【新型コロナウイルス】法学部小論文ではこんな問題が出題される
(1)小論文や面接では新型コロナウイルスは必ず聞かれる
2021年5月現在、感染が拡大中の新型コロナウイルスについては、今後、大学入試の小論文や面接で聞かれるケースが増えてくることが予測される。
受験生のみなさんは、今から情報を収集して対策を立てておく必要がある。
ただし、大学や学部によって聞かれる内容が異なる。
自分が受ける大学・学部に応じた考え方や問題意識を持たなければ、ただ闇雲に情報を集めても使いものにならない。
今回は法学部で聞かれる新型コロナウイルスについての問題を解説する。
ついては、まず下の記事を読むことをお勧めしたい。
このインタビューの内容は、法学部だけにとどまらず、医歯薬看護系やSFC、慶應義塾大学経済学部、スポーツ・体育系学部や情報系の学部の入試小論文に役立つアイディアが満載で、とても役に立つ。
(2)法学部で考えるべきテーマは「公」と「私」の問題
尾身茂氏の発言は示唆に富むものばかりであるが、法学で考えると、以下の発言が極めて重要になります。
こうした尾身氏の発言は、先日、大阪府の吉村知事が私権の制限が必要とも取れる発言をして物議をかもしたことが背景にあります。
大阪府などに出された3回目の緊急事態宣言では、店舗に対して時短と休業の要請・命令を行うことができて、命令違反に30万円以下の過料を科すことが定められています。
これは飲食店に対するもので、吉村知事は映画館や百貨店など大型集客施設にも休業を求める考えを改めて強ましました。
私権制限とは、これよりさらに踏み込んだ個人の行動に対する規制の含みも持っていると考えていいでしょう。
尾身氏が言うように、公共の利益と個人の人権(自由権)の尊重とのトレードオフ※の問題をどう考えるかが重要な課題となります。
※トレードオフ‥‥一つのことを達成するためには、別のものを犠牲にしなければならない関係のこと。
法学部の入試小論文では、新型コロナウイルス感染拡大などの非常時に私権の制限は許されるか否か、という問題が出題される可能性がある。
前回、「【法学部小論文】書き方」で解説したように、YESかNOではっきりと自分の立場を明確にして書くことが要求されます。
YES/NOのどちらの立場で書くにしても、理由を明確にする必要がある。採点では、YES/NOの立場で有利・不利となることはない。むしろ、この理由や根拠がしっかりと書かれているかを評価されるのです。
(3)問題のヒントと考え方
ここで、少しだけヒントを出しておきます。
YESで書く場合、どのような状況であれば私権の制限が許されるか、私権の制限が許されたときに、どのような付帯条件を考えればよいのか。
微妙な問題を扱う場合、こうした場合分けや条件付けをして考える、というのが論理的な思考法の1つであることは「OK小論文プレミア」(👇下の記事)で示しました。
ただ、結論としては、現在(2020年5月1日)の日本の状況では、私権の制限に対してはNOと答えるのが一般的な解答であるだろう。
上のインタビューでの尾身氏の次の言葉が妥当だと考えます。
つまり、私権の制限といった、民主主義国家の根幹を揺るがすような問題については、広く国民の間で議論をして、コンセンサス(合意)を得ることが重要となります。
ここで言う議論とは、地方議会や国会のみにとどまらないものです。
ただ、忖度や同調圧力を特徴とする日本人の精神風土にあって、このような言論の土壌を私たちは今まで育ててこなかった。
こうした日本人の言動や組織のガバナンスの弱点が、パンデミックという緊急事態になって露呈した、ということができると思います。
今回はここまでにして、この私権の制限の問題について、あえて解答例は書きません。
ここから先は、みなさんで考えてみてください。
引き続き、新型コロナウイルスについて学びたいと考えている人は以下の記事を参考にしていただけると嬉しいです。
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