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継続の先にある世界

dir en greyのリーダー薫のインタビュー記事を読んでいた。彼の文章を読んでいると、dir en greyの活動が26年も続いているのはひとえにこの人の考えが根幹としてあったからなのだな、ということがよく分かった。

続けることを目標とすることは大切である。家庭もそうだ。最初こそ夫婦はふたりきりで仲良くやっていけるものの、年月が経てば色んな問題が浮き彫りになって、ときには安寧からは程遠い状態に陥ることもある。

バンドも同じではなかろうか。メンバーの性格や、方向性の違いなどが明確になってきて、互いの短所などが耐え難くなる。かつてあった信頼感は不信感へと変わり、このままやっていけるのか不安を覚えたりする。しかしどんな状況に陥ったとしても、続けていかなくてはならないのが生活である。活動である。いついかなる状況に追い込まれても、「タンマ!」は出来ないのだ。

なにかを辞めることはとてもエネルギーがいることだけれども、続けることより楽であることには相違ない。

けれどもだからこそ、継続することの尊さ、継続した先に広がる清らかな世界を目にすると、人間とはなんと尊い生き物なのだろう、と思えたりする。

2022年、結成25周年を迎えたdir en grey。向こう一年のライブ映像をYouTubeで見、新曲をYouTubeで聴き、彼らが成熟した、ますますいいバンドに進化しているのを知って感銘を受けた次第である。
 


上に載せた「アクロの丘」というのは、1999年にリリースされたシングル曲の一つである。メジャーデビューを果たした曲ともあって、知名度は高いのだけれども、正直、ウロボロス期からファンになった者としては、いまいち物足りないというか、ピンとこない曲であった。

それが、今の彼らが歌うとどうだろう。声と演奏に深みが増し、言葉が上滑りせずに芯まで熱が通っている。シンプルな歌詞だからこそ、胸に響く何かがある。とくに注目していただきたいのが、終盤に向かうにつれての歌詞と京の歌声である。お見事の一言に尽きる。


お次はライブ映像の紹介だ。「Un deux」を初めて聴いたときには、DIRにしてはずいぶん明るい曲がきたな、と思ったものだが、その芯の熱さであったり、常に前を向く根性を感じさせるこの曲は、dir en greyというバンドを的確に表している。

もとから「Un deux」のライブバージョンは好きだったのだが、ここ最近のはまた更に素晴らしさに磨きがかかっていて、視聴し終えたころには放心すること請け合いである。

京さん、おじいちゃんになったなあ。

最後に「鼓動」を。名盤「Withering to death.」のトリを飾る曲である。個人的に思い入れが深く、自分の少女時代の全てといっても過言ではないので、聴くと年甲斐もなく泣いてしまう。家族が寝入った深夜にこっそり視聴した。

今更ながら、2年前に販売されたアルバムの「PHALARIS」が最高に良い。

もう、歌や曲に込められた「意味」など不要とさえ思えるほどに良い。それほど純度が高い。言葉にするのは難しいけれど、メンバーの結束もふたたび固まってきたんじゃないかな、と思う。

dir en greyは、世界というか、全人間に誇れる素晴らしいバンドであることを、ここに宣言しておきたい。


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