硫黄島のM4A2
海兵隊というとディーゼルエンジンのM4A2というイメージが強いが、太平洋戦争末期の硫黄島戦(1945年2月19日〜3月26日)では3rd Marine Tank BattalionしかM4A2 (それもFisher製溶接フードのスモールハッチのみ!)が装備されていない。
グアムより転戦により対応が間に合わなかった為か、タラワやグアム戦にて多大な出血を強いられた同大隊の戦訓を生かしたのであろう他の4・5th TBで施されたような鉄線や金網等で作られた日本軍の近接攻撃避けや磁性吸着地雷避けの木板は付いておらず、ほぼプレーンな姿で、部隊独自のドラム缶製?DWF排気ユニットが目立つ。
唯一AGONY号やATEBALL号などA中隊の何両かでファクトリーメイドではない前線で作られた様な雑な作りや取り付け方の増加装甲が見られ、サイズも若干大きい。
前述したDWFユニットは通常の四角い吸気口を持つ個体もあるが、吸気・排気ダクトとして55ガロンのドラム缶が取り付けられる様に排気口が丸くなっている。これらはグアム戦においてシービーズによって作成された物の様である。
カラーリングはOD一色で他の大隊の様な迷彩は施されていない。(注1)
マーキングは全ての車両ではないが各中隊に共通するものとして車体前面デファレンシャルカバー部に"US MARINES”の文字と海兵隊の地球マークが白で描かれている事と後の空軍の様な棒付きの星章が描かれている事が挙げられる。星章は砲塔上部、砲塔バスル後面、車体側面に見られる。
A中隊は黄色で車両名とレジストレーションナンバーが車体左右に、一桁の番号が砲塔側面左右とDWFトランク後部に描かれている。B中隊は白?でB-〇〇と二桁の字が、C中隊も同じく白でC-〇〇と描かれているようだが、写真が殆どない為不明である。
D中隊は防楯、砲塔側面、DWFトランク後部に二桁の番号が白で描かれている。
また同中隊の車両の多くに車体上後部左右から後端にかけてハンドレールが取り付けられているのが特徴的である。
また、AGONY号など一部車両ではOVMを外している個体が見られるが、撃破された後に外されたか上陸時から外しているかは不明
3rd TBでもM4A2を改造した火炎放射戦車の他ドーザータンクやM32B2戦車回収車(AL MIGHTY号)が見られる。AL MIGHTY号にはタラワやサイパン戦で見られた3rd TBの象のマーキングが残されている。
火炎放射戦車は他の大隊のような主砲を改造したタイプではなく、車体同軸機銃部にから放射するE4R2-5R1が使用された。
また、M32B2はAアームを車体後部に取り付ける必要からDWF排気口がが二股に分かれたG185-5700791を使用している。
(注1 ) OD地に黒色のカモフラージュ、増加装甲をダルグリーンとするカラー図を載せている S.J.Zaloga 2012, p36
参考文献
David E.Harper Tank Warfare on
Iwo Jima - Armor Specials series (6096)
Squadron/Signal Publications 2008
S.J.Zaloga US Marine Corps Tanks of World War II (New Vanguard 186) Osprey publishing 2012
Raymond Giuliani SHERMAN IN THE PACIFIC WAR 1943-45
HISTOIRE & COLLECTIONS 2015
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