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<無為フェス -Vol.2->#8 邪宗門

2023年11月25日(土)18時 - 22時

今回のイベントは、私達のバンド「邪宗門」のデビューの日で、この貴重な日を、大好きなこのBUoYにて迎えられたのは本当に嬉しいことであります。
今回の企画のテーマは「芸術としてAb(アブ)」ですが、私達のバンド「邪宗門」はまさしくAbの塊です。
私達はヨーロッパで1000年以上前に使われていた、いわゆる「古楽器」という楽器を使用していますが、基本的に当時のテイストを残したオリジナル曲を演奏しています。どちらかと言えばいわゆる「現代音楽」に近く、その時点ですでにAbになっています。
またメインに使っている楽器、「ハーディガーディ」も西洋音楽の本流から外れたAbな楽器であり、その形も一言では説明しづらい強烈なもので、3人のメンバーの内、2名が演奏しています。こうした古楽器はネーデルランドの画家、ブリューゲルの描く当時の農民の祝祭の絵にその姿を見ることができますが、私達が使うのは現代社会の矛盾と理不尽、そしてそれに対する批判を行なうのに使っています。

当日の演奏は、元風呂屋という、ローマの古代遺跡を連想させる雰囲気の中で、私達の演奏&パフォーマンスは行なわれました。
動員があまり良くなかったのですが、その反作用と言いますか、天然のリバーブの掛かりが良く、ヨーロッパの石造りの教会でのコンサートのような響きの中で演奏することができました。特にオープニングで使用した小型の中世バクパイプの響きの良さには驚きと同時に、演奏しながら心地良さに浸っていました。
伝統楽器の響きが良いのはもちろん、一緒に使用したシンセサイザー、プロフェット5もPAのモニターアンプから出た音に対しても同様な効果があり、アンサンブルとして非常にまとまった音で響き合っていました。

さて私達の演目は「愚者の船」と「Ab(アブ)」の二つ。
ネーデルランド画家ボッシュの絵画を元に、政治的にも経済的にも当てもなく漂っている日本の現状を音で綴った「愚者の船」。
今回のBUoYの企画のテーマの解説文を元に、今も続くコロナ後の地球の混乱を音で描いた「Ab(アブ)」。
自作の詩の朗読と、古楽器とシンセサイザーの即興演奏で構成された作品です。途中、ダンサーによるパフォーマンスが加わると、地下という場所、そしてほとんど手を加えていないむき出しの荒れた壁が、ダンサーの体の動きを引き立て、また朗読の声、楽器たちの旋律と音(ね)を美しくも妖しく響かせ、文字通り「アングラ」な世界を創り上げていました。

尖った響きより、擦り切れた響き。
輝く響きより、くすんだ響き。
重低音より、こもった深い低音。
約束と型通りの展開より、裏切りと意外が成す即興。
これが我々「邪宗門」の音楽と芸術なのです。
それに応えてくれる素晴らしい空間、それがBUoYなのです。

素晴しい機会をありがとうございました。
録音でもこの場所を使ってみたいと思いました。

邪宗門 牧野克彦


BUoYスタッフより

無為フェスについてはこちらの記事をご覧ください。



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