見出し画像

米国債を、おれは買う。

こんにちは。


 2023年の1月に「米国債買おうか迷った話」という記事をアップしました。

 今回はその続きです。


 この記事の結論としては、

 「超長期で見れば株式が勝つのだから、わざわざ債券買う必要ない。」


と締めました。

株式が勝つのに債券買うってアホちゃうん?
この前言うてたの何やったんや!

ってなりますよね。


なぜなのか、それを説明します。


その前に…いつもの。

(この記事は米国国債その他の有価証券についての投資、売却等を助言するものではありません。投資なさる際は自己責任でお願いします。)



経済状況が変わってきた。

今年の初めには、「上がりすぎた金利により、ハードランディングとなる。そのため、2023年中に利上げはピークへ向かい、早々に利下げに転じる。」といった流れが主流でした。

 今はどうでしょう。

「利上げに関しては最終局面(今年あと1回、25bpの利上げ)であるが、景気が底堅いため金利は高いままを維持するであろう。」という流れに変わってきています。

ニュースでは、米10年債利回りが2007年以来の高水準などと騒がれています。

出典 2023/8/22  REUTERS


そしてこれ。

出典 REUTERS


(昨年10月以降)
CPIなどのインフレ指標が沈静化→急激な利上げのため、今後リセッション(不況)が来るかも→債券に逃避→債券価格up、利回りdown

で小康状態だったものが、

(今年のだいたい5月以降)
米景気は底堅い→リセッションは軽めじゃね?
→債券売り→債券価格down、利回りdown

と、こんな感じになっています。

米10年債利回りのチャートを見てみましょう。

出典 iPhone株価アプリ



以前記事に書きましたが、こういうネガティブなニュースが増えてきたら“いい兆候”です。
(センセーショナルなタイトルの記事が多く出てきたらアツい!)


今はそれなりにアツい時期なのではないかと思ったわけです。



リターンの増加


FFレート高止まりの予想に債券売りとなると当然、利回りは上がります。

ちょくちょく利回りをウォッチしていたのですが、ついに節目の5%を超えてきました。

ちなみに、これは10月3日昼の米国債ラインナップ↓

出典 SBI証券


で、こちらが10月4日23時台のやつ↓

出典 SBI証券



まず、前提として、この前の記事でも触れたとおり、私が買うのは生債券で、利付債ではなく割引債です。
 (利払いがないことにより、複利の力がはたらくからです。)
 また、残存年月数年の短期債ではなく、中期〜長期で狙っていきます。


その上で、上記の表を見てください。
残存年月19.6年の割引債の利回りが5.04%になっています。

 利率じゃないです。利回りです。
違いについてはこちらをご覧ください↓

出典 daiwa.jp
出典 daiwa.jp



債券ETFじゃダメなんですか?


債券と聞くと、米国株やってる身としてはまずETFが思い浮かびます。

 まず、現在の状況はこんな感じ。

↓米30年債金利

出典 iPhone株価アプリ
出典 iPhone株価アプリ
出典 iPhone株価アプリ


BNDは米総合債券ETFで、TLTは残存年数20年超の米国債ETFです。


まず、一般的に債券は残存年数が長いほど価格変動が激しくなります。
(未知の未来に対するリスクプレミアム)

ですからTLTの方がボラが大きいです。
その上で、現在、設定来過去イチレベルで価格が低い(利回りは高い)です。

過去20年レベルにおける節目が今ということですから、なかなかアツいタイミングではあります。
 (もちろんもう一段下げる未来も確率としてはあり得ます。)


ですが、私はここで考えました。

逆に、なぜETFじゃないとダメなんだ?

 ①分配金が欲しいのか?
 →現地課税されるから日本株やJリートよりも分配金リターン悪い。

→私はドル建てETFで分配金や高配当株投資はしない派です。

 ②キャピタルゲイン狙い?
 →だったら割引債の方がトータルリターン高くね?(年4回の分配金にかかる税金でその都度リターンが削られる)


 よって、私の中では債券ETFはナシです。



為替差損はないか


 いくら利回りが高くても為替が円高に振れると損をしてしまいます。

この辺りも考慮しなければなりません。

ちなみに、私は数年前からSBIネット銀行の外貨積立により、低コストでドル転しては株を買っていました。(今はETFだけにしてます)


来年から新NISAが始まるし、特定口座でドル建てでETF買う意味あるんかなーと思い始めたものの、なんとなく積立は継続しておりまして、手持ちのドルをどうするかと考えていたタイミングでした。

平均約定レートは146円前半です。

ここからどれくらい動けば損をするのか?
調べてみました。

先ほどの割引債を1,000ドル買ったものとして計算します。
 為替は現在の時間の値を入力します。

出典 sc.mufg.jp
出典 sc.mufg.jp


結果は…???

こちらです。

出典 sc.mufg.jp


為替レートが27円でマイ転しますね。

いやいや、さすがにそれはないやろと…



税金を考慮


次に税金です。
高い利回りも所詮は税引き前の話。
税引後リターンはどうなるのでしょうか。

答えが書いてました。

出典 media.rakuten-sec.net


…税引後の利回りは4.2%になるそう。


約20年で税引後利回り4.2%は高いのか低いのか…



参考までに、こちらをご覧ください。

債券と株式をごっちゃにして考えることには賛否あるかと思いますが、とりあえず…。


下の資料は、投資クラスタでは有名な、金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」です。
(妻につみたてNISAを説明する際に大変お世話になりました。)

 この中の長期投資の効果について記述されているページを見ます。

出典 fsa.go.jp




グラフ部分を拡大します。

出典 fsa.go.jp



「資産、地域を分散して積立投資を行った場合」の保有期間20年での運用における、成果の出現頻度として、4〜6%(税引前)の比率が最も高いです。


今回の割引債の残存年数は19.6年で、概ね20年です。


①資産、地域を分散して積立投資を20年行って得る利益と、②米国20年割引債で得られる利益がほぼ同じってすごくないですか?

何がすごいって、リスクの差です。

 ①地域分散した株式やら債券やらリートやらコモディティやらの詰め合わせパックのリスク

 ②世界で最も安全な金融資産と言われる米国債のリスク

そのリスクの差です。
同じ訳がないですよね。


リスクリワードを考えた時、現在の米国割引債はアツいよねと考えました。


米国債のリスク


ほな米国債買いまくったらええやんという声が聞こえてきそうではありますが、そういうわけにはいきません。


当然ながら、今後、さらに長期債の利回りが急騰するリスクがあります。

 そうなると、債券価格は下落しますから、今よりもっと安値で買える時が来るかもしれません。

その場合、ETFと違って実質的な損はしていませんが、機会損失は生じています。

そこを考慮して、今回は手持ちのドル全てをブっ込むようなことはしていません。

 今後、また大きく利回りが急騰するようなら買いを考えます。

が、今ちょうど面白い時なのでSPTMを買い増してもいいかなとか思いながら悩んでおります。



おわりに


まあ、そもそも今回の話は、
①投資が趣味の私が、
②特定口座に寝かせたドルがある

からこそ、考えてしまうことです。


新NISAがもう少しで始まる今、個人的に1番賢い投資だと考えるのは、

ドル転なんかせず、新NISA口座にさっさとその分のカネをブッ込んでSP500かオルカン買うのが1番です。

 ①超長期では株式が最強
 ②指数こそ“理論上”最強の投資対象である

ことはほぼ間違いないからです。

(ウォール街のランダムウォーカーとか敗者のゲームとか読んでもらえたらわかると思います。)


ですが、そこは人間。
趣味も兼ねている以上はいろいろ食べてみたくなるもので…

ただ、食べる以上は根拠を明確にしたかったというのはあります。

 テキトーに買ったものは大体損します。

 ゲロ吐きそうなくらいの気持ち悪さで買っても損する時はあります。

 が、確率的には、テキトーに買った時よりも損する確率は間違いなく低いです。

 悲観のニュースが流れてくる今はとても気持ち悪いですが、これこそ富の源泉であると思っています。


さて、この選択の結果はどうなるのか。
 1年後に爆損してたら笑ってください。


ではまた。

あざした。

いいなと思ったら応援しよう!