静かなコンサート『ダイナミクスレンジせまめ(30dB)』を開催します(9/22)
BUoYスタッフの岡、増田です。今月の9月22日(木)の夜、BUoYの地下劇場スペースで「ダイナミクスレンジせまめ(30dB)」という静かな音のみのコンサートをBUoYにて開催いたします。
「ダイナミクスレンジせまめ」とは
「ダイナミクスレンジ」というのは音にまつわる用語で、「(ある音楽や場所における)一番うるさい音から一番小さな音までの音量の振れ幅」です(詳しくはこちらなど)。
「dB」とは、騒音計などで音の大きさ(音量)を表す単位で、例えば静かな図書館は「30dB」、おしゃべりのあるカフェが「60~70dB」、電車の通過する音が「90~100dB」などというふうに、この数値が大きければ大きいほど大きい音である、と言えます。
今回は、声・自作楽器(電子工作で作った楽器)・サクソフォンという、それぞれ異なった発音方法で演奏を行うアーティスト3名をお呼びし、BUoY地下の無音で静かな状態(騒音計で30dB)から、30dB(つまり60dBまで)を超えない範囲という制約のもと、コンサートを行います(60dBを超えないか、常に監視されています)。
普段、BUoYの地下や一般的に劇場と言われる場所で行われる演劇やパフォーマンス、ライブなどでは80dB、90dB以上の音量が出ています(客席で計測)。
一方、この60dBというのは「ピアノを普通にポンと鳴らす」だけで簡単に超えてしまいます。
つまり今回は、普通の演奏会では聞けないようなとても小さくて弱い音だけをひたすら聴く会となる予定です。
開催の経緯について
今回、BUoYがこのコンサートを企画した経緯には、アートスペースならばどこも一度は遭遇するであろう「公演による騒音問題」が深く関わっています。
BUoYは立ち上げからまだ4年、来月11日に5周年を迎える若いアートスペースですが、これまで演劇、パフォーマンス、ダンス、音楽、現代美術、シンポジウム、映画撮影・上映、詩の朗読、ファッションショー、写真展、子ども食堂、アーティスト・イン・カフェなど、ジャンル・形式を問わず様々なプロジェクトを行なってきました。
その中で、どうしても近隣住民の方にご迷惑をかけてしまうような騒音の問題や、公演が行われる前後の時間で人が集まることで「何か騒がしいことが起きているのでは?」という印象を与えてしまうことがしばしばありました。
元々BUoYを利用いただく方々には事前に音量規制のルールや、建物前でのたむろや喫煙のご遠慮をお願いしていましたが、最近は特に音に関する問題が起こったため、音量には一層注意を払っています。音量を規制することは、場合によっては表現そのものへの規制に繋がる可能性もあり、以前よりも「音が大きい」ことについてスペースとして慎重に向き合っています。
そこで今回、私たちは音量規制を一種の美的ルールと捉えることにし、今回の企画の開催へと繋げました。
単純に言えば「小さい音や弱い音を活かす企画を行う」ということになりますが、実際はこのことよりももっと複雑かもしれません。
普段からは小さすぎる、「不適切な音量」の聴取環境に立たされたとき、私たちは音をどのように出したり、聞いたりするようになるのでしょうか?
狭い音量レンジの中でものびのびと、多様な音楽のあり方を探ることができるはず…それが、「ダイナミクスレンジせまめ」派です!
終わりに:聴きに来てください
なにはともあれ、今回お呼びした3名の演奏がとても楽しみです。ぜひ、BUoYの地下でひっそりと静かな演奏に耳を傾けていただけますと幸いです。
最後に開催概要をお知らせして終わりといたします。
ダイナミクスレンジせまめ(30dB)|Silent Music Party
最大音圧レベル60dB以下の静かなコンサートを開催します。会場となるBUoYの地下劇場スペースの暗騒音は常時30dB以下と、まるで図書館の中のように静かな空間となっています。
今回は声、サキソフォン、自作楽器と、それぞれ異なる手法で音を鳴らす3名のプレイヤーが登場!!!!客席に設置した騒音計で演奏の音が30〜 60dBに収まる範囲、つまりダイナミクスレンジせまめ(30dB)で演奏します。
Quiet concerts will be held with a maximum SPL of 60 dB or less. The venue, BUoY, is always below 30dB, as quiet as the inside of a library.
For this concert, we have invited three players, each of whom uses a different technique to create sound: voice, saxophone, and self-made instrument, to play in a range where the sound of their performance falls within 30dB ~ 60dB on a sound level meter installed in the audience seating area.
出演者
田上碧
ヴォーカリスト、アーティスト。 2014年頃より、野外から劇場空間まで幅広い場で体ひとつで歌うことから活動を始める。歌うことの行為や現象としての側面を浮き彫りにするパフォーマンスや、歌と語りを織り交ぜた楽曲の演奏、即興演奏や詩作など、シンプルな実践を通して声と身体による表現の可能性を探っている。2019年、インドネシア滞在を経てヴォイスの即興演奏を始める。歌・語り・ヴォイスなどを織り交ぜた長編の歌『触角が無限にのびる虫』(2020)の発表を経て、2022年からは自作曲の弾き語りを中心に活動中。
http://aoitagami.com/
松浦知也
SoundMaker:音や音楽を作り、またそのための環境やシステムを作る人。音楽のためのプログラミング言語「mimium」の設計と開発をする一方、ハウリングだけで音を出す電子楽器「Exidiophone」を作って、コンピューターを全く使わない演奏活動もしている。最近は存在しない学問「音楽土木工学」の研究者として論文を書いたりしつつ、趣味でパンを焼いている。1994年生。
https://matsuuratomoya.com
本藤 美咲
1992年生まれ。音楽家。
即興演奏と作編曲の二極を基盤とし、多様な分野のアーティストと共演・共同制作を行い日々触手を伸ばす。
『galajapolymo』主宰、『Tokyo sound-painting』『SAX CATS』『hikaru yamada and metal casting jazz ensemble』『OTOMO YOSHIHIDE Small Stone Ensemble』『渋さ知らズオーケストラ』などに参加。
録音作品へのアレンジ提供・演奏/映像作品への音楽提供/ワークショップなど企画/専門誌「Sax World」でのコラム連載など行っている。
https://www.misaxophone.me
開催詳細
日時
2022年9月22日(木)
19:00 Open / 19:30 Start
場所
北千住BUoY
〒120-0036 東京都足立区千住仲町49−11
料金
2000円
中学生以下無料(未就学児OK!)
予約・お問合せ
予約フォーム:https://forms.gle/sEh3NLwmPGgPorJa6
お問合せ:sougouart@gmail.com
企画・プロデュース
岡千穂、増田義基
主催
北千住BUoY