[考察]イカゲームとダークナイト (ネタバレあり)

・イカゲームに出るギフンに対する悪役のスカウトマンやフロントマンとの関係は、ダークナイトシリーズでのバットマンとジョーカーの対比に似ている。
・ダークナイトのバットマンが必ず守る心情がある。それは自らの手で人を決して殺めないということだ。対して、ジョーカーは殺人に対して何の躊躇もなく、むしろ必要なものだと考えている。
・イカゲームのギフンが必ず守る心情は自らの手で決して仲間を殺さないこと。対して、フロントマンは仲間を殺すことに全く躊躇がないのだ。
・イカゲーム2でギフンは、フロントマンに対してこのゲームを止めると言い、殺戮を止めさせようとするが、フロントマンは世の中のありふれたゴミが死ぬだけだと言い放った。そして、ギフンは自らまたデスゲームに飛び込むが、この一連のシーンで2者の狂気が端的に表れていた。
・2者に共通していることはゲームに対する美学である。ギフンはスカウトマンとのロシアンルーレット対決に乗り、トリガーを躊躇なく引いた。スカウトマンも自らの挑発を言い返され、相手に銃口を向けることができる状況でありながら、自らに最後のトリガー引いた。ゲームのルールを守るという美学を貫き通したのである。
・フロントマンもゲームに参加した際、部屋の早取りゲームで先に入っていた参加者を絞め殺し、部屋の指定人数に合わせるシーンがあるが、これもフロントマンとしてゲームを支配する立場でありながら、参加したゲームのルールを遵守したのである。
・また、シーズン1でフロントマンがルールを破った部下のスタッフを容赦なく射殺するシーンがあるが、そのときのセリフもこの美学を示していて、「お前はもっとも破ってはならないものを破った、ゲームの公平性だ」と言う場面がある。これはこの物語で一貫していることなのである。
・対するジフンも自ら仲間を殺めることはしないまでも、殺し合いのゲームに対して積極的に参加する姿勢は正に狂気そのものである。ダークナイトでジョーカーがバットマンに対して「お前は俺と同じだぜ。化け物だ。」と言い放つシーンがあるが、バットマンもジョーカーも異常者なのである。ただ一点、進んで殺人をするかしないかの違いだけで同じようなフリークなのだ。
・イカゲーム2でジフンはその行き過ぎた狂気によって仲間を死に追いやってしまう。仲間と共に反乱を起こしゲームを止めようというのだ。それを001を扮するフロントマンが止める程だが、それを聞かずに行った結果、惨事に見舞われる。視聴者も首を傾げる程、あまりに無謀で狂気の行動が、フロントマンが取り仕切る殺戮ゲームと変わらない結果になってしまったのだ。
これはジフンの狂気がフロントマンの狂気と同じものであると暗に示したエピソードなのである。

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