田村優選手のトークショーに行ったよ
ウチの会社の厚生担当は時々粋なことをする。
どういうツテなのか、彼をトークショーにお招きするなんて。申込期間が異様に短くて、人数制限がエグかったけど、申し込むだけ申し込んだ。
数日後、なんてこった。当たった。当選メール以外に、主催者側から「当選メール届いていますか。当日来られますか」って確認の電話まであった。
会場は東京駅近くのオフィスビルの会議室だった。濃ゆいご尊顔の半分以上をマスクで覆って到着した彼は、ノーネクタイの白シャツにグレーの大ぶりなチェックのスーツ、黒いソックスに黒い靴。胸元に白のチーフを控えめに入れていた。パンツが細身で少し短め。立派な太ももを際立たせている。
公式なサイズは181cm/91kg。通常はジャージ姿、練習着姿の彼しか見ていないから、スーツ姿はいつもと違う迫力があった。
進行はタレントの橘ゆりかさん。めっちゃかわいい。最初の30分くらいは、橘さんの質問に彼が答える形で進んでいった。
最初に、ウチの会社との関りについて。これは業種が特定できてしまう話題なので、省略させてください。ただ、いたずらっ子め!と言いたい。
田村選手のご発言
トークショーは司会の橘さんが質問し、それに田村選手が答える形で構成されていました。以下太字部分は彼の発言を編集したものです。
幼いころは活発で、外で遊んでばかりのグループの一員でした。勉強はしてないわけじゃなかったですけど。通知表にも毎回活発と書かれていました。
ラグビーをはじめる前にはサッカーをしていました。FWで、ボールを持ったら行けるところまで行くスタイル。でも、サッカーでプロを目指す人たちを身近に見てきて、うまくいくことばかりじゃないのが見えてきた。ラグビーをしていた父の影響もあり、プロ選手になるならいけるかな、と思って今に至っています。
國學院栃木高校に進学。ラグビー部の監督は自宅の隣にアパートを建てていて、当時4名の越境入学の選手がいたので、それぞれ一部屋ずつに住んでいました。食事は月ごとに監督が頼んだ家に自転車で食べに行っていました。
食事については、シーズン中は3食しっかり食べ、捕食は10時、3時、寝る前としっかりとります。
ラグビーのない時期は小食で、痩せてしまう。シーズン中の方がいい体重をキープできます。ステイホーム期間中はほとんど家に籠りきりでした。稀に友人と食事するくらいです。
23歳で代表入りしてから、ほぼオフがなかったので、今回トップリーグがシーズン中断となって、初めて長いオフがとれました。RWC後は仕事で母の故郷である沖縄に行きました。
沖縄滞在中は祖父母、親せきに顔を見せるくらいで、アクティビティなどはしません。なにもしないのが沖縄の魅力だと思っています。おいしいものもいっぱいあるし、大好きな場所です。
沖縄の食べ物で好きなのはタコス。沖縄ではトッピングはほぼどの店でも同じだし、皮や具の味付けが変わるくらいですね。沖縄のタコスは東京にはないし、こっちでタコスを食べることはほぼありません。
お酒は強いとか弱いとかではなく、「長い」です。ぐいぐい飲むのではなく、話しながらゆっくり飲むので、夕方から飲み始めて、3時4時5時とか…?酔って陽気になる、とか、酒で人が変わるとかはありません。
RWC後の仲通りのパレードでは、あまりの人の多さと熱狂ぶりにびっくりしました。海外での優勝パレードの映像を見てはきたけど、自分たちが起こしたこととは信じられなかった。
…正直、紙一重だったと思います。結果を出したから盛り上がったけど、出さなければ猛烈に叩かれると思っていました。
初戦のロシア戦は本当に緊張しました。自国開催のワールドカップ、その開幕戦、負けられないプレッシャーで…前日は眠れなかった。開幕戦以外はぐっすり眠れました。
開幕戦、スタジアムで現地観戦だった私は、ああ、優たん緊張してる、ってビリビリ感じていました。だから、試合後のインタビューでこの話をきいて、ああ人間らしい。ホントかわいい。って思ったの。
ワールドカップ中、試合は土曜だったので、月曜から木曜までは相手チームの分析、戦術の落とし込みをし、金曜に仕上げというスケジュールで準備をしていました。SOというポジションは信じてもらうことが仕事なので、自分が認めてもらうプレー、発言をしなければならない。すべてを想定しながら、自分が認めてもらい、相手を認めることができる関係を構築しつつ、チームをリードしていかなければならない。チームとしては相互の信頼感が大切だと思います。
SOのやりがいとは、チームの中心でありながら一歩高いところから状況の変化やチームにベストな状態を引き出すことです。
理想とする選手は特にいませんが、信頼される力があり、局面を変えられるプレーができることが理想。言葉で劣勢を変えられること、チームを勝たせるのがSOの仕事なので、パス、キック、ランを瞬時に判断し、スペースを意識してプレーを決定することが大切です。
(ああ、京平もそう言ってた。SOはチームを勝たせないといけない、って意味のこと)
ラグビーを生観戦したことがない人に伝えたいことは、俺たち選手は、ほぼ4か月にわたりラグビーから離れていて、プレーしたくて仕方ない状況にあります。だから100パーセント楽しむ姿を見せられる。グラウンドの15人と、リザーブ、サポート、スタッフの全員が同じ方向を見て勝利を目指す美しさを楽しんでほしいと思います。
遠征中はほとんどホテルに籠っているので…。日本の食事や治安の良さを外国人選手を含め、恋しく思っていました。自分のルーミーは松田力也でした。気を遣わずに済む相手です。
(りきやは気を使ってるんじゃないのかな。とか思ったり。)
遠征に必ず持っていくこだわりの品や服などは特にありませんが、枕とマットレスはサポートしてもらっている会社のものを持っていっています。できるだけコンパクトで、荷物にならないことが選び方の基準になっているので、絶対これ、というものはありません。私服はどこでも短パンでサンダルがほとんどで、こだわりはありません。寒ければムートンブーツとか?
(サンダルからのムートンブーツの振り幅ェ?って思ったけど。
そういえばUGG履いてるの見たような気もしたり。)
コイケヤのCMでは、あそこまでアップになると思っていなかったので、テレビで見てびっくりしました。よくたくさんもらったんだろうから送れよ、と言われるのですが…自宅にいただいた分、たぶんシリーズすべての味のものをいただいたと思うんですが、全部ステイホーム期間に食べてしまいました。(笑)
(喰ったんかい…全部かい…( ´艸`))
質問コーナー♪
トークショーの終わりに、質問コーナーがありました。私はたくさん聞きたいことがあったんですが、質問者を選ぶのは運営側の人で、その人は私のところに来てくれなくて聞けなかったの残念…(涙)
(ラグビーの魅力とは)先ほども話した内容と重なりますが、試合に出ていない選手、スタッフも含めチームとして同じ方向を見ていることだと思います。RWC2019の日本代表チームが得たものは、不可能を可能にするラグビーだったと思います。夢を実現するために大切なことはシンプルで、目標をしっかり持ち、それに向けたプランニングをしっかりすることに尽きます。
(ヘッドコーチの言葉で心に残っているのは)あの…なんて言葉だったかすぐ出てこないんですけど、俳句で伝えてくれたヤツです。誰も俺たちが勝つと思っていない、みたいな内容の。
(あの俳句の話、当時私は否定的に見てた。一緒に闘ってきたつもりだったのに、勝利を信じていたのに、モヤったんだよなあ…なのに忘れたんかい!?って全力脳内ツッコミでしたわたくし。ってかその質問は浅いわ~)
(40歳まで現役を続けるといった発言がありましたが)なんとなくですね。楽しいから続けたい、だけです。
(闘って楽しかったSOは)たくさんいますが…サンウルブズにもいたサモア代表のトゥシ・ピシです。
(努力しても結果が出ないときの切替え方法や改善方法は)優れている人に質問すること、今まで自分がやってきたことを洗い出すこと。やっていることを書き出してみるとわかりやすいと思います。
(緊張を強いられる場面で心掛けていたことは)それが自分の実力だ、と。RWC中は1週間の準備をしっかりすることで、100パーセント楽しむ権利を得たと思うようにしていました。失敗もラグビーの一部なので、まあいいか、と思うようにしています。以前、自分は完璧主義者だったと思いますが、メンタルコーチに「完璧主義者は弱さを隠している。弱さを出せることが本当の強さである」とアドバイスをもらいました。それから考え方が変わりました。
(ドロップキックをうまく蹴るコツを教えてください)ボールをまっすぐ落とすことです。ボールの握り方をしっかり決めて、一定の落とし方をできるまで練習するといいと思います。
質問コーナーはここまで。この後、サイン色紙の抽選会がありまして、これにも当たりまして。ありがとございます。
もちろんこのような時期なので、一緒に写真とかサインください、とかはナシです。去り行く田村選手を拍手でお見送りして、解散となりました。
たっぷり1時間楽しんだけど、質問コーナーがやっぱりビジネス寄りで…いや、会社の福利厚生なんだからいいんだけど。
私が聞いてみたかったこと
会場にいた20人の聴衆の中で、私が一番長く日本代表を、田村選手を応援してきたんじゃないかなあ…質問の傾向を見て、なんとなく熱量の差を感じてしまったのでした。
で、私が鼻息荒く聞いてみたかったことはこちら。
・母校である國學院栃木高校、明治大学、それぞれ注目している後輩選手について教えてください。
↑2020関東新人戦で準優勝だった國栃。写真は吉田爽真選手
・明治今年4年生になったSO山沢京平選手、その兄でRWCのトレーニングスコッドにも名を連ねた山沢拓也選手について、印象を聞かせてください。
↑2019年2月、キヤノンのグラウンドでの日本代表合宿
・内田啓介選手と付き合ってるって噂は本当ですか。(笑)
・沖縄料理、ヤギもお好きだと伺いました。那覇でおすすめのヤギ料理屋さんはありますか。
・キヤノンのキャプテン就任おめでとうございます。キャプテンに就任した経緯で、インタビューなどで話していない裏話があったら教えてください。
などなど。硬いの柔らかいの取り交ぜて聞いてみたかったです。いや、私のインタビューじゃないって。
2015年以降、田村選手への注目度はどんどん上がって、苦しんだ時期もありました。そのたびに「天才肌だからねえ…」ってかばってきた(誰からだ)けど、今回のRWCは努力の天才でもある田村選手のためにじぇみさんがチームを作ったと思っています。
たくやが選ばれなかったことは本当に痛恨事だったけど、田村選手の飾らない言葉を聞けて、正直、今までよりもっと彼が好きになりました。
↑ 私が撮った中で一番古い田村選手。2016年春、NEC時代のドヤ顔