見た目スポーティなレンジ廉価版でいいのか?! 新型レンジローバスポーツ試乗記

過去の試乗記ではやたら一世代前のレンジローバスポーツが出てくる（特にSVR仕様）だけに、自分はレンジローバスポーツが大好きです。

それは、大型SUVでスポーツ性能を兼ね備えたものが少ないなか、そのカテゴリのスポーツSUVのメートル原器のようなカイエンと比較した場合、、

・大型SUVであるポルシェ・カイエンに迫る運動性能を持ちつつ
・カイエンにはないラグジュアリーさを感じさせる内装
・カイエンよりは路面コンタクト感が若干うすまるけど、Audiほどリモート感はなく不思議と接地感も伝わってくるステアリングフィール

こんな魅力がありました。

過去所有していたフルサイズのレンジローバー

個人的には、過去にフルサイズのレンジローバーを所有していた経験から、「この贅沢な乗り味と内装は素晴らしいけど、さすがに重心が高すぎてコーナーのロールは恐い」
というネガを、１世代前のレンジローバースポーツは、見事にそのネガを払拭していて、フルサイズのレンジにはない運動性能～機敏さがあった。

そんな経緯もあり、真剣に現在のファミリーユースのSUVの次の買い替え候補として、新型レンジローバースポーツに強い興味があって試乗車が配備されたタイミングにて試乗させていただく。（以前、レンジを購入したランドローバー青山さんにて）

試乗車仕様はディーゼル300馬力のオートバイオグラフィー

試乗車は一番グレードの高いオートバイオグラフィーで1457万円～の価格ですが、グレードを一番安くすると、スポーツSで1068万円から買えます。

前のモデルでは900万切りのスタートがあった記憶があり、このご時世、為替円安も含めて相当値上がっていますね。このあたりは仕方ない。

横から見ると、よくわかるけど、レンジローバーのフルサイズモデルとプラットフォームを共有しつつ、イヴォークみたいなスポーティなフォルム。このカタログカラーのレッドもよく似合ってます。

車に乗り込むと・・・

乗ったらもうインテリアは完全にフルサイズの新型レンジローバーと同じ世界感で、乗ったら見分けもつかない（笑）

乗り味はフルサイズの新型レンジローバーとほぼ同じ、ラグジュアリー色が強い

走り出すと、前作レンジローバスポーツよりも心なしか視界が高く感じ、乗ってもフルサイズのレンジみたいな見渡しの良さがあることに気づきます。グラスエリアが広がったのか、シート座面が高くなったのか・・・

今回、シートクッションがレンジローバーと共通化された感じに見え、ふかふかのソファーみたいな厚みのあるもので、この厚みによる高さとおしりの柔らかな感触が「フルサイズのレンジローバー感」を生んでいるかもしれません。

マイルドハイブリッド化の影響か、もしくはバッテリEVへの対応のため二重化構造化した床のせいか、重要は100kgレベルで重くなったせいか、非常にまったりした乗り心地。

少し都内を走ってみた、走りの感想としては、一言で言えば、前モデルよりフルサイズ兄貴のレンジローバーとの類似性が高く、ラグジュアリー方向に振った印象。

僕のような前モデルのスポーツ性能に惹かれていた人には、正直微妙なところはあります。僕はスポーツカー好きで、SUVにもスポーツ性能を求めてしまうので、乗り味は前のモデルのダイレクト感のほうが好き。これは乗り味がほぼ兄貴分のレンジ。

逆に言えばレンジローバーのラグジュアリーな乗り味好きなら、フルサイズのレンジローバーよりスターティングプライスが300-400万下がるから、かなり割安なレンジローバーとも言える。

雑に一言で言い切れば、見た目がスポーティになったフルサイズレンジローバーの廉価版という感じでしょうか。

これが良いか悪いかは、レンジローバースポーツにスポーティな乗り味を求めるかどうか次第という

ディーゼルエンジンはV8みたいな音で文句なしの仕上がり

ちなみにディーゼルエンジンのアクセルを開けたとき、車内スピーカーからは合成音が出て、これが激しいV8みたいな音がして、それだけはやたらスポーティーでした笑

ちなみに前作からのキャリーオーバーですが、この直列6気筒ディーゼルエンジンは絶品で、2.5トンの巨体が出足からスムーズに発進できるし、体感的にはスペック以上に速く感じる部分があります。

今回は音も激しめな合成音があり、非常に満足できる仕上がりで、ディーゼルエンジンの仕上がりは文句なしです。
＊合成音はCX-60とちょっと似てる

新型レンジローバーと新型レンジローバースポーツは、互いに近寄ってきてかぶってきた

実は数ヶ月前に新型レンジローバーは試乗させていただいていていました。

サスのダンパーの電子制御やスタビライザーやリアステアのおかげか、相当運動性能上がり、ハンドルを左右に振ってもリアがそこまで遅れずに追従してきてボディがぐらつかないという脅威の運動性能UPを実感。オーナーだった前のモデルのネガを完全払拭したという感想。

レンジローバーはスポーツ性能を高め、レンジローバースポーツはラグジュアリー方向に振って、結果的にポジショニングがかぶったというオチに。

レンジローバースポーツの個人的な最後の期待はSVR仕様が、どこまでスポーティになっているかですね。ただ重量が重いだけに限界があるかもしれない。

個人的には現行型レンジローバースポーツは次期ファミリーユースSUVの有力候補と思っていたものの「次もカイエンなのかな」というのが率直な感想です。僕はブランドの世界観としてはレンジローバーが好きなのでいつか戻りたいけど、ポルシェの運動性能やステアリングフィールの良さに負けてしまう・・・

新型レンジローバースポーツを買うならば、中古で価格が下がっていくであろう旧型レンジローバースポーツSVRのほうが惹かれます。

試乗は個人の感想にすぎないのですが、スポーティな乗り味が好きな方は、期待しすぎないほうが良いかと。

新型レンジローバースポーツをおすすめできる人とは？

逆に、新型レンジローバースポーツをおすすめできる人は、レンジローバーのようなまったりラグジュアリーな乗り味は求めつつ、見た目はスポーティなのが良いとか、予算的にはレンジローバーがきついという方には素直におすすめできる良い車です。

コスパ視点でみると、新型レンジローバーと乗り味はほぼ一緒なのに300~400万も安いのでバーゲンセールな価格に感じてきます。逆に言えば、フルサイズのレンジローバーは相当利益率が高いはず（笑）

僕も50~60代になって、まったりとレンジ乗りたいなという気分だったら、コスパ視点で、このレンジローバースポーツを選んでしまいそうな気もします。それくらいラグジュアリーな感覚に浸れる高級車です。

色々とがっかりを書いてしまったのですが、僕みたいに、スポーティに走る期待がない人には、完全無欠の高級車！で、超絶おすすめできます。
https://www.landrover.co.jp/vehicles/new-range-rover-sport/index.html

現場からは以上です。