文徒ジャーナル Vol.22

Index------------------------------------------------------
1)岡山放送 社員入水自殺!原因は上司のパワハラ?!
2)最近書店閉店事情 那須ブックセンターを中心に
3)「眞子さま」「小室さん」報道の異様にして異常
4)NHKで小泉今日子、又吉直樹が左右社推し!今野書店はフェア開催
5)「『読書の秋』に読みたい書籍100選」の波紋
6)これはフェイスブックの終わりの始まり?
7)首相記者会見 原稿を読まずに答える総理に感動している場合?
8)品川駅の「今日の仕事は楽しみですか。」が炎上した理由
9)辻堂ゆめの「トリカゴ」(東京創元社)が話題になっている
-----------------------------------------2021.10.4-8 Shuppanjin

1)岡山放送 社員入水自殺!原因は上司のパワハラ?!

讀賣新聞オンラインは9月29日付で「【独自】テレビ局員の自殺『長時間労働が主な原因』、遺族に報告…パワハラ行為も」を掲載している。
《フジテレビ系列の岡山放送(岡山市)に勤務していた30歳代の男性社員が7月に自殺し、同社が「長時間労働が自殺の主な原因だった」として、遺族に経緯を報告していたことがわかった。同社は幹部社員らの処分を検討している。》
《岡山放送の中静敬一郎社長ら幹部が9月20日頃、遺族のもとを訪れ経緯をまとめた報告書を渡した。27日には社員らを前に「若く優秀な社員の命を守ることができず、心からおわび申し上げる」と謝罪した。》
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210928-OYT1T50288/
「NHK NEWS WEB」は9月29日付で「岡山放送 社員自殺で遺族に謝罪 長時間労働やパワハラ発言も」を公開している。
《そして29日に、中静敬一郎社長について、減給3か月の処分を決めました。
男性社員の母親は、NHKの取材に対し「会社からの報告では、どれほど過酷な勤務だったのか分からない部分もあったので、改めて詳細をたずねている。息子の死の真相を早く知りたい」と話しています。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210929/k10013283051000.html
毎日新聞は9月29日付で「岡山放送社員が7月に自殺 月100時間超の時間外労働、パワハラも」を掲載している。
《フジテレビ系列の岡山放送(岡山市)は29日、子会社の番組製作会社に出向中の30代の男性社員が7月に自殺し、主な原因は長時間労働で上司によるパワーハラスメントも確認されたとの社内調査結果を発表した。管理責任を問い、中静敬一郎社長を減俸20%(3カ月)とした他、パワハラをした上司を停職2カ月とするなど複数の幹部社員を懲戒処分とした。》
https://mainichi.jp/articles/20210929/k00/00m/040/181000c
朝日新聞デジタルは9月30日付で「岡山放送社員が過労自殺、長時間労働が原因 パワハラも認定」を掲載している。
《同社などによると、男性社員は昨年3月、報道部記者から子会社の番組制作会社に出向。今年2月からバラエティー番組のディレクターを担当していたが、7月6日に自殺した。
社内調査で2月以降、時間外労働が「過労死ライン」とされる月100時間以上だった月があったことが判明。社員は会社に、実際より少ない労働時間を申告していた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP9Z5RD2P9ZPPZB00H.html
お笑いトリオ「ハナコ」の冠番組「ハナコのBuzzリサーチ」を出向した制作会社で担当していた男性社員は海に入水自殺した。「文春オンライン」は9月29日付で「《社長の処分発表》人気芸人番組で『なめてんのか』『殺すぞ』 岡山放送社員を“入水自殺”に追い込んだ“パワハラ”罵倒」を発表している。
《当初は冗談めかして「Xさんにはついていけないっすわ」と周囲にこぼしていたという柏田さん。だが、次第に追い詰められていく。
「現場を束ねるX氏はロケなどで出先にいることが多く、仕事の指示は基本LINEか電話。柏田さんには休日や深夜を問わず、ひっきりなしに連絡が来ていました。その度に何度も台本の書き直しを命じられたり、取材の音声起こしをさせられたりしていた」(同前)
柏田(注・仮名)さんがミスをすると、X氏は「なめてんのか」「殺すぞ」などと罵倒し、さらに「ここ(岡山)にはまともな奴がいねえのかよ」と吐き捨てていたという。》
《自殺当日、朝5時半までパソコンにログインしていた柏田さん。実は直前のX氏のこんな言葉で、ひどく落ち込んでいたという。
「今まで関わってきた中で、一番ダメなディレクターだな」――。》
https://bunshun.jp/articles/-/49007
「週刊文春」は、今年8月、自殺の原因にパワハラや過酷な労働環境があったことを、遺族の悲痛な叫びとともに9月2日号で報じていた。これは、その際の記事を再公開したものだ。「週刊文春」が報じることで岡山放送も動かざるを得なかったのだろう。
こんな投稿も発見した。岡山放送には何か構造的な問題もあるのではないだろうか。
《アナウンサーもすぐ辞めるもんなぁ。明け方、日テレ24のニュースで見たことあるなと思ったら元OHKの神谷アナだったりさ。》
https://twitter.com/hachinoko58/status/1443602400216895498
「今まで関わってきた中で、一番ダメなディレクターだな」「殺すぞ」などと言い放って、自殺に追いやった上司は停職2ヶ月で済まされてしまう。遺族の無念は晴れまい。岡山放送の元アナウンサーである淵本恭子がインスタグラムに9月30日付で次のように書いている。
《報道にもありましたが、該当社員の処分は停職2ヶ月です。
昨日の投稿のコメント欄に多くの方から「甘い処分!」といただきました。私もそう思います。私の後輩がその社員の下に付いてからたった4~5ヶ月で彼を死に追い込んでおいて、停職2ヶ月です。
クビでないということは、例え該当社員が会社に居づらくなって退職するとしても退職金が出るということですもんね。お金の問題ではないですが、何気にこういうこと気になるんですよ。支給するに値しない人物に支払われる退職金や結婚一時金は、厳しい目で見てしまいますよね。
この悲しい事件を止められるチャンスは何度もありました。以前の投稿でも書きましたが、
私は労働組合の委員長として「何人もの若手を潰している問題のある社員の下に若い子を異動させないでほしい」「野放しにしないで」
と、何度も訴えてきました。もちろん私の力不足なのですが、会社が労組の度重なる訴えをガン無視した結果がコレです。
会社って人が命を落とさないと社員のことを見てくれないんですかね。悲しい風潮ですね。
今日の新聞記事が辛い思いをしている方の目に留まって、一人でも自死を思い止まってくれたら幸いです。》
https://www.instagram.com/p/CUcjOVflf7y/
労働組合が問題提起しながらも、これを会社側が完全に無視していたとあれば、社長・中静敬一郎の減給3ヶ月という処分も軽過ぎはしまいか。引責辞任するのが当然だと思う。また、私が岡山放送に何か構造的な問題が有るのではないかと疑うのは、労働組合の委員長だった淵本恭子が8月5日付のインスタグラムで次のように書いているからである。
《この1ヶ月間、様々な後悔に苛まれました。彼が辛い思いをした時に労組委員長だった私にも
責任があります。
やはり、去年2月にストライキ権を行使しておくべきでした。アナウンサー業務が忙しくストライキの準備をするほどの胆力は無いと思い断念しましたが、私にしかできないことをして組合員を守るべきでした。
私の仕事なんかより大切な命がすぐ隣にあったのに。
一方で、もちろん会社にも大きな責任があります。社員を大切にする組織改革や人事異動にしてほしい。問題のある管理職を野放しにしないでほしい。何人もの若手を潰してきた管理職の下に若い子を付けないでほしい。
こういったことをずっとお願いしてきたのに、一向に改善されませんでした。
私は退職にあたってOHKアナウンサー公式ブログに
「大切な仲間たちが
泣きながらではなく楽しく笑って働ける環境であってほしい」
と明記しました。インスタの4月4日の投稿にもそのスクリーンショットを載せています。
これは、私が労組委員長をやっていた時にずっと会社にお願いしていたことです。でも改善されないどころか退職して3ヶ月後に最悪の事態になってしまい、言葉がありません。
人が命を落とさないと変われない会社って辛い。
いや、こうなっても尚変わらないという可能性もあるのか。
でもOHKにとってこれは本当に最後のチャンスだと思います。
どうか彼の死を無駄にせず、民主主義を採用する会社になってください。》
https://www.instagram.com/p/CSMccd5Fn-r/
周知のようにフジサンケイグループの日枝久は岡山の出身であり、今でも岡山放送の社外取締役をつとめている。

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