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【新型コロナウイルスと差別】医歯薬看護系学部入試小論文対策

(1)問題


感染者や看護師などの医療従事者に対する差別はなぜ起こるのか。その原因を考察したうえで、以下の資料を参考に対策を書きなさい。

【資料1】

 かつてはハンセン病(らい病)患者に対して、らい予防法(1953年制定)によって国立の療養所が各地に建設され、すべての患者さんの強制隔離が行われた。また断種手術も施され、患者さんは激しい差別に晒された。らい予防法は1996年(平成8年)になってようやく廃止された。
このように感染症の患者さんをめぐり差別や偏見といった人権侵害が引き起こされてきた歴史あり、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、感染者や看護師などの医療従事者に対する差別も起こっている。
 このような差別を起させないこともリスクコミュニケーションにとっての重要な課題となる。

【資料2】感染症法前文

人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。

医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。

一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。

このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。

ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。

【図1.新型コロナ感染についての意識調査】

日本は自業自得、本人の責任 とする意識 が他の国と比べて異常に多い。この意識 が、差別につながり、科学的な対策の障 害となる。 【三浦麻子】「差別はだめ」だけで差別は消えない 過剰な防御反応防ぐ道は:朝日新聞 をもとに、黒木登志夫氏が作成(『新型コロナの科学』黒木登志夫、中公新書、2021年、P61)

【資料3】  事例
 
1)
感染者が、仕事で着用する制服を、家族に頼んで市内のクリーニング店に持っていってもらったところ、感染者の職場にクリーニング店から連絡があり、「コロナの洗濯はできません」「洗濯物を取りに来てください」と言われたとのことであり、本人氏名が公表されていないにも関わらず、個人が特定されている状況である。
2)
住民から、「新型コロナウイルスに感染したとする貼紙が見つかった」との通報があった。貼紙には3人の氏名と年齢が記載され、同市の民家の壁などで複数枚見つかった。これを受け、人権啓発担当部署は記者発表を行い、正確な情報に基づく冷静な行動の呼びかけ、HP上に相談窓口一覧の掲載を実施した。
3)
市内のレストランにおいて、感染者が在籍する大学と同じ大学の「関係者入店遠慮」の貼紙が貼られていた。翌日、市から「人権への配慮」を店側に要請し、撤去。
以上、三重県「偏見・差別の実態と取組等に関する調査結果」より引用

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/wg_h_3_6.pdf


この問題の解答例は以下の授業を受講された方に配布しています。


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