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のらえもんと語る「テスラは、ドヤ競争から降りるApple Watch」【対談後編】テスラ モデル3 試乗記

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“湾岸の妖精”こと、のらえもんさんをお招きしてお届けしている対談企画。対談前編ではAnyca(エニカ)でテスラをカーシェアして都内から千葉へ日帰りドライブ。
テスラの話題の車、モデル3の走行性能の高さ、既存のメーカーとは違う心地よい体験、そしてガソリン代いらずのコスパの良さにうなったふたり。

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テスラといえばEVの高級車なので高そうなイメージですが、エニカでテスラを検索してみると82台の登録があり、今回ふたりがシェアした車種のモデル3は、24時間のシェアで8,000円代からはじまり1万円台前半が中心価格帯。想像以上に安くテスラをシェアできます。
*記事執筆時点の検索結果に基づく台数と価格です

対談の前編では、テスラに猜疑心を抱いていた二人がすっかり手のひらを返し、モデル3の良さにハマっていたプロセスで熱く語ったものの・・・

冷静に考えるとEVを買ううえで外せない、タワマンのような既存のマンションへの充電設備導入の問題にはじまり、EVとカーシェアが目指すべきビジネスモデルまで、後編でたっぷり語ります。

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*エニカでシェアしたモデル3で、千葉県ドライブを楽しんだ日のふたり

テスラのモデル3は“車業界のApple Watch”

のらえもん:テスラは「既存のマンションに充電設備をどうやって導入するのか?」問題を抜きにすると、プロダクトとしては本当に天晴れでしたね。次に車を買い換えるときには、こっそりテスラにしているかも(笑)。走りだけじゃなく、クラスレスな感じも良い。たとえ、手ごろ感のあるモデル3であっても、テスラというだけで特別感があるじゃないですか。

ぶらり、ドライブガイド(以下、★ぶらドラ):わかります。言うなれば、モデル3はApple Watchなんですよね。身につける特別感や高揚感はしっかりありつつも、値段は1000万クラスの高級車に比べれば手ごろ(モデル3は400万円台から)。
Apple Watchが何百万円の腕時計に見劣りしないというか、そもそものベクトルが違うので腕時計のしょうもないドヤ競争から逃げられる。モデル3ならば、隣に2000万円の高級車が並んでも負けた感がしない(笑)。

のらえもん:まさにそこが、モデル3の隠れた魅力だと思いましたね。

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*充電環境整備の課題はありつつ、欧州車好きな二人ともテスラのモデル3の車としての魅力には惹かれていて太鼓判(写真提供元:Tesla, Inc.)

EV充電に要する消費電力量は、タワマンの共用部分0.5本分!?

★ぶらドラ:テスラの車の良さは十分に堪能して納得したんだけど、大きな問題となるのが、日常的に利用できる自宅での充電設備。僕も個人的には賃貸住まいのマンションに充電設備がないのでEV購入に踏み切れないところ。そこでEVの充電設備をタワマンに設置することに一家言あるのが、のらえもんです(笑)。

のらえもん:「タワマンにEVの充電設備を導入すると不動産価値が上がる」という暴論をされる某米国EV自動車メーカーの取締役の方がおりまして、それは違うだろう、と(笑)。いや、話としては単純なんですよ。(前編で)テスラのスーパーチャージャーの話が出ましたけど、これは充電速度が速くて当然なんです。スーパーチャージャーはv3(と呼ばれる仕様)だと最大出力が250kWなので、これを電力消費量に置き換えると、下手なタワマンの共有部電力の0.5本分に相当します。

★ぶらドラ:とんでもない電気量!みるみる充電されたわけだ。

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*テスラをスーパーチャージャーで充電すると、見ていて快感なくらいにモニタの走行可能距離は、ものすごい速度で回復していく

のらえもん:タワマン0.5本分といっても共用部電力の話なので、専有部電力も含めると全く変わってきますが、それでもとんでもない電気量。これだけの充電設備を導入するとなれば、固定費の上昇も相当な負担額になります。家の契約アンペア数で基本料金が変わるのはご存知だと思いますけど、これはタワマンもまったく一緒です。基本料金が上がってしまったコストはいったい誰が払うのか、と。

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*テスラのスーパーチャージャーはマンションに設置すれば、出力が高い分だけ費用もあがるジレンマも?!(写真提供元:Tesla, Inc.)

★ぶらドラ:いったん話を整理すると、欧州を起点に政策的にEVにシフトする流れに引きづられ、日本もその流れが出てきた現在、タワマンを含め既存のマンションにも充電設備の設置が必要じゃないか、という議論がありますよね。
ただし、普及速度があがりつつあるとは言っても、まだまだガソリン車が圧倒的なマジョリティ。それにもかかわらず、タワマンの共用設備としてEV充電を導入し、管理費に上乗せするのはいかがなものか。こう異議を唱えたのが、のらえもんですね。

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のらえもん:そういうことです。だって、単純に不公平じゃないですか。ラウンジにしてもジムにしても、使用するかどうかは住人の自由。使わなかったとしても、使う権利はあるわけですよ。
それがEV充電に関しては、住人が所有する車の種類によって、そもそもの権利に差が生じてしまう。それなのにタワマンの管理組合が頑張って節電して固定費を下げてきた成果を一気に帳消しにしてしまう、それはおかしな話ですよね、と。

★ぶらドラ:出力の小さい充電設備であれば、ランニングコストは下がりますよね。ただ、その分だけ充電に要する時間がかかり、日常的に車を運転する人にとっては、これもまた現実的ではない、と。

のらえもん:そうそう。マンションにおける基本的な充電器は6kw。テスラのスーパーチャージャーだと100〜250kwでケタが違いすぎる。そして、テスラオーナーはそれに慣れちゃっているから、タワマンに普通の充電器を置いてもかったるくて結局充電しないんじゃないですか(笑)。やはり戸建ての方が向いている気がする。

★ぶらドラ:都内でマンションに充電器設置されないと、僕はEV買えないな・・・

のらえもん:ガソリン車ならものの3分でエネルギーフルチャージができるのに、それがEVとなるとたとえば6kwの充電器だと誰かひとりの車が一晩中、充電スペースを専有することになりかねない。そこをカバーしようとスーパーチャージャーのような高速充電設備を導入すれば、今度はとんでもない電力消費量と固定費の上昇になるわけです。
「タワマンにEVの充電設備を導入すると不動産価値が上がる」は、将来もゼロとは言えないけど、現時点の日本では、東京都内であってもさすがに暴論でしょう。

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★ぶらドラ:そのコストを管理費として居住者全員が徴収されては不公平ですね。でも、この問題はEVの普及には、かなりのボトルネックになるはずです。テスラにしても自治体にしても、何らかの支援策を打ち出さないのか、と。

のらえもん:充電設備を導入することに関しては、テスラも自治体も補助金を出しているので、完全にランニングコストの問題ですね。最近になってようやく、充電設備のリース料も充電によって発生する電気料金も管理組合が払い、チャージした個人が充電の実費分を管理組合に支払う、というビジネスモデルが出てきたところです。

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*ぶらドラも、自宅の賃貸マンション駐車場に、高出力な充電設備が導入されたらEVを買いたい。その日が待ち遠しい!(写真提供元:Tesla, Inc.)

★ぶらドラ:なるほど。充電設備を使う人だけが費用負担するのは合理的ですし、公平ですね。

のらえもん:このビジネスモデルがひとつ、EV普及のカギになると思っています。ただ、個人的にはEVがライフサイクル上、本当にエコなのかも腑に落ちない。僕は理系の人間なので、EVがエコであるというロジックに、かえって納得できないんですよ。

★ぶらドラ:二酸化炭素を排出するガソリン車は環境に悪い。そのガソリンを使用しないEVはエコである。多くの人は、そう単純に理解しがちです。

のらえもん:ガソリン車の問題点は当然、あるんです。ただ、いわゆるエコなベースロード電源って、日本の場合は水力と原子力。太陽光は言わずもがな、雨の日にはゼロなので。するとピーク電源は、今も変わらず火力発電なんですよ。人里離れた場所で石炭や重油を燃やして、そこから長い電線伝って電気を運んできて、それをエネルギーに走るEVは本当にエコと言えるのか、と。

★ぶらドラ:最近のトヨタやマツダと近い主張ですね。僕も個人的には各国エネルギー政策にあった車の動力源バリエーションを準備すべきという主張は正しいと思います。

カーシェアでテスラに乗るニーズと、エバンジェリストなテスラオーナー

★ぶらドラ:そもそも論まで熱く語ってもらったところで、少し話題を変えますが、のらえもんには今回使ってもらったエニカというカーシェアサービスはどう映っているのでしょう?

のらえもん:最初に利用したときに感じたのが、率直に約款が長いな、と(笑)。ただ、取り立てて使いにくさも感じなかったし、最初の利用も今回の利用も、とにかくオーナーさんが良い人でしたね。「テスラの魅力を知ってもらいたいので、どんどん乗ってください!」みたいな、完全にエバンジェリスト(笑)。

★ぶらドラ:僕がテスラをシェアしたオーナーさんも、全く同じような感じでしたね。ちょっと話を聞いてみたところ、シェアさせてもらうドライバー側にも「目的地があるわけじゃなく、とにかくテスラの乗り心地を体験してみたい」という人が多いらしくて。

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*このテスラのオーナーの方にお話を聞いたら「いい車だから、みんなに体験してほしい」という純粋さが感じられる、まさにエバンジェリストでした


あなたの住むタワマンに、あなたが乗れるポルシェがある

のらえもん:エニカは、そういうエバンジェリストが生まれるような車種との相性が良いんでしょうね。テスラのようにちょっと尖った車かスポーツカーか、さもなくば、今はなき旧車か。単なる移動手段としてではなく、まさに体験の部分を満たしてくれるサービス。

★ぶらドラ:やっぱり嗜好性の高い車ですよね。

のらえもん:反対にオーナー側の目線に立ったとしても、嗜好性の高いセカンドカーは合っていそう。ヤフオクとかメルカリとかに、きれいに写真を撮って出品できる人のほうが向くのかもしれない。向くというか、そのプロセス自体を楽しめるだろうし。

★ぶらドラ:たしかに。セカンドカーはみんな尖った車種を買うじゃないですか。僕もご多分に漏れず、奥さんの逆鱗に触れながらセカンドカーとしてスポーツカーを最近買ってしまった(笑)ので、他人にシェアするなら絶対にこっちだと思っていて。

のらえもん:エニカとタワマンの相性は良いと思うんですよ。僕の自宅のタワマンにスポーツカー乗っている人がいて、シェアしてくれると最高ですね。

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*自宅マンションの駐車場に停まっている車のシェアなら気軽かも!?

★ぶらドラ:確かに!自宅のマンションの駐車場で受け渡しができるならシェアするハードルは下がりそう。CtoCシェアリングの面倒のひとつは、車の受け渡しにあるけど、自宅マンションの駐車場に置いてあるならば、アクセスも簡単で乗ってみたくなる。しかもエニカってオーナー側が設定していれば、非対面でもシェアできる方法があるんですよ。

のらえもん:タワーパーキングだと非対面は難しいかもしれないけど、自走式ならできるかもですね。非対面なら気軽さが増すし、オーナー側からすれば、駐車場代の維持費軽減ができるわけですよね。タワマンとエニカの相性は間違いない。

★ぶらドラ:湾岸の妖精が発言したとなると、タワマンの民たちがざわつきそう。タワマンの方は、まずは自宅エリア周辺でどんな車があるのか、エニカをダウンロードして検索をおすすめします。僕としても新たな視点を教えていただきました。ありがとうございました!

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ふたりがお世辞抜きで驚いたEVならではの低重心がもたらす走行性能だけでなく、充電のランニングコストを含めたコスパの良さも疑似体験すると、未来に対する”頭だけの理解”を超えた”興奮”を実感できますよ。

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