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「責難は成事にあらず。」
タイトルのフレーズは、十二国記シリーズ『華胥の幽夢(かしょのゆめ)』著・小野不由美(講談社X文庫)の一説です。
十二国記シリーズは、十二の国からなる異世界を描いた中華ファンタジー。
王を麒麟(きりん)という生き物が選ぶという設定で、正しい生き方とは何か、国を治めるとはどういうことかなど、人生の深いテーマも扱う魅力的な作品になっています。
その番外編にあたるのが『華胥の幽夢』です。
久しぶりに読み返していたところ、気になったフレーズがあったので冒頭に引用しました。
このセリフは、自分の行い・治世が過ちだと悟った王が、遺言として残した言葉で、王が母から言われた諫言でもあります。
人や自分を責めるだけでは何かをなすことはできない、その前にどうしたらいいか答えをみつけて、次の道へ進みなさいというのが大まかな意味かと思われます。
自分の過ちを許すことができずに、いつまでもその過ちを見返してしまう経験は誰にでもあります。それが取返しのつかないことならなおさらです。ああしていれば違う未来があったのではないか、別の決断をしていたら失うものはなかったのではないかと、「もしも」を繰り返し考えてしまうこともあるでしょう。
ただ、そうしている間も時間は過ぎていくし、周りの人もどんどん変わってゆきます。自分ひとり立ち止まっているのは難しいのが現実ですよね。間違いは間違いと認めて、これから同じことがあったときどうしたらいいのか、立ち直るためにどうすべきか考え、次へ進む方が、周りにとっても、自分にとってもよいことなのではないでしょうか。
「責難は成事にあらず。」他人に対する態度だけでなく、私たちが自分自身に向ける態度おいても、大変教訓になる言葉だと思います。