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「農業・農村の多面的機能を守る農芸化学技術」」高知大学農林海洋科学2016年農林海洋科学

(1)問題


次の文章を読み、下の問題に答えなさい。


① 日本の農業・農村は、食を支えているだけでなく様々な働きを持っています。例えば、

水田は雨水を一時的に貯留して洪水や土砂崩れを防ぎ,多様な生き物を育みます。また,美しい農村の風景は,私たちの心を和ませてくれます。農村で農業が継続して行われることにより,私たちの生活に色々な「めぐみ」をもたらしています。このめぐみを「農業・農村の多面的機能|と呼んでいます。


② 農業・農村の現状について調べてみると,農業就業人口は年々減少しており,平成25年

には239万人になり平均年齢は66.2歳と上昇傾向にあります。また,耕作放棄地面積は農業者の減少や高齢化の進行等に伴い,平成2年からの20年間で約18万ヘクタール増加し,平成22年には約40万ヘクタールヘと拡大しています。


③ 1)農業就業人口とは,自営農業に従事した世帯員のうち、調査期日前1年間に自営農

業のみに従事した者又は農業とそれ以外の仕事の両方に従事した者のうち、自営農業が主の者をいう。


④ 2)「耕作放棄地」とは,以前耕作していた土地で、過去1年間以外作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする意思のない土地をいう。

出典:農林水産省ホームページ 「

問題 「農業・農村の多面的機能」を守っていくために,農芸化学の技術を使ってどのようなことができると思いますか,あなたの提案を700~800文字で説明して下さい。なお、英数字は1マスに2文字まで入れることができます。(100点)


(2)考え方


以下の記事を参考にしてください。

(3)解答例


  水田に蓄えられた水の一部は、粘土層や礫層などでろ過されて、地中に浸透し良質な地下水となる。森に降った雨は落ち葉などの堆積物でろ過され、土中の微生物による有機物の分解を経て、水を浄化する。こうして生成された、きれいな地下水が湧き水や井戸水として農業用水・生活用水に役立てられる。このように農林業は水源の涵養という、人間生活に欠かせない重要な機能を持つ。

 しかし、農村の農作物を育むきれいな水や土が、いま汚染されている。ダイオキシンによる公害がそれである。この化学物質は環境ホルモンの一種で、産業廃棄物処理場周辺の土壌で検出される。このダイオキシンは高い発がん性を持つ、人体にとって有害な物質ということで、メディアではその危険性が喧伝され、産廃処理場に反対する住民運動も各地で起きている。

 安全・安心な農作物を育む農業にとって水や土は何ものにも代えがたい貴重な資源である。ダイオキシンによる環境汚染は私たちにとって喫緊の課題である。この問題を解決するために、微生物の農芸化学への活用を提案したい。ひと口に微生物と言っても地球上には数多くの種類が存在する。そのなかでも猛毒の環境ホルモンを分解する微生物を探し出し、培養して増やした後に汚染された水源や土壌に散布する。こうすることで、環境を浄化し、きれいな水や土に戻すことができる。

 微生物は私たちにとって身近な生き物であり、浄化のほかにも食品の発酵や安全な農薬の開発など、さまざまな使途が考えられる。微生物を用いた農芸化学の技術は農業の持続可能性を担保するうえで重要な切り札となることは間違いない。私は貴学に入学した暁には、農林業における微生物の持つ可能性を追求し、人々の健康と福祉に寄与する研究者を目指したい。
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