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ブレる店員日記
はじまして!BUoYカフェスタッフの床子です。
noteって何を書けばいいんだろう…皆さんの投稿面白いなあ…こういう発言って手前味噌になるのかなあ…などとぼやぼやしていたらあっという間に〆切が過ぎてしまったので、しょうもない話になりますが簡単な身の上話から始めさせてください。
銭湯のある暮らし、終了
突然ですが、BUoYは墨堤(ぼくてい)通りと呼ばれる道路に面しています。そしてその昔、数件お隣のマンションの地下には「小桜湯」という銭湯がありました。
全体的にこじんまりとしているものの浴槽は広々。壁のモザイクタイルには鉄腕アトムやオバQなどのレトロなアニメキャラクターがのびのびと描かれ、
「徒歩圏内にこんな銭湯があったら最高じゃ〜ん!」
と感動した私は縁もゆかりもない北千住に引っ越しを決意。大学卒業後から暮らし始めました。家賃お安め3点ユニットバス物件です。何しろ近所に最高の湯船があるので。最高でした。
しかし2年も経たないうちに小桜湯は廃業します。何が起こるかわからないものです。その後、目と鼻の先にある別のマンション(BUoY)で働くことになるんだから、本当にわからない。奇遇なことに、この建物の地下にも銭湯がありました。
BUoYの地下にいるときは、かつてここに満ちていたお湯や湯気のことをよく考えます。
ブレていいのだ
さて、「近所だから」というきっかけで声がかかり、いきなりお洒落カフェ店員(お洒落カフェ・店員)になってしまったので、当初はけっこう戸惑いました。ちょっと見てくださいよ、このお洒落さを…あと広すぎませんか?
はたして私に、この空間に見合う素敵なふるまいができるだろうか…?
しかし、BUoYカフェのコンセプトを設定したバリスタのしば田さんは、ここは「ブレるカフェ」だと言うのです。
BUoY Caféの本日のコーヒーは、その日のスタッフがその日に決めます。
それは彼ら彼女らの体調を反映していたり、気分を反映していたり、性格を、好みを反映していたり、天気を反映していたり、そこにはその時にならないと誰にもわからない不確定な要素がたくさんあります。
だからこそ「本当に美味しい」のかどうかは誰にもわからないし、なんならその「美味しい」には多少なりお客さんにも参加した責任が発生しているということです。
ここがブレることを許容してくれる空間だというなら、それならきっと、こんな私が一人くらいいてもいいんだろう。初めての友だちができた転校生のようにうれしくなり、「ここはたぶん、いい場所だ」と思いました。
そもそもBUoYカフェが営業している2階スペースは、昔ボーリング場でした。その後は雷おこしを作る会社の営業所にもなったと聞いています。1964年、東京オリンピックの年に建てられて現在57歳。ここにきて突然のカフェデビューに、この空間だって戸惑っていることでしょう。
「我々はひょんなことからカフェ(とその店員)になってしまったことですね〜!」と、当時は閑古鳥が鳴いていた店内でBUoYの主(架空)に呼び掛けたりしていました。
心をうろうろさせて
さて、戸惑いながらBUoYカフェで働き始めた私ですが、カフェを訪れるお客さんが戸惑っている様もよく目にします。
まず入り口が目立たないので「えっ、ここカフェなの?やってるの?」と戸惑う。
階段を上ってカフェに足を踏み入れると、だだっ広くて戸惑う。
どこに座ろう?何を頼もう?どうやって過ごそう?テーブルのサイズも椅子の種類もバラバラです。それに、しょっちゅう何かが開催されている。展示に公演に、子ども食堂も(今はお休み中ですが、これがまたおいしいんです…)。
戸惑いはマイナスの感情なんだから何とかしたほうがいいのかもしれませんが、個人的にはそんなところもBUoYカフェらしいなと思っています(入り口はもっと目立ってほしいものの)。
だって戸惑うということは、心がうろうろする余地があるということ。そしてここはなんといっても「ブレる」カフェ。
みなさん、しばらくカフェを見渡してから自分にとって居心地が良さそうな場所を選んで着席されます。やっぱり違うな、と移動する方も。窓際のテーブルは京成線や常磐線、日比谷線が一望できるので、電車好きのお子さんに不動の人気を誇ります。
お客さんの戸惑いは次第に「さあ、この空間を自分はどう使ってやろう」に変わり、どんどん自由になっていくように感じます。仕事をするもよし、製図するもよし、お茶するもよし。各々が好きな時間を過ごしてるのにゆるやかな連帯を感じるのは、BUoYのだだっぴろさ故でしょうか。なんだか落ち着くのが不思議です。
どうかBUoYを訪れたことがない人も、気兼ねなく遊びにきてくださいね。近くのおすすめスポットなどもお教えします!
心よりお待ちしています。
いつか床子