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【書いたあと見直そう】推敲(すいこう)の仕方

(1)推敲(すいこう)とは

 推敲(すいこう)とはベストの表現を求めて文章を何度も練り直すという意味です。


 簡単に言うと、文章の見直しをする、ということです。


 小論文の勉強をする際に答案を書き終えたあと必ず推敲をしてください。


 今回は、どんな点に注意を払って推敲(見直し)をすればよいのかについてお話します。

(2)誤字・脱字がないかを点検


 小論文では誤字・脱字は減点の対象になりますので、必ず見直すこと。

 汚い字、小さい字で書かれた答案も、たとえ漢字が正しく書かれていても誤字とみなされますので、このような場合、書き直しをしてください。


(3)主語、述語の対応①

 主語、述語が正しく対応しているかを点検してください。


 主語とは、「は」「が」「も」の助詞がついている言葉です。


 述語は「~だ」「~である」「~する」にあたる言葉です。

<例文1>
私の朝の習慣は近くの土手を3キロばかりジョギングします。
 

 <例文1>の主語は「習慣は」で、述語は「ジョギングします」で、一読して変な文章です。「習慣」がジョギングするわけがない。


 この文章は主語と述語が一致していない悪文の典型です。


 <例文1>は以下の2案の文章に訂正しましょう。

<例文2>
私の朝の習慣は近くの土手を3キロばかりジョギングすることです。
 

 <例文2>では、主語「習慣は」に対して述語「ジョギングすることです」が正しく対応しています。

<例文3>
私は習慣的に毎朝、近くの土手を3キロばかりジョギングします。


  <例文3>は<例文1>を大幅に訂正しました。主語を「私は」にして述語を「ジョギングします」というように対応させます。

☞ポイント
主語と述語が一致していない場合の対処
① 主語を訂正する。
② 述語を訂正する。


(4)主語、述語の対応②


 次のケースもときおり見られる悪文の典型的な例です。

<例文4>
食の安心について、食品添加物は生産者と消費者は、考えが異なる。
 

 <例文4>では主語が「食品添加物は」と「消費者は」と「考えが」と3つあるように見えます。文意がにわかに読み取りづらい文章です。


 よく読むと述語が「異なる」ですから、「考えが」が主語として対応しているのがわかりますが、助詞「は」がついている「食品添加物は」と「消費者は」が何とも紛らわしい。


 そこで、次のように文章を直します。


<例文5>
食の安心について、食品添加物では生産者と消費者との間では考えが異なる。


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(5)修飾・被修飾の関係を明確にする



<例文6>
彼女は笑いながら歩いてくる我が子に手を振った。
 

 <例文6>は彼女が笑っているのか、我が子が笑っているのかわからない悪文です。


 文法的に説明すると、「笑いながら」という修飾語が「歩いてくる」「手を振った」のどちらの語句を修飾しているのか明確でないことから、このように2通りの意味に取れてしまうのです。


 <例文6>を訂正するには、以下の2つのやり方があります。

<例文7>
彼女は笑いながら、歩いてくる我が子に手を振った。
 

 <例文7>のように「笑いながら」と「歩いてくる」との間に読点を打つことによって、この2語が修飾・被修飾の関係にない、つまり意味的に切れていることを示します。

<例文8>
彼女は、歩いてくる我が子に笑いながら手を振った。


  <例文7>よりは、むしろ<例文8>のように訂正したほうがいいでしょう。


 修飾語=「笑いながら」と被修飾語「手を振った」は近くに置くというルールを徹底させてください。そうすれば誤読を避けることができます。


 なお、我が子が笑っている場合には、以下のように訂正してください。

<例文9>
彼女は、笑いながら歩いてくる我が子に手を振った。


☞ポイント
修飾語と被修飾語は近くに置く。


(6)呼応の副詞


<例文10>
君が面接で少しぐらいミスをしても全然だいじょうぶです。
 

 最近、<例文10>のような言い方が若者たちの間に定着してきました。


 仲間どうしの会話ではだいじょうぶですが、公的な小論文や面接試験でこのような表現を用いるのは、だいじょうぶではありません(笑)。


 「全然」「少しも」「まったく」「めったに」「決して」などの言葉(副詞)はそのあとに必ず「~ない」という否定文を伴います。


 <例文10 >は以下のように直しましょう。

<例文11>
君が面接で少しぐらいミスをしてもだいじょうぶです。


<例文12>
君が面接で少しぐらいミスをしても全然気にすることはありません。


 このような文法語法を呼応といいます。


 呼応の例としては、ほかに以下のようなものがあります。

「もし」⇒「なら」「ならば」「としたら」

「おそらく」「たぶん」⇒「だろう」


「もし」「たとえ」⇒「ても」


「まるで」⇒「ようだ」「みたいだ」


「なぜ」⇒「か」「の」「のか」


「どうか」「ぜひ」⇒「ください」「ほしい」


「まさか」⇒「ないだろう」「まい」

 このような呼応の副詞を用いるときには、後ろの文章が正しく対応しているかチェックしてください。


(7)「たり」の誤用


<例文12>
私たちは自分の行動が他人と異なっていたり、遅れていると心に不安感に襲われる。


 <例文12>のような文章は、意味としては通るので、つい書いていまいます。


  しかし、これは文法的には間違っているという意味で、一種の悪文に数えることができるでしょう。


 「たり」という言葉は「行ったり来たり」という文例でわかるように並列を表すときに用いる言葉で、必ず2回使います。

 以下のように正しく使いましょう。

<例文13>
私たちは自分の行動が他人と異なっていたり、遅れていていたりすると不安感に襲われる。


(8)今回のまとめ


<推敲するときのチェックポイント>


①誤字・脱字がないか。

②主語・述語が対応しているか。

③修飾・被修飾の関係が明確になっているか。

④呼応の副詞をきちんと使えているか。

⑤「たり」は2回使用しているか。

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