回のダンダーン企画に際し、全デッキに共通のテーマを設けようと考えました。並行作業で作っている他のダンダーンと比較し共通点を探ると全色で『カードを3枚引く』が使えそうだとわかりました(青は渦まく知識)。
 そこで白ダンダーンで白羽の矢が立ったのが《秘密のランデブー》です。3枚引く替わりに相手にも3枚プレゼントしてしまうデメリット付きのカードですが、相手との手札差が大きく不利な場面では、3枚引ける効果は相対的に自分が有利な取引にすることができるでしょう。

2枚 万難を排して

ブリンクと墓地回収、重いけど有用です

 ブリンクと墓地回収。本来であれば全くかみ合ってないこの2つの効果を余すことなく使えるのが白ダンダーンです。ブリンクで経年カウンターを外し、墓地から追撃用の《ヨツンの兵卒》を吊り上げる。切削をした《終わりなき時計》をアンタップしながら、墓地にある時計も吊り上げる。フィニッシャーとしても逆転の一石としても使われることでしょう。

4枚 終わりなき時計

この時計が世界の命運を握る

 先の説明から何度も、何度も、何度も名前が挙がっていたこのカード。通常のデッキ構築ルールから逸脱したアーティファクトでかつ、4枚枠として採用されています。
 この白ダンダーン、ゲームができるデッキとなるには何らかの方法で大量に墓地にカードを供給できることが条件となっていました。通常の呪文の応酬程度では《ヨツンの兵卒》の2回目の累加アップキープが支払えない場合が非常に多く、何らかの手段で墓地を肥やす切削が必要だとテストプレイ初期からわかっていました。
 しかし、白という色に恒常的な切削カードはないため、ここだけはデッキ構築ルールの特例としてアーティファクト(色がない)カードを加えてデッキにする方針としました。軽い《写本裁断機》から重い《研磨石》、軸を変えて《催眠の宝珠》や《永劫の中軸》も試してみましたが、デッキにマッチした切削アーティファクトは《終わりなき時計》でした。
 《終わりなき時計》は主に3つの用途が存在します。1つ目は単純な切削能力です。タップするだけで2枚切削できるこのカードのお陰で起動コストが負担にならず、呪文の応酬をしながら墓地を肥やすことができます。2つ目は下の能力によるライブラリー修復です。墓地にあるカードを全部戻すことで《ヨツンの兵卒》の維持コストを枯らすことができます。3つ目は選択的なライブラリ修復で、《帰寂からの帰還》などで対象になったカードだけを戻すことで自分の《ヨツンの兵卒》を維持しつつ相手のアドバンテージを削ることができます。
 

16枚 平地

お好きなイラストでどうぞ

 普段は何気ない基本土地ですが、このゲームではとても重要な役割を果たします。デッキ内にある《空の遺跡、エメリア》の誘発条件は「平地7枚」。他の基本でない土地を並べるくらいなら平地を並べ続ける方が良い状況も発生します。青のダンダーンより基本土地が2枚少ないのも、エメリアを入れた調整の結果です。

2枚 漂う牧草地


2枚 隔離されたステップ


2枚 信義の砂漠

再びサイクリング三兄弟

 サイクリング三兄弟はここでも健在。中終盤ではドローずらしなどで活躍することも。

2枚 空の遺跡、エメリア

機能し始めたら終焉は近い

 平地7枚とセットであれば、墓地から無限に《ヨツンの兵卒》を供給するぶっ壊れカード。条件を満たすことができれば勝利は目前ですが、《天秤》による土地干渉には要注意です。
 このカードを採用するに際し、基本土地を多く入れると条件達成が簡単になりすぎるため土地枚数を調整し、対抗策として《地盤の際》を入れることでバランスを取るようにしました。

2枚 隠された中庭

困ったときの土地頼み

 つい最近出たカードからも1種類加入しています。起動コストは5マナタップと非常に重いですが、ライブラリーからめくられた有用カードが必ず手に入る能力は決してバカにはできません。

2枚 美麗聖堂

積み順を崩す重要な役割

 青ダンダーンにもあったドロー土地。白の記念碑はゲームにかみ合わないため入らず、これ1種類だけの採用となりました。なんにせよ起動コストの軽さが正義で、ライブラリー修復のたびに出てきては使われる光景を何度も目にすることとなりました。

2枚 皇国の地、永岩城

プロテクションで避けられない除去

 土地のふりをしているが、実は除去という1枚。序盤はマナ供給の土地として、中終盤はクリーチャー除去の切り札として使用されることが多いです。このカードは無色なので《避難》で被ダメージが確定的な《ヨツンの兵卒》も討ち取ってしまえます。呪文でないため《確実性の欠落》で弾くこともできないので名実ともに「最強の除去」といえるでしょう。

2枚 地盤の際

目標は《エメリア》

 このデッキ唯一の白マナが出ない土地です。通常のダンダーンでは全ての土地から青マナが出るように設定されていましたが、ゲームを面白くするためのバリアントルールでは《地盤の際》を入れています。
 主に《エメリア》を破壊するために加えられたカードで、それ以外では戦果が上がる相手カードは多くありません。とはいえ《エメリア》が盤面に定着するとゲームが速やかに終了することはプレイテストで確認済みなので、このカードはトレードオフであり必要悪であると判断して入れました。

白ダンダーンの戦略とテクニック

 他色ダンダーンは、そのクリーチャー選択と付随するカードの選択によって、元祖とは全く異なるプレイ感覚の新しいゲームになります。そのため、今回は白ダンダーンをプレイするに際し知っておくと得をする戦略とちょっとしたテクニックをご紹介します。

序盤は土地伸ばし、相手に手数で負けないように

 こちらは元祖ダンダーンと同じです。全体として呪文のマナコストが1点くらい上がっているため、取れるアクション数を増やすために序盤は頑張って土地を伸ばしましょう。《ヨツンの兵卒》が相手から出てきても大丈夫、序盤に出るアイツは長く生きられないでしょう。

中盤は《終わりなき時計》の攻防戦

 ゲームがある程度進行したところで、1枚もしくは2枚の《終わりなき時計》がプレイされることになります。このころから墓地カードが溜まり始め《ヨツンの兵卒》を維持して攻撃ができるようになります。
 自分の《終わりなき時計》が除去されないように気を配りながら肥やした墓地の枚数にあわせて《ヨツンの兵卒》をプレイして相手を攻めましょう。手札で温存しておいた呪文の応酬が始まるのもこの辺りです。

《終わりなき時計》がなくなれば終了は近い

 《ヨツンの兵卒》からダメージを受けて終盤戦。致死的なダメージを受けないよう《終わりなき時計》を追放してライブラリー補修を行うシーンが増えていきます。
 相手の《終わりなき時計》がなくなってしまえば墓地枚数をコントロールできるのは自分だけになるため、非常に優位な立場でゲームを進めることができるでしょう。

《ヨツンの兵卒》をめぐる攻防で、墓地は意外と肥える

 序盤から中盤にかけて、《ヨツンの兵卒》を繰り出して相手にジャブを撃つ場面もあるでしょう。この際、ダメージを恐れて除去呪文を繰り出すと合わせて除去をかわす呪文も使われ、結果的に墓地が肥えて《ヨツンの兵卒》が維持されてしまう場合があります。
 自分の手札と相手のリアクション数、墓地の残り枚数から《ヨツンの兵卒》が維持できない呪文の数を計算してカードを使っていきましょう。

手札差の不利は青のダンダーン以上

 元祖ダンダーンでもテクニックに挙げましたが、手札差が大きく離れると有利不利が固定化される傾向が強まります。手札はできる限り温存して、キャントリップ呪文を効率的に使っていくことで常に相手より多い手札を確保すると良いでしょう。
 特に白ダンダーンでは複数枚カードが引けるのは《秘密のランデブー》しかありません。相手の手札が7枚になっているならこのカードを使ってみるのも良いかもしれません。

他色のダンダーンもあるよ

 ここまで白ダンダーンのデッキと解説を行ってきました。これで白、青のダンダーンが出そろったことになります。次回は黒ダンダーンを紹介予定です。

<ダンダーンのまとめ>
白:《ヨツンの兵卒》 … この記事で紹介
青:《ダンダーン》 … 紹介済み
黒:(近日公開) … 次回紹介の予定
赤:(近日公開)
緑:(近日公開)
他色:(近日公開)
アーティファクト:(近日公開)

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