文徒インフォメーション Vol.52
Index------------------------------------------------------
1)【Book】宇佐見りん、モニク・トゥルン、恩田侑布子…収穫の多い週だ
2)【Publisher】小学館創立100周年、新社長誕生も決定
3)【Advertising】TikTokの広告収入がYouTubeを超える、との予測
4)【Digital】NFTに取り組むメディアドゥと、NFT減速の市場予測
5)【Magazine】「ロシア人1000人」「NHK前田会長」週刊・月刊とも文春独擅場
6)【Marketing】光文社「VERY」とウインナーソーセージのコラボは?
7)【Comic】集英社「マンガMee」が縦読みマンガ制作の「Studio Mee」を発足
8)【TV, Radio, Movie, Music & More】TVer生配信、ニュースにVTuber出演…変わるテレビ
9)【Journalism】上島竜兵死去報道、WHOガイドライン、自宅前中継
10)【Person】漫画「天牌」原作の来賀友志が5月8日に亡くなった
11)【Bookstore】三省堂神保町本店が一時閉店、明正堂アトレ上野店も閉店
----------------------------------------2022.5.9-5.13 Shuppanjin
1)【Book】宇佐見りん、モニク・トゥルン、恩田侑布子…収穫の多い週だ
◎産経児童出版文化賞が決まった。
大賞は、岡田淳の「こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ」(理論社)。
JR賞は、おかだだいすけ 文 / 遠藤宏 写真の「おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで」(岩崎書店)。
美術賞は、まきあつこ 文 / 降矢なな 絵の「ヴォドニークの水の館 チェコのむかしばなし」(BL出版)。
産経新聞社賞は、高久至 文・写真の「ハタハタ 荒海にかがやく命」(あかね書房)。
フジテレビ賞は、嘉成晴香 作 / まめふく 絵の「人魚の夏」(あかね書房)。
ニッポン放送賞は、いとうみく 作 / 丹地陽子 絵の「つくしちゃんとおねえちゃん」(福音館書店)。
翻訳作品賞は、ジョーダン・スコット 文 / シドニー・スミス 絵 / 原田勝 訳の「ぼくは川のように話す」(偕成社)とシン・ソンミ 絵・文 / 清水知佐子 訳の「真夜中のちいさなようせい」(ポプラ社)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001209.000022608.html
毎年のようにこの賞が産経新聞の主催だということに違和感を感じる。選考委員の顔ぶれからして、産経らしくない。ここは「歴史戦」の新聞だろ。いずれにしても協賛が凄い。オールJRだ。即ち、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物である。
◎神保町の住人であれば原田ひ香の「古本食堂」(角川春樹事務所)を無視することはできまい。「リアルサウンド」は5月5日付で細谷正充の「原田ひ香が描く、神保町の味わい深い魅力 古書×グルメ×人間ドラマ『古本食堂』がおもしろい」を公開している。
《東京の神田神保町は、世界有数の古書店街として知られている。また、レストランから大衆食堂まで、多数の飲食店がある。グルメ番組でよく取り上げられるので、そちら方面でご存じの人もいるだろう。そんな神保町の、古書と食の両方を楽しめる小説が上梓された。原田ひ香の『古本食堂』である。》
《・・・「ボンディ」のビーフカレー、「揚子江菜館」の上海式肉焼きそばなど、神保町の絶品グルメがストーリーを彩る。珊瑚や美希喜の食事も、読みどころとなっているのだ。店名が出てこないこともあるが、神保町に馴染みのある人ならば“白いビーフストロガノフにも惹かれたが、「世界一美味しい豚肉料理グリヤーシ」という料理に目が吸い寄せられた”という文章を読んだだけで、どこの店か分かるだろう。》
https://realsound.jp/book/2022/05/post-1022667.html
ろしあ亭は最高である。
◎東京新聞は全国紙ではないとはいえ、社説で取り上げられるとは光文社にとって名誉なことであろう。5月6日付社説「戦争と平和を考える トルストイを読み直す」は、こう書いている。
《「あらゆる小説の中で最も偉大な作品」(作家サマセット・モーム)とも評された「戦争と平和」ですが、光文社版を翻訳した望月哲男・中央学院大学特任教授によると、作家の死後、ソ連共産党の政権下では、その平和思想は顧みられず、小説に描かれた祖国防衛の一面だけが国威発揚のため強調されたそうです。
戦争文学が反戦でなく、過激な愛国主義へとねじ曲げられることは、今のロシアでも続きます。同国のネットメディアによると、他ならぬプーチン大統領が最も影響を受けた作品に「戦争と平和」を挙げているのです。大いなる誤読と言わざるを得ません。
プーチン大統領よ、今すぐ読み直せ、と言いたい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/175725
◎新川帆立の新刊「競争の番人」が講談社から5月11日に発売される。舞台は公正取引委員会だ。5月6日付毎日新聞が掲載している「『社会問題の元凶は競争社会』 異色作家、新作舞台は公取委」(柿崎誠)で、新川は次のように語っている。
《小説なので、事実や現実からあえて変えた部分はありつつも、できるだけ事実を大事にしました。エンタメだから読んでおもしろいのは当たり前で、ただそれだけでは読者に満足してもらえない。学習というか歴史漫画のように、ちょっと役に立つ、公取委を全く知らない人がわかるようにしたいと思いました。》
https://mainichi.jp/articles/20220504/k00/00m/040/005000c
◎朝日新聞デジタルは5月5日付で「『アンモナイト愛』あふれる図鑑、完成 世界的産地の北海道から」を掲載している。
《アンモナイトの世界的な産地として知られる北海道に住む銅版画家、福岡幸一さん(75)が、道内で見つかったアンモナイト化石などを20年かけて描いた作品300点以上を図鑑にまとめた。芸術と科学が融合した図鑑は「アンモナイト愛」にあふれている。
「銅版画で辿る化石図鑑 アンモナイトと恐竜時代の生物」(北隆館、税込み1万6500円)。恐竜や魚類、ウミユリなどの化石も載っているが、主題はアンモナイトの化石だ。4亜目36科181属などさまざまな種の特徴をとらえた作品が収められている。》
https://digital.asahi.com/articles/ASQ4X6FY1Q4VULBH00W.html
これがそうだ。
http://hokuryukan-ns.co.jp/cms/books/%e2%80%90%e9%8a%85%e7%89%88%e7%94%bb%e3%81%a7%e8%be%bf%e3%82%8b%e5%8c%96%e7%9f%b3%e5%9b%b3%e9%91%91%e2%80%90%e3%80%80%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%83%a2%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%88%e3%81%a8%e6%81%90%e7%ab%9c/
北隆館の創業は日清戦争よりも前の明治24年(1891年)。ホームページには「会社の歴史」が書かれている。
《弊社は明治24年10月初代社長福田金次郎によって創立された。
初めは北陸三県に新聞・雑誌・書籍の卸売を行なう業務が主であったが、その後、営業範囲を全国に拡張。大正8年10月株式会社に改組し戦前の四大取次店の一つに数えられるまでに発展。昭和16年6月当時の戦時統制による企業整備によって、取次業務は日本出版配給株式会社に移譲統合され、以降出版専業となった。出版の歴史も古く、明治30年1月少年雑誌として有名であった「少国民」を発行したことに始まり、「少年倶楽部」を創刊したこともあった。
出版業はその後一時中断していたが、明治41年植物分類学者として世界に知られている、牧野富太郎博士の「植物図鑑」を発行したことから再開された。この図鑑は弊社のその後の多くの図鑑類の源流となったばかりでなく、わが国におけるいわゆる「図鑑」の語源・原典となったものである。
以来「日本動物図鑑」、「日本昆虫図鑑」を初めとして自然科学書を発行、さらに医学書部門にも進出し活発な出版活動を行っている。また、平成12年4月には「CD-ROM版原色牧野植物大図鑑」を刊行、最新マルチメディア分野への第一歩を踏み出し、現在は弊社の図鑑類は全て電子書籍化されている。・・・・》
http://hokuryukan-ns.co.jp/cms/company/
紀伊国屋書店新宿本店が2月2日に投稿したツイート。
《【8階理学】2023年度前期のNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』の主人公は日本植物学の父・牧野富太郎がモデル!
8階棚番号A39では北隆館発行の図鑑や『牧野富太郎 植物博士の人生図鑑』(平凡社)ほか関連書をご紹介しています。主人公を神木隆之介さんが演じられるとのこと、とても楽しみですね!HRD》
https://twitter.com/KinoShinjuku/status/1488789603322515460
高知県牧野記念財団と北隆館が、牧野富太郎生誕 150 年記念共同事業として「牧野日本植物図鑑(初版・増補版)インターネット版」を公開している。
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/index.php
◎「ゲンロンα」が5月6日付で横田増生の「『トランプ信者』潜入一年」を書評で取り上げている。評者は西田亮介。
《横田が深く掘り下げるのは、2020年から2021年にかけてのアメリカ社会であり、人である。その点にこそ、我々が本書を手に取るべき理由がある。大統領選挙という「政治の季節」におけるアメリカ社会の景色と空気を、評者も含む日本社会はあまりに知らなさ過ぎる。》
《・・・横田が渡米し、1年のあいだ選挙運動に参加しながら目を向けたのは、トランプを支持する人たちを中心にした、より広い市井の人々の姿である。こうした仕事は案外、多くはない。》
https://www.genron-alpha.com/bookreview_008/
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