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イタリアPh.D.の選考プロセス

イタリアのPh.D.の選考プロセスを皆さんはご存知でしょうか?
知らない方が殆どだと思いますので、この記事を読んで是非イタリアのPh.D.進学を検討してみてください。


応募時期

イタリアのPh.D.の応募時期は、ランキング制度を採用している1st cycleの募集が4-6月、テーマ毎の募集である2nd/3rd cycleではそれぞれ8-10月、冬頃となっています。

1st cycleでは、最も応募数が多いためか結果判明までに2ヶ月ほど要するのに対し、それ以外では1ヶ月ほどで結果が分かる印象です。

筆者が邪推するに、後者の方が、修士以前の研究テーマが応募分野と密接している必要性、ゆえにコネが重要になっている気がします。


1st cycle - ランキング制度

Ph.D.の選考過程というと、世界のどの国においても、語学能力や成績、研究実績を前提として、最終的には志望ラボとの研究分野のマッチングが重視されている場合が殆どと思います。

イタリアにおいても、これらの選考と本質は変わらないと思いますが、少し特殊なのは提出するCV(履歴書)、Motivation Letter(志望動機書)、研究計画書等に明確な配点が決まっており、総合点に基づいた志願者のランキングが発表される点にあると思います。

筆者が応募したミラノ工科大学のPh.D. in Structural, Seismic, and Geotechnical Engineeringの場合、

・奨学金付き(約1200€/月)のオープンサブジェクト×2
・奨学金付き(同上)でテーマ指定のポジション×4
・奨学金なしのオープンサブジェクト×2

の計8つのポストが公募されており、筆者は下の写真のように、上から7番目の順位で、最後の奨学金なしのポストに採用をいただきました。

(一応、他の志願者の名前を伏せているけど、実際には大学のWeb上で公開されちゃうよ。落ちてたら公開処刑だったよ、まったくもう。)

ランキングの様子

イタリアでは、奨学金なしのポストも含めて、Ph.D.の学費を大学が全て負担してくれるので、上記のようにポストの数が有限であり、ランキング制度が必要になると思われます。


倍率はいかに?

ミラノ工科大学の採点基準は、CV: 45点、動機書: 15点、研究計画書: 40点の100点満点となっており、最低60点が入学資格("Eligible")と定められています。(配点や採点項目は大学によって異なります。)

ただし先述のように、ポストの数が限られているため、60点以上取ることが出来ても入学できることにはなりません。各ポジションで一番優秀な成績をとるのが、採用("Admitted")を勝ちとるための必要条件です。

ランキングでは、入学資格を持った"Eligible"の志願者の一覧が掲載され、自分の志望コースでは計33人の名前がありました。

60点以下であった志願者も含めると、8人の募集に対して計40~50人の応募があったと思われます。ですので、倍率は5~6倍と推測されます。

(倍率は学科によって異なり、低い所で3~4倍程度と思われます。)


ポスト拡張の可能性

日本の奨学金に採用されている、もしくは企業等の研究員で会社から資金補助が出るそこのあなた、イタリアのPh.D.に進学出来るチャンス大アリです。

ミラノ工科大学では、下記の写真のように、奨学金受給者と企業等の研究員を対象に採用ポストを拡張する可能性があります。

ポスト拡張の説明

どの学科でも一見少ないポストの数ですが、実際には柔軟に変動する可能性があります。大学側もなるべく多くの優秀な学生を入れて、大学の成果を増やしたいはずなので合理的な制度ですね。


2nd/ 3rd cycle - テーマ別の応募

2nd/ 3rd cycle はテーマ毎の募集となっています。

どうやら2nd cycleにはイタリア政府や関連機関から資金が調達されているらしく(SDGs関連等)、奨学金付きポストの数も1st cycleとほぼ同数でした。

さらには、受給奨学金が1400€/月と謎に1st cycleよりも高くなっています。

2nd cycleの募集時期は8-9月と遅く、その時期には既に進学先も決まっている人が多いため、まだ進学先を迷っている人には狙い目かもしれません。


おわりに

以上が、イタリアのPh.Dとして括ってしまいましたが、筆者の応募したミラノ工科大学の選考プロセスでした。何となく全体像は掴めたんじゃないでしょうか?

他のイタリアの大学の選考プロセスについても、調べた経緯があるのですが、大体似たようなものでした。大きな違いは面接試験の有無。これは経験してないので何も言えません。

改めて、イタリアのPh.D.は学費が無料というのが大きな魅力です!
この機会に是非検討してみてはいかがでしょうか?

また別の記事で、筆者の受験における工夫をまとめる予定です。
ご参考にどうぞ。


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