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「学校の校則の是非」新潟大学法学部前期2021年(改作)

(1)問題


 
多くの学校では、各学校の責任と判断のもとに定められている決まりとして校則が存在する。校則が必要かどうかについて,肯定・否定のそれぞれの立場の論拠を示しつつ、あなたの意見を1000字以内で述べなさい。

参考資料


(2)考え方

ここでは段落構成を考える。
 
第一段落:校則が必要な理由

①  学校の特徴①集団生活
・秩序が必要
②  学校の特徴②学びの場
・校則による生徒への生活指導が学習指導や進路指導につながる。
③  学校の特徴③社会に出る前の準備期間
・社会性や協調性(協働)の涵養
・社会人としてのモラルやマナーを身に着けさせる

第二段落:校則が問題である理由

①  法の支配の原則に反する
法の支配の理念では、本来校則は生徒の人権重視ためのものであるが、実際は学校や教師が生徒を支配するために使われている。
②  いわゆる「ブラック校則」の問題

第三段落:現実的な解決策
①  校則を全廃することは(1)の視点から不適当。
②  校則の再検討
・内容
 校則の目的はあくまでも生徒の安全や人権を守ることにある。
 こうした目的から外れた校則は廃止する。
 罰則の必要性を議論し、罰則を設ける場合の妥当性も検討する。
・手続き
 改廃の柔軟性
 校則作成にあたって生徒が参加し、生徒や父兄の賛成を必要とする

第四段落:積極的な校則の活用~これからの時代に合った校則
①  グローバリズム
外国人の生徒に対する配慮
②  環境問題
地域の環境との調和
③  生徒の安全・安心
新型コロナウイルスなどの感染症対策


(3)解答例



 初めに校則の必要性について考える。第一に児童・生徒が集団生活を行う場で時程に合わせて計画的な授業を運営するうえで遅刻禁止などの校則が要請される。第二に児童・生徒の成長を育むことを使命とする学校で順調に学習を進める条件として、子どもの心身の安定を図ることは重要な課題となり、そのためには生活指導が欠かせない。指導の徹底を図るうえで校則などのルールを守らせることは学習指導や進路指導にもつながる。第三に自立した社会人になるために社会性や協調性の涵養は学校教育の大きな課題であり、社会人としてのモラルやマナーを身に着けさせ、遵法精神を養う上でも校則は重要である。

 一方、校則の問題点を以下に述べる。校則は広い意味で法にあたる。法は西洋の自然法思想に基づく法の支配を起源とする。この理念では、法は為政者の暴走を抑止し人権を守ることを本旨とする。こうした原理を敷衍すれば、校則は生徒の生命と人権を守るために存在する。ところが校則は学校や教師が生徒を管理・支配するために使われている。これは法の持つ理念に反する。法の支配の延長に基本的人権を尊重する民主主義があることに照らすと、日本国憲法の下に出発した戦後教育の流れに校則は反する。

 しかし、社会的な機能を有する学校において一定の社会規範は必要となる。「ブラック校則」などの不適切な校則を廃止して学校や児童・生徒の現実に即した校則に作り替えることが解決策となる。校則はあくまでも生徒の安全や人権を守ることにある。こうした目的から外れた校則は廃止する。罰則の必要性を議論し、罰則を設ける場合の効果や妥当性も検討する。改廃の柔軟性を持たせること。校則作成にあたって生徒が参加し、生徒や父兄の賛成を必要とする。定期的に校則の見直しをする機会を設けることも必要となろう。

 国際化・多様化を迎える現代、新興感染症や環境問題など多くの課題が山積している。校則もこうした背景やニーズに照らした内容を盛り込んで、時代に柔軟に対応していく姿勢が学校側に求められる。外国人の生徒に対する配慮を盛り込むこと。地域の環境との調和を図り持続可能な社会構築のために貢献すること。生徒の安全・安心に配慮して感染症対策を厳重にすること。これらの事項を盛り込み、校則を積極的に活用することによって21世紀の時代や社会に即した快適なスクールライフに資することを望みたい。

(994字)
 
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