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仮想通貨は通貨になれるのか
こんにちは。
突然ですが、表題の件について皆さんはどのように考えますか?
「政府や中央銀行などの支配のない、デジタル時代の新しい通貨の形だ!」
「こんな目に見えない所詮よくわからんものが通貨になれるわけがない!」
さまざまな意見があると思います。
まず、私の意見を申しますと、
高い確率でなれない。
と思っています。
めちゃくちゃ噛み砕いて説明しますので、ゆっくりみていってください。
まずは使う側からの視点で考えていきます。
お金の3つの機能を復習しましょう。
(知ってるわ!って人は読み飛ばしてください。)
①価値の尺度を表せる
物々交換しかなかった時代…
例えば、村人Aと村人Bが、お魚1匹と白菜1つを交換していたところ、村人Cがお米を持ってきてお魚1匹と換えてくれと言いました。
どのくらいのお米があればお魚1匹と換えてもらえますか?
これを解決するためにはお米とお魚、お米と白菜の交換価値が定義されないとダメですよね。
お金があればこのような比較が簡単にできますね。(お米1キロ◯円、お魚1匹◯円みたいに)
②交換ツールとしての機能
今度はお魚1匹と白菜2つが等価であるとします。
お魚を1匹持っている村人Aは、白菜が欲しかったので、村人Bのところに行きましたが、あいにく村人Bは白菜を1つしか持っていませんでした。
こういう時、お金があれば、
持ってるお金で白菜を1つ買う
or
お魚1匹と白菜1つ+お金で交換する
ということができますね。
③「価値」の保存機能
村人Aはお魚を5匹持っています。
しかし、1週間も経たぬうちにお魚は腐ってしまいますから、来週には白菜と交換してもらえなくなります。
「別に今、白菜いっぱい要らないしな…
ん〜どうしたものか…」
こういう時、お金があれば、自分で食べる1匹を残して、あとの4匹のお魚を市場で売ってお金に換えれば、来週白菜を買いに行けるな。
となります。
お魚は腐りますが、お金は腐りませんから価値を保存できるわけです。
(インフレはここでは考慮しません)
さて、仮想通貨はどうですか?
価値の尺度は決まっています。が、ボラが大きすぎて安定しません。
交換ツールとしてはまだまだですね。
(ビットコ決済できるとこはまだまだ少ない)
価値の保存…なんか微妙です。
次に、(政府や日銀など)発行主体の側から見てみます。
その昔、金本位制という制度がありました。
金本位制(きんほんいせい、英語: gold standard)とは、一国の貨幣価値(交換価値)を金に裏付けられた形で金額を表すものであり、商品の価格も金の価値を標準として表示される。
簡単に言えば、(ただの紙切れとか金属である、通貨の価値をみんな信じてるわけじゃないから)保有する金(埋蔵量が限られてて、みんな価値を信じてる)の量に応じて通貨の量も決まるというものです。
この制度のもとでは、中央銀行が発行した兌換紙幣(だかんしへい)を金と交換することができました。
しかし、これには大きな欠点がありました。
(というか、デメリットが大きすぎた。)
金の保有量に応じた通貨の量しか発行できないのです。
これでは、戦争が起こった時、戦費調達のためにお金を刷る(国債を発行)ことができません。
(金の保有量をその分増やさなければならないからです。)
1971年にニクソンショックと呼ばれる出来事がありました。
当時の米大統領ニクソンが発表した、金とドルの交換停止を含む一連の経済政策。(ドルショック)
それまで金と交換できる唯一の通貨が米ドルでしたが、ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったため(ベトナム戦争の戦費調達の影響が大であったといわれています。)、このような政策を発表しました。
つまり、保有する金に関係なく通貨当局が通貨供給量を増減させることができるようになりました。(管理通貨制度)
じゃあこれで何が変わるのかということなんですが、
金保有量に拘らず通貨を発行できるので経済規模が大きくなります。
信用創造により信用貨幣を増加させることができますね。
(信用創造については、以前の私の記事を参照してください笑)
また、政府や中央銀行が、機動的に経済政策を実行できるようになりました。(金融緩和や引き締め政策)
話は進んで2020年…
米国はコロナショックからの立ち直りを図るため大量のドルを発行して市場を支えました。
(正しく言うと国債や住宅担保証券などの買入プログラムによります。)
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金保有量しか通貨を発行できないのであれば、このような経済政策はできません。
さて、ここで仮想通貨(暗号資産)に戻ります。
ビットコインの発行上限は2,100万枚と決められています。
これが法定通貨になるとどうなりますか。
景気対策が打てないんです。
エルサルバドルのように自国通貨の信用力が低い場合、そもそも上記のような経済政策を打っても、結局先進国の経済政策に翻弄されるのであまり意味がありませんから(詳しくは私の新興国の過去記事を参照してください笑)、ワンチャン狙いでBTCを法定通貨にするなんてことができます。
(実際のところ、エルサルバドルでは値動きの不安定なBTCよりも米ドルが好まれるようです。)
しかし、国際的に信用力の高い、米ドル、ユーロ、円、英ポンドの発行主体である国々は、BTCを法定通貨にしてしまうと、経済政策を打つ手を失いますから、そんなことほぼあり得ないことは理解していただけると思います。
少し前、フェイブック社(現メタ・プラットフォーム社)のCEOであるザッカーバーグ氏が独自の仮想通貨であるリブラを発行しようと世界の名だたる企業とともにリブラコンソーシアムを立ち上げましたが、頓挫したことがありました。
アメリカとすれば、そんなことされたら困りますからね。
どこかで横槍が入ると思っていました。
いかがだったでしょうか。
後半少し小難しい話になってしまいましたが、皆さんの疑問に対する一つの答えになれば嬉しく思います。
最後に付け加えますと、私は投機目的による暗号資産の購入は否定しませんので…
(ポートフォリオの数%持っています。)
…そのあたりはあくまで自己責任でお願いします。
今日も長々とお付き合いいただきお疲れさまでした。
あざした。