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猟師で起業はやめとけ?需要・将来性をデータとイラストで可視化してみた【市場分析】

残り10

どもー。
分析太郎です。

色んな仕事の将来性を
分析しています。

今回は猟師の
市場分析レポート
です。

仕事の将来性を把握する上で
市場分析は必要不可欠です。

起業するにせよ転職するにせよ、
将来性を把握しておかないと、
キャリア選択で痛い目を見ます。

なので分析太郎が、
データとイラストを駆使して、
将来性を分析しました。

それでは、見ていきましょう。

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【前編】猟師の将来性


まずは需給バランスを理解する

前編では、猟師業界の
将来性を確認していきましょう。
その前に、需給バランスについて説明します。

世の中には様々な市場があり、
その中でお金が取引されています。

そして市場の中には、
供給(事業者)需要(お客様)
存在します。

これらを釣りで例えるなら、
市場=釣り堀
供給=釣り人
需要=狙っている魚
と言えます。



そして、需要と供給にはバランスがあります。
イラストにするとこんな感じです。


本レポートでは、
猟師市場が4つのうち
どこに分類されるかを、
行政機関と業界団体のデータを
フル活用して考察していきます。

それでは、本題に話を移しましょう。


猟師市場の供給の推移

それでは、猟師市場の
需給バランスを確認しましょう。
まずは供給から確認します。

まずは、猟師免許の
交付人数の推移を確認してみましょう。

グラフを作成しました。


狩猟免許交付人数の推移(1970~2020・50年間)
出典①:狩猟免許交付数の推移(一般社団法人 大日本猟友会)
出典②:H30 鳥獣関係統計(環境省)
出典③:R1 鳥獣関係統計(環境省)
出典④:R2 鳥獣関係統計(環境省)


1970年代、猟師の方は
50万人以上もいたようですが、
2000年代は20万人前半
推移しているようです。

長期の視点で見た場合、
全体傾向としては
明らかに減少しています。

ただ、2010年以降、
免許交付人数は回復傾向に
あるようです。

ちょっと細かく見てみましょう。
2010年以降の推移を表にしました。


狩猟免許交付人数の推移(2010~2020・10年間)
出典①:狩猟免許交付数の推移(一般社団法人 大日本猟友会)
出典②:H30 鳥獣関係統計(環境省)
出典③:R1 鳥獣関係統計(環境省)
出典④:R2 鳥獣関係統計(環境省)


2012年でガクンと減少して、
それ以降は着実に増加してますね。

下記の記事によれば、
狩猟を始めたきっかけは

  • キャンプブームの延長で興味持った

  • ジビエ料理が食べてみたい

  • 命を頂くことを子どもに教えたい

など、様々な動機があるようです。


なるほどなるほど…。
狩猟免許を取得される方、
ここ数年で増えてるようです。

では、どんな種類の猟師免許が
人気なのでしょうか。
調べたところ、猟師には
大きく4つに分類されるようです。

  • 第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)

  • 第二種銃猟免許(空気銃)

  • わな猟免許

  • 網猟免許

この4つの推移を確認してみます。
グラフを作成しました。


種類別・狩猟免許交付人数の推移(1970~2020・50年間)
出典①:狩猟免許交付数の推移(一般社団法人 大日本猟友会)
出典②:H30 鳥獣関係統計(環境省)
出典③:R1 鳥獣関係統計(環境省)
出典④:R2 鳥獣関係統計(環境省)


公開されてる最新の報告書では、

  • 第一種銃猟免許:90,034人

  • 第二種銃猟免許:1,978人

  • わな猟免許:118,945人

  • 網猟免許:7,537人

という人数構成になっていました。

「猟師」と聞いて想像する道具は
猟銃ですが、今はわなが主流になりつつ
あるんですね。

また、一つ面白い傾向がありました。
女性の猟師が過去に例のないほど
増加しています。

グラフを作成しました。


女性の狩猟免許交付数の推移(1970~2020・50年間)
出典①:狩猟免許交付数の推移(一般社団法人 大日本猟友会)
出典②:H30 鳥獣関係統計(環境省)
出典③:R1 鳥獣関係統計(環境省)
出典④:R2 鳥獣関係統計(環境省)


すごい勢いですね。
前年比の増加率を男女で比較します。
表を作成しました。


男女別・狩猟免許交付人数の前年比増加率の推移(2000~2020・20年間)
出典①:狩猟免許交付数の推移(一般社団法人 大日本猟友会)
出典②:H30 鳥獣関係統計(環境省)
出典③:R1 鳥獣関係統計(環境省)
出典④:R2 鳥獣関係統計(環境省)


前年比30%増は
恐るべき勢いです。

在宅ワーカーをしながら
副業で猟師をされる方も
いらっしゃるそうですよ。


いろんな働き方が
あるもんですね。

ただ、猟師の世界は
構造的に大きな問題があります。
高齢化です。

過去データで
一番古いものと最新のものを
比較してみます。

グラフを作成しました。


1996年と2020年の年齢別・猟師の割合
出典①:H10 鳥獣関係統計 年齢別・狩猟免許交付状況(環境省)
出典②:R2 鳥獣関係統計 年齢別・狩猟免許交付状況(環境省)


1996年の60歳以上猟師は32%ですが、
2020年は58%まで上昇していました。
ちなみにこの58%の60歳以上のうち、
年齢層的に最多は70代です。
あと、10人に1人は80代以上です。

円グラフを作成しました。


年齢層別・60代以上の猟師の数と割合
出典:R2 鳥獣関係統計 年齢別・狩猟免許交付状況(環境省)


猟師の仕事は
野生を生きる動物との戦いですから、
身体への負担が大きいことは
容易に想像できます。

高齢化が進むことで、
引退を考える方も当然増えるでしょう。

そしてさらに指摘されているのが、
「ペーパーハンター」の存在です。



猟師免許を取得しても、
現場で継続的に猟をされる方は
珍しいそうです。

下記の記事に、
ペーパーハンターに関して
詳しく記載されていました。


首都圏の1都3県では、19年の時点で約2万人の狩猟免許を持っている人がいますが、われわれの調査だとおよそ47%がペーパーハンターです。

狩猟免許を取る人は増えているけれども、実際に狩猟をしている人は半数しかいません。その理由は『狩猟する場所がない』『仕事との両立が困難』『技術を教えてくれる人がいない』『初期費用が高い』など

自動車運転免許を取る場合、教習所で技能教習があるので『免許取得者=運転技術を持っている』といえるのですが、狩猟免許試験は法律的な内容が多く、狩猟技術はほとんど含まれていません

『キャンプブーム、ジビエブームの影響か、狩猟免許に受験者が殺到ってマジ!? 「週末ハンター」増加中!』(週プレNEWS 2024/02/02)


実際に猟ができるようになるには、
地域の猟友会に足繁く通い、
技術を盗む必要があるみたいです。
そこまでやって猟師になる方は、
やはりまだまだ少数なのかもしれません。


さて、ある程度データが揃いました。
供給の情報をまとめます。

【供給】
狩猟免許交付人数は、1970年代から明らかな減少が続くものの、近年再び増加基調にある。種類別ではわな猟の交付件数が伸びており、男女比では女性で猟師になる方が増加しつつある。ただ、猟師全体の高齢化が指摘されており、60歳以上の割合は全体の6割を占める。またペーパーハンターの存在も指摘されていることから、今後現場で実際に猟をする人は減少する見込みが高い。

従って現時点では、
先ほどの四分類では
このどちらかに分類されるのでは
ないでしょうか。


では、需要はどう
推移しているでしょうか。
確認していきましょう。


猟師市場の需要の推移

それでは、
猟師市場の需要が
どう推移しているか
確認していきましょう。

まず、どんな鳥獣が
有害鳥獣捕獲の対象に
なるのか確認しましょう。

主な狩猟鳥獣の種類を
農林水産省の資料から
引用しました。


狩猟鳥獣の種類一覧
出典:鳥獣の捕獲に関する制度(農林水産省)


鳥類・獣類あわせて
50種類近くいるようです。

この中でも特に、
多くの地域で有害鳥獣捕獲の
対象となるのがシカイノシシのようです。

環境省が発行している
鳥獣保護・狩猟適正化の
パンフレットの表紙も
シカとイノシシでした。


わかりやすくまとめられた環境省資料
出典:いま、獲らなければならない理由(環境省)


なので、この2種類が
増えているのか減っているのか、
今後増えるのか減るのかについて
見ていきましょう。

で、いろいろ調べてたら
環境省さんが既に詳細な調査を
してくれていました😅

まずはシカに関して。
グラフを引用しました。


ニホンジカ(本州以南)の個体数推定の結果(1989~2021・32年間)
出典:全国のニホンジカ及びイノシシの 個体数推定の結果について(環境省)


このグラフを見る限り、
シカの推定個体数は
徐々にではありますが
減少傾向にあるようです。

「基準年(2011年)」という記載があります。
これは、
「令和3年(2021年)の
シカ・イノシシの数を
平成23年(2011年)時点の
半数に減らそうぜ」
という
環境省が掲げたプロジェクトのことです
(この計画を策定したのが平成25年)。

結果を一覧に整理しました。


シカ捕獲目標の進捗
出典:全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定の結果(環境省)


正直全然減ってないですね…。

続いてイノシシです。
グラフを引用しました。

イノシシの個体数推定の結果
出典:全国のニホンジカ及びイノシシの 個体数推定の結果について(環境省)
イノシシ捕獲目標の進捗
出典:全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定の結果(環境省)


イノシシの推定個体数は
堅調に減少しているようです。

ご覧の通り、
進捗は100%達成ではありませんが、
特にイノシシは、推定個体数は
減ってきてはいるようです。

問題はシカの方ですが、、、
70万頭と220万頭では
ちょっと数の規模が違いますね…。
シカ多いですね〜。

さらに言うと、
最新の報告書によれば
シカの推定個体数は増加している
ようです。

グラフを引用しました。


ニホンジカ(本州以南)の個体数推定の結果(1989~2022・33年間)
出典:全国のニホンジカ及びイノシシの 個体数推定の結果について(環境省)


2021年の推定個体数は
222万頭でしたが、
2022年の推定個体数は
246万頭となっています。

以下は全て2024年の記事ですが、
シカに関する問題、噴出してます。



それから、
シカによる農作物の被害額も
近年増加傾向にあるようです。

グラフを作成しました。


鳥獣別・農作物の被害金額の推移(2010~2023・13年間)
出典:R4 全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(農林水産省)


全体の被害額は減少しているので、
シカが占める被害額の割合が
大きくなってますね。

ちなみに、
シカの分布が東北方面へも
拡大傾向にあるようです。

マップグラフを引用しました。


ニホンジカの分布域(2020)
出典:R2 全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定
及び生息分布調査の結果について(環境省)


お金になるかは別として、
今後はシカ駆除の社会的ニーズが
本格的に高まってきそうな
気がします…。

下記全て2024年のニュースですが、
各自治体レベルで、報奨金の増額や
猟具の金銭補助をどんどん始めてます。


さて、一通りデータが出揃いましたね。
それでは、結論に入ろうと思います。


分析太郎の結論

まとめると、
猟師市場の
需給バランスはこうです。

【供給】
狩猟免許交付人数は、1970年代から明らかな減少が続くものの、近年再び増加基調にある。種類別ではわな猟の交付件数が伸びており、男女比では女性で猟師になる方が増加しつつある。ただ、猟師全体の高齢化が指摘されており、60歳以上の割合は全体の6割を占める。またペーパーハンターの存在も指摘されていることから、今後現場で実際に猟をする人は減少する見込みが高い。


【需要】
2011年半数目標の成果により、イノシシの推定個体数は121→72万頭の減少が見込まれた。ところがシカは半数どころか直近の報告書では2011年よりも推定個体数が増加していると予想されている。農作物の被害も2019年以降増加傾向にあり、人身被害などの事件も目立ち始めている。猟師の需要はさらな高まることが考えられる。


結論を出しますね。
需給バランス四分類で言えば、
ここに当てはまりつつあるのでは
ないでしょうか。


分析太郎の結論


釣り堀(=猟師市場)の中で、
釣り人(=猟師)の減少が予測され、
魚(=害獣(特にシカ))が
増加傾向にあることから、
このような結果になりました。

いかがでしたでしょうか。
今回は、猟師業の市場分析を行いました。
ただ、これは日本全体の需給バランスであり、
当然ですが地域によって偏りが生まれます。

従って、
日本全体だけでなく、
さらにお住まいの地域についても
詳しく分析する必要があります。

そこで後編からは、
猟師の希少価値が高い都道府県
どこなのかを考察していきます。

ここまで読んでくださった皆様が、
キャリア選択で後戻りできない、
取り返しのつかない状況にならないことを、
心から願っています。




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