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フリースロー。

THE FIRST SLAM DANKを2ヶ月空けて2回目を観てきた。セリフを覚えるほどに読み込んでいた場面を生のセリフで聞くことができ、井上雄彦の絵柄で動いていることにとても興奮した。

連載期間は小学生から中学生に掛けてと、ドンピシャのスラムダンク世代。その影響を受けて、高校進学とともに入部したバスケットボール部。陵南高校のモデルだったが強豪校ではなく、私の代は、地区大会初戦突破するかしないかのレベルだった。

厳しくはない部だったけれど、バスケが走るスポーツであることに変わりはない。ラインダッシュ、インターバルは今考えても吐き気を催す。一年生の夏合宿明けには15キロの減量が完了した。走る練習の中でも、ボールを使ったスリーメンは好きだった。部活が休みの日は、海岸を浜ラン。色恋沙汰とは無縁でも、青春の二文字を確かに刻んでいた。

スタメンにはなれなかった。なろうとしなかったのかも知れない。身の程を知る、遠慮をする、経験の長い後輩に譲る。人を押し退けてまで選ばれる気概は持ち合わせていなかった。

練習試合。10分ゲームで13点を取ったことがある。3ポイント、パスカットして1人で速攻、ワンオンワンでカットインからのレイアップ。全く外す気がしなかった。2軍の試合だったけれど、今までの時間が間違っていなかったと思えた瞬間だった。

時は過ぎ、引退試合。終盤で点差は開いているが、諦めてもそこで試合は終了しない。残りは2分弱。3年生の思い出作りの時間が始まる。2年半温め続けたベンチから、公式戦のフロアに立つ。緊張、温まりきっていない身体、最後という気負い。それらを抱えて精一杯走った。ヘルドボールでは絶対に離すものかと思った。

唯一のシュートチャンスでファウルを受け、フリースローを与えられた。弾む肩を落ち着け、なんとか決めた2本中の1本は、公式戦での最初で最後の得点になった。勝敗には関係はない。スーパープレーでもない。誰にも邪魔をされずに決めたシュート。3年間の集大成のような1得点だった。

試合終了後、自然と涙が出た。負けた悔しさからではない。いつまでも続くような気がしていた時間からの放出。もう繰り返すことの出来ないという寂しさから、自然と溢れ出たものだった。

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