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(深く知ろう!)リートの特徴と利益相反
(タイトル画像 イオン銀行HPより)
こんにちは。
リートに投資しようと思ったことはありますか?
リートと一言で言っても、Jリートであったり、海外や国内のリートETFであったりさまざまな形がありますよね。
投資をされている方なら、リートの基本については、もはや説明不要かと思いますし、少しググれば出てきますのでここでは割愛します。
とはいえ、仕組図くらいは貼っときますね笑
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今回は、そこからもう一段掘り下げて、リート特有の特徴であったり、巷でしばしば言われる利益相反について書いていこうと思っています。
(主に国内リートについて記述します)
投資歴の長い方なら「知っとるわ!」的なことですが、今回も噛み砕いて説明しますのでよろしくお願いします。
「投資法人」という特殊な形態
リートに投資しようと思ったら必ず目に入る「投資法人」。
まず、これって何?って話です。
投資法人は、法人格でありながら、通常の法人とは異なります。
というのが…
投資法人は資産の運用以外の行為を営業として行うことは禁止なんです。
加えて、役員会はありますが、従業員の雇用は禁止されています。
さらに、投資法人として業務をする場合、「投資法人」と名乗らなければなりません。
(上場リートは全て「〇〇投資法人」という名称ですよね。)
話を戻しますが、投資法人は資産の運用業務くらいしかできないので、法人に係る一般事務や物件の購入、管理などは別会社が行います。
(だいたいは投資法人の関係会社が行います。)
言うてしまえば、投資法人は、投資主のための投資代行を行うただの箱みたいなものです。
その分、税法上の扱いも通常の法人とは異なります。
毎期の利益の90%超を投資家に分配する場合、支払い分配金の損金算入(費用にすることができる)が認められており、分配分には法人税が課税されません。
これがJリートに投資する旨みとしてよく知られている部分です。
別の角度からみてみましょう。
利益のほとんどを分配金として払い出すわけですから、内部留保を積み上げて物件購入とか、
今後不景気が予測されるから、内部留保を増やしてそれに備えるとか、そんなことはできませんよね。
いきなり金利がドーンと上がるような局面では、内部留保がほとんどないため、資金繰りが悪化することがあります。
また、利益を再投資せず分配金として吐き出すしくみであるがゆえに、複利効果がはたらきません。
オルカンやSP500などの通常の日本の投資信託の場合、配当分は内部で再投資されますから、長期で保有することにより、複利の効果で元本自体が増加します。
つまり、価格が変動しても投資元本自体が増えていくため、当初投資した元本を下回る可能性が減ってリターンも大きくなります。
よくyoutubeとかで、長期投資でリスクが小さくなるとか言われていますが、実際には、リスクが小さくなるのではなく、複利効果により投資元本自体が増えていくため、値動きは大きくなっても、当初の元本を下回りにくいというのが実際のところです。
解説が長くなりましたが、配当分を内部で再投資するタイプの投資信託とリートでは仕組みが全く違うのです。
ですから、リートで複利運用をしようと思えば、分配金で原証券を買い増す方法を採ることになります。
とはいえ、一口何十万もするリートの原証券をその都度買い増すのはまあまあ大変かと。(私だけ?)
「複利効果ないんなら普通の投信買ったらええやん。
じゃあリートやめよっかなー」と思ってしまいそうなところですが、もう少し話を聞いてください。
例えば、個人が不動産の現物投資をしようと考えたとします。
何の物件が買えますか?
(買いますか?ではありません、買えますか?です。)
貧乏人の私が言うのもアレですが(笑)、せいぜい区分や一棟でのマンションやアパート、駐車場くらいでしょう。
個人で不動産投資をする方も増えているようですが、ほとんどの場合、都市部での住宅への投資となってしまいますので、そういった投資物件が増えれば増えるほど、市場原理としては旨みが減る構造になります。(需要と供給)
(日本の人口が今後、爆発的に増えるなら別ですが…)
一方、リートはどうでしょう。
リートの仕組み上、住宅だけでなく、ホテル、物流施設、商業施設など、おおよそ個人では投資できない大規模物件に投資できます。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、これは結構デカいと思います。
特に物流施設、商業施設なんかは、住宅と違い、物件数自体が多くはありませんから、過当競争の波に巻き込まれることはあまりないと思われます。
ここで日本のリートの市場規模を見てみます。
人口が今後減るし、国土の狭い日本のリートの市場規模なんて大したことねーだろと思っていませんか?
三井住友トラスト・アセットマネジメントの2021年7月末時点のデータです。
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実は、日本の世界に占めるリート市場規模は大きいのです。
大きいとどうなるかというと、流動性がありますし、ボラティリティが小さくなります。
(新興国株とかで考えていただいたらわかりやすいと思いますが、そもそも市場規模が小さいところに海外から投資マネーが入ってくると、一気に爆上げしたり爆下げしたりしますよね。)
ボラが小さいということは、一般的に、リスク(プラスとマイナスの振れ幅)も小さいということです。
リートの利益相反とは?
先程申しましたとおり、投資法人は運用だけやってるただの箱みたいなものですから、スポンサーが存在します。
それはグループ企業だったり、金融機関であったりいろいろなのですが、実際に見ていただいた方が早いと思いますので貼りますね。
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スポンサーは三菱地所です。
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こちらは三井系のリートのようです。
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こちらのスポンサーはフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社というとこみたいですね。
フォートレス・インベストメント・グループは米の投資運用会社で、バイアウト・ファンドビジネスを中心に、経営破綻懸念のある企業の株式や債券などに投資するディストレス投資を主軸とする。
主要株主欄を見てください。
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また、資産運用の一般受託事務の受託者であるコンソナント・インベストメント・マネジメント株式会社というのも結局ソフバンの会社でした。
つまり、スポンサーはソフバンです。
(通信会社じゃなく投資の方)
調べてみるとおもしろいことが出てきますね。
つぎにこちら。
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当然、スポンサーはイオン本体です。
ここで、スポンサーと投資法人のそれぞれ目指すところはどこか考えてみます。
スポンサーとしては、自社の保有する不動産をリートに売却することでキャッシュを得、それを不動産開発等の資金にしたりして、自社の利益に資するように動きます。
不要な不動産は早く処分したいし、そうじゃなくてもどうせ売るなら高く売りたいと考えます。
投資法人としては、物件は安く買いたい。そして分配金利回りを上げたいと考えます。
この矛盾が、「投資法人はスポンサーに、よくない物件を売りつけられているのでは?」と疑われる原因です。
スポンサーが親会社なら文句言えないよなーと思えなくもないですね。
(逆に、スポンサーのパイプラインがあるからこそ、素晴らしい物件を所有できているわけですから、悪いことばかりではありません。)
そこで大切なのが、内部のガバナンスです。
イオンリート投資法人のHPを引用します。
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95813285/picture_pc_05f521ce3b5793199d8108d6000bd031.png?width=1200)
利益相反に関しては、しっかり対策がとられていましたね。
おそらく他の投資法人も同様だと思います。
話をまとめると、利益相反行為はないとは思いますが、投資する際は、投資法人のガバナンスのページもしっかりご覧になって投資されるのがよいと私は思います。
ではでは。
あざした。
〜編集後記〜
こうやって記事を書くと、分かっていたつもりのことでも再確認できたり、新たな発見があったりするんですよね。
Jリートというか、投資法人って調べてみると結構面白いなと。
次の銘柄分析はイオンリート投資法人やりますのでよろしくお願いします。